【ダークウェブ】(中) 17歳の掲示板、悪意群がる――開設者逮捕後も独り歩き

20170426 05
「ハッカーの情報交換の場を作りたい」――。2014年暮れ、神奈川県川崎市に住む17歳の少年が、ダークウェブ内にある掲示板サイトを開設した。名称は『恒心教サイバー部』。少年自身もハッカーで、企業サイトを改竄する行為を繰り返していた。既に海外ではダークウェブが広がっていた。通常のインターネットユーザーが入れない掲示板で、高い技術を競い合う。周囲の人によると、狙いは同じような仲間を呼び込むことだったようだ。少年が繰り返していたハッキングも違法行為。ただ、興味半分だった本人の意図を超え、掲示板には様々な悪意を持つ人が集うようになる。「インターネットバンキングの口座情報求む」「犯罪の手口を教えてほしい」。ハッカーからの投稿は減り、犯罪による金稼ぎや児童ポルノの取引を目的にした投稿で溢れた。暴力団関係者やITの知識に乏しい人物の投稿も目立つようになった。“恒心教”の名は、国内の闇の世界で広まった。情報セキュリティー会社『ネットエージェント』(東京都墨田区)の杉浦隆幸会長は、参加者について「ダークウェブを使う日本唯一の犯罪者集団」とみる。投稿内容から、「多い時で約100人が参加していた」と分析している。

少年は2015年、企業に対する不正アクセス禁止法違反容疑で警視庁に逮捕された。ただ、生みの親がいなくなったにも拘わらず、掲示板が閉鎖されることはなかった。何者かが管理用サーバーを乗っ取り、運営するようになったとみられる。事件として摘発された事例もある。昨年2月、掲示板でのやり取りを通じてコンピューターウイルスを入手する等した高校1年生の男子生徒が摘発された。同年7月には、他人のカード情報を売る広告を書き込んだ男が逮捕された。摘発が相次いだ為か、昨年から投稿は下火になった。今春の時点では既に閉鎖されたとみられている。しかし、最近でも大手眼鏡店チェーンがサイバー攻撃を受けた事件で“恒心教”の名が使われる等、余波は続いている。当時、掲示板を頻繁に閲覧していた20代の男子大学生は振り返る。「犯罪の舞台になったのは残念だが、ハッカーが技術を競い合える場ができた意義は大きかった」。幼い頃からインターネットに慣れ親しんできたデジタルネイティブ世代の言葉からは、自分たちの行為に潜む危うさを深く考えた様子は窺えない。サイバー犯罪に手を染めるのは若い世代が多い。警察庁によると、他人のIDやパスワードを無断で使ってネットワークに侵入する等の不正アクセス禁止法違反で、昨年1年間に摘発されたのは、10代(14~19歳)が62人で、年代別の最多。20代も含めると、全体の6割近くを占める。捜査関係者によると、サイバー犯罪を犯す少年は罪の意識が薄い傾向がある。「専門知識が無くても、ダークウェブ上でウイルス等を簡単に入手できる」(捜査幹部)といい、悪戯の延長のような感覚で違法行為を行う若者も少なくない。


⦿日本経済新聞 2017年4月20日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR