【霞が関2017春】(08) 農機にトヨタも参入を…農業改革かけ声空回り

農林水産省が、肥料や農薬といった農業資材の価格を下げようと躍起になっている。中でも力を入れるのが、コメ農家の生産費の2割を占める農業機械だ。4社の独占が続く農機業界で競争を促す為、新たに市場に参入する企業に助成金を出す。今の国会で審議中の新法に支援策を盛り込むほどの力の入れ方だ。だが抑々、縮む傾向にある国内の農機市場への企業の関心は今一。政策効果には疑問符が付く。農水省は先月末、先端技術に対する支援プロジェクトを公表した。真っ先に手を挙げたのが、建機最大手の『コマツ』だ。同社が石川県等と組み、ITを活用したブルドーザーを農機に転用する事業に1億8000万円の助成金を出す。農閑期となる冬場は建機として使い、春先から夏場の農繁期には農機に転用することで、農家の負担を抑える。農水省によると、日本の農機は1台当たりの価格が韓国の最大1.6倍にもなる。国内製農機の出荷台数の内、『クボタ』・『ヤンマーホールディングス』・『井関農機』・『三菱マヒンドラ農機』の4社が占める割合は8割に達する。「大手企業の寡占が価格を高止まりさせている」(幹部)とみる農水省は、コマツに熱い視線を送る。寡占市場に風穴を開ける役回りを期待する。当のコマツの狙いは、農水省とは微妙に異なる。

野路国夫会長は、「農機メーカーと張り合うつもりはない。社会貢献の一環だ」と明言する。同社は、農業が盛んな石川県に生産拠点を持ち、取引先等ステークホルダーに農業従事者が一定数いる。農機プロジェクトは企業の社会的責任というのが、コマツの立場だ。20台のブルドーザーを農家に貸し出す事業計画からも、寡占市場に挑む意欲は窺えない。農機の市場は縮小傾向にある。消費者のコメ離れや耕作放棄地の拡大に伴い、2014年の国内出荷額は3040億円と、1995年より4割減った。保守サービス網を維持するのも大変だ。自民党農林部の小泉進次郎会長は昨秋、「トヨタに参入してもらいたい」と語ったが、コスト意識が高い企業ほど市場の成長性を冷静に分析するものだ。ある農水官僚は、「コマツの一本足打法」と表現する。「コマツ以外には目ぼしい参入企業が無い」という意味だ。大手4社を脅かす企業は登場するだろうか? 先が見えない企業参入より、農機の補助金を見直したほうが効果は大きい。年に3~4ヵ月ほどしか使わなくても、エアコンやステレオが付く“レクサス農機”が存在するのは、補助金があればこそ。助成率3割の補助金を当てにして、1台1000万円を超す農機を売り込む営業マンは少なくない。手厚い補助金が、大手4社の低価格機の開発意欲を削いでいる。農家が使う資材の価格を下げる方向性は正しい。農水省が省みるべきは、その手段だ。 (中戸川誠)


⦿日本経済新聞電子版 2017年4月25日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR