【ダークウェブ】(下) 「あなたは捜査対象だ」――監視・摘発、攻防激しく

20170426 06
昨年10月、ダークウェブを悪用する世界中の犯罪者が驚いたであろう出来事があった。「貴方は特定されている」「捜査の対象だ」――。麻薬取引等を扱うサイトのトップ画面が改竄され、利用者に警告を発するメッセージが表示された。オランダの捜査機関の名前と共に。セキュリティー会社『スプラウト』(東京都渋谷区)リサーチャーの岡本顕一郎氏によると、捜査機関がサイトの不備を突いてサーバーを乗っ取った可能性がある。アメリカでは、『連邦捜査局(FBI)』が2013年、最大規模の違法サイト創設者を逮捕した。裁判資料等によると、複数の捜査員がサイトの運営スタッフになりすまして、創設者とみられる男に接触。サイト運営や違法取引に関与した証拠を掴んだとされる。匿名性の高さから、犯罪の温床になっているダークウェブ。リスク管理支援の『デロイトトーマツリスクサービス』(東京都千代田区)シニアマネージャーの岩井博樹氏は、「海外ではサイトの運営者側に潜入したり、犯人側のサーバーにプログラムを仕込んだりする手法を駆使し、摘発を強化しているようだ」という。

法律の違いもあり、日本で同じ捜査手法が使える訳ではない。犯罪が疑われる書き込みを探して監視の目を光らせるものの、発信元に辿り着くのは難しい。できるのは、違法行為がサイバー空間から実社会に移った瞬間を逃さないことだ。愛知県警は昨年、掲示板に口座の売買情報を投稿した男を、犯罪収益移転防止法違反の疑いで逮捕した。ウェブ上で購入希望者に伝えた口座番号から、身元を特定した。捜査幹部は、「現実世界でのカネや物の流れを丹念に分析するしかない」という。企業には自衛の動きもある。「金融機関なら流出したカードや口座情報、インフラ企業ならサイバー攻撃の兆候、メーカーなら自社製品の欠陥情報を逸早く見つけ、被害が広がる前に対策を打てる」。IT機器販売の『テリロジー』(東京都千代田区)は、イスラエルの企業がダークウェブで収集した情報を提供するサービスの販売を始めた。昨年、日本に分析拠点を設けた『アーバーネットワークス』名誉アドバイザーの名和利男氏は、「ダークウェブは今後も拡大する。誰もが被害を受ける可能性があり、防御の為にも、ダークウェブ上で情報収集することが不可欠になる」と予測する。サイバー犯罪の増加に対応する為、全国の警察当局は捜査体制を強化している。警視庁は昨年度、捜査や人材育成の司令塔となる“サイバーセキュリティ対策本部”を新設した。複数の部署が連携して捜査する体制を整える。小規模な県警も体制作りに乗り出しており、滋賀県警は今春、サイバー犯罪対策室を“対策課”に格上げした。警察庁によると、他に7県警が対策課を新設した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、企業や政府機関を狙ったサイバー攻撃の増加も懸念されている。警察幹部は、「官民の連携強化や専門知識を持った捜査員の育成も急務だ」と話している。


⦿日本経済新聞 2017年4月21日付掲載⦿
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