【部活動が危ない!】番外編(09) 「改革先駆け、脱“教育”」――安田厚氏(『GXAスカイホークス』運営会社社長)インタビュー
全国で年間数千人の高校球児が中途退部している。理由は様々だが、完全燃焼してほしいと、受け皿となるクラブチーム『GXAスカイホークス』を設立したのが、運営会社の安田厚社長(46)だ。通信制高校に通いながら、地域に根差して野球を学ぶ枠組みは、今後行なわれる部活動改革の流れにも通じる。キーワードは“教育”から“競技”だ。 (聞き手/松山支局次長 松本晃)

――通信制高校と組み合わせた野球のクラブチームを2014年に設立したきっかけを教えて下さい。
「野球教室を東京と大阪、神奈川で、野球留学もアメリカ、カナダを対象に扱っている会社を経営していますが、会社を作った時に、高校野球を途中で辞めてしまう子が全国で年間1万人近くいると知りました。数にびっくりして、『これを何とかしないとな』と思いました。その中で、通信制高校とクラブチームを合わせた仕組みにすればいいと感じました」
――どんな選手が所属していますか?
「監督と上手くコミュニケーションを図れなかった子が一番多いです。グラウンドに平気で唾を吐いたり、指示されたことができなかったり、礼儀を守れない子達が中心です。他にも、引っ込み思案で輪の中に入っていけず、辞めてしまった子もいます。こうした高校世代が全体の5割。他にも、強豪校への入部を断られる等した大学生が3割。野球を諦められず、次の場を求める社会人が2割程います」
――実際、チームをどう運営していますか?
「平日は大和スタジアム(※神奈川県大和市)で、グラウンドが空いている午前中に練習をします。午後は、学生なら勉強や自主練習の時間に充て、社会人ならホテル等の飲食店で配膳の仕事に就きます。週末は、大学リーグの2部や3部に所属する1~2年生を中心にしたチームと練習試合等を行ないます。高校野球では高い規律性が求められますが、僕らはそれより低く設定します。『最低限、挨拶はしよう』というレベルです。それをクリアすることで成長を本人も実感でき、社会人や大学生から『社会や大学はこうだぞ』とアドバイスも貰えます。社会奉仕活動の一環で、街の清掃もしています」
――チームの目指す姿を教えて下さい。
「野球は、監督からサインが出て、練習メニューの指示が出てと、どうしても受け身になってしまうケースが多い。僕自身も社会に出た時、中々自発的にアクションを起こすことが難しかった経験をしました。自分達で考え、自分達で動けるように、自分達で練習メニューを考える時間を設けています。野球を学ぶ“アカデミー”の要素が強く、野球の技術を高めていきます。そこから大学野球や独立リーグ等、もう一回真剣勝負できるところに行ってもらうのが目標です。中途半端に終わった子達は未練たらたらで、いつまでも夢を追いかけてしまいます。野球を燃え尽きるまでやってほしいと思っています。ヤクルト等でプレーした元プロ野球選手の副島孔太さんが監督を務め、目標の大会というものはないですが、良い指導者の下で、しっかり野球ができている満足度は高いです」
――学校の部活動は来年度以降、段階的に地域のスポーツクラブ等に移行されます。これまでの経験から伝えられることはありますか?
「“教育”という概念を外したほうがよいと思います。教育を掲げるが故に厳しくなり、締め付けが強くなってしまいます。理想かもしれませんが、スポーツは楽しむものです。高校生はまだまだ伸び盛りで、管理しながらスポーツをさせるのは違うと感じています。部活動をクラブ化することで、もう少しスポーツを楽しめたらよいかなと思います。アメリカとの比較でわかり易い例があります。日本の場合はキャッチボールから始めますが、アメリカの場合はバッティングからスタートします。勝利に向かって皆で頑張るのは大事なことですが、練習が長過ぎるという弊害もあります。そこも変わっていくといいですね」
2022年6月10日付掲載

――通信制高校と組み合わせた野球のクラブチームを2014年に設立したきっかけを教えて下さい。
「野球教室を東京と大阪、神奈川で、野球留学もアメリカ、カナダを対象に扱っている会社を経営していますが、会社を作った時に、高校野球を途中で辞めてしまう子が全国で年間1万人近くいると知りました。数にびっくりして、『これを何とかしないとな』と思いました。その中で、通信制高校とクラブチームを合わせた仕組みにすればいいと感じました」
――どんな選手が所属していますか?
「監督と上手くコミュニケーションを図れなかった子が一番多いです。グラウンドに平気で唾を吐いたり、指示されたことができなかったり、礼儀を守れない子達が中心です。他にも、引っ込み思案で輪の中に入っていけず、辞めてしまった子もいます。こうした高校世代が全体の5割。他にも、強豪校への入部を断られる等した大学生が3割。野球を諦められず、次の場を求める社会人が2割程います」
――実際、チームをどう運営していますか?
「平日は大和スタジアム(※神奈川県大和市)で、グラウンドが空いている午前中に練習をします。午後は、学生なら勉強や自主練習の時間に充て、社会人ならホテル等の飲食店で配膳の仕事に就きます。週末は、大学リーグの2部や3部に所属する1~2年生を中心にしたチームと練習試合等を行ないます。高校野球では高い規律性が求められますが、僕らはそれより低く設定します。『最低限、挨拶はしよう』というレベルです。それをクリアすることで成長を本人も実感でき、社会人や大学生から『社会や大学はこうだぞ』とアドバイスも貰えます。社会奉仕活動の一環で、街の清掃もしています」
――チームの目指す姿を教えて下さい。
「野球は、監督からサインが出て、練習メニューの指示が出てと、どうしても受け身になってしまうケースが多い。僕自身も社会に出た時、中々自発的にアクションを起こすことが難しかった経験をしました。自分達で考え、自分達で動けるように、自分達で練習メニューを考える時間を設けています。野球を学ぶ“アカデミー”の要素が強く、野球の技術を高めていきます。そこから大学野球や独立リーグ等、もう一回真剣勝負できるところに行ってもらうのが目標です。中途半端に終わった子達は未練たらたらで、いつまでも夢を追いかけてしまいます。野球を燃え尽きるまでやってほしいと思っています。ヤクルト等でプレーした元プロ野球選手の副島孔太さんが監督を務め、目標の大会というものはないですが、良い指導者の下で、しっかり野球ができている満足度は高いです」
――学校の部活動は来年度以降、段階的に地域のスポーツクラブ等に移行されます。これまでの経験から伝えられることはありますか?
「“教育”という概念を外したほうがよいと思います。教育を掲げるが故に厳しくなり、締め付けが強くなってしまいます。理想かもしれませんが、スポーツは楽しむものです。高校生はまだまだ伸び盛りで、管理しながらスポーツをさせるのは違うと感じています。部活動をクラブ化することで、もう少しスポーツを楽しめたらよいかなと思います。アメリカとの比較でわかり易い例があります。日本の場合はキャッチボールから始めますが、アメリカの場合はバッティングからスタートします。勝利に向かって皆で頑張るのは大事なことですが、練習が長過ぎるという弊害もあります。そこも変わっていくといいですね」

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