【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(40) 朴槿恵が独房前で涙を流したソウル拘置所の苦い思い出

朴槿恵前大統領の逮捕で、韓国が混乱している。国家の最高権力者から一転、犯罪者として裁かれる身になったのは周知の通りだ。韓国の大統領が退任後に逮捕されるのは3人目である。親族の不正疑惑から自殺に追い込まれた大統領もいた。何故、韓国では大統領が不正に関わるのか? その原因は、韓国の権力構造と、大統領に与えられた巨大な権限にある。必要とあれば財閥企業の経営にまで干渉できる力は、不正と癒着を生む温床だ。「朴前大統領がソウル拘置所の独房へ入る前、涙を流した」というニュースを見た。父親も大統領と言う家に生まれた女性なら当然かもしれない。ソウル拘置所という名前だが、ソウル市内にある訳ではない。ソウル中心部から南へ20㎞ほど離れた義王市という街にある。拘置所は低い山の麓に建てられ、周囲には住宅が並んでいる。2006年、日本共産党の志位和夫委員長が視察をしてニュースになっていたが、筆者はそれより10年以上前に訪れている。志位委員長と違うのは、数時間の視察ではなく、1ヵ月ほどの拘置だったことだ。当時はバブルが弾けたばかりで、筆者が未だ使い走りの頃の話になる。釜山市の北東部にある大辺港という小さな漁港。チャン・ドンゴンの出演する『友へ チング』(東宝東和)の舞台になった場所だ。ここで漁船から荷物を引き揚げ、車でソウルまで運ぶのは2度目だった。荷物といっても段ボール箱3つ。中身は日本円だ。日本から韓国へ漁船で日本円を運ぶのは、バブル期から流行っていた。ヤクザにパチンコ屋、金貸しに不動産屋等、手荒く儲けたカネを不正に移動する手段の1つである。

日本から出航した漁船と韓国から出航した漁船は、公海上で荷物(日本円)を受け渡す。この方法は“瀬取り”と言い、覚醒剤の取引にも使われてきた。しかし、9.11テロ以降、衛星とレーダーによる監視や沿岸警備が厳しくなり、このやり方は衰退してしまった。夜明け前に大辺港へ到着した荷物を受け取り、運転手のミンホ君とソウルへ向かう。ミンホ君は筆者と同世代で、『七星派』という韓国のヤクザ組織に属している。彼は「日本のヤクザ映画を見て覚えた」という日本語で、筆者を“兄貴”と呼んだ。釜山からソウルまでは5時間弱で到着した。荷物の届け先は、金色の『大韓生命』ビルが目印の汝矣にあるスイス系の銀行だ。運び込んだ段ボール箱から日本円を取り出し、バンクオフィサーと一緒になって数える。この時は3億円で、ドルに替えたら240万ドルほどだった。これをスイスにある本店の口座へ入金する手続きをすれば、履歴を残さず、日本からスイスへの資金移動が完了するのだ。一仕事終えた筆者とミンホ君は、其々のボスへ任務完了の報告をして、遅い昼食を取る為に明洞に向かった。ところが、明洞に着くと、車の駐車を巡ってミンホ君が喧嘩を始めてしまった。相手は2人、筆者は慌てて車を降りて仲裁に入った。しかし、ミンホ君は強かった。あっという間に2人を路上に叩き伏せ、ドヤ顔で筆者を見る。そこへ警官隊が到着。筆者とミンホ君は御用となった。そして、筆者たちは南大門警察署へ連行された。警察の取り調べでは、“仲裁に入った”という主張が認められず、傷害罪で逮捕された。翌日には筆者だけ、外国人という理由でソウル拘置所へ移送された。拘置所へ入ると、最初に身体検査で裸にされた。係員数名は筆者の刺青を見て大騒ぎだ。「これからどうなるのか」――不安しかなかった。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年4月25日号掲載
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