【NHKはどこへ】(06) 「インターネット受信料の対象はアプリを導入した人が最も現実的」――曽我部真裕氏(京都大学教授)

『NHK』のインターネット配信が本業になった場合、受信料徴収の在り方はどうなるのか。インターネット受信料は、①ラジオのように無料にする②アプリをインストールした人③端末所有者④全ての国民が支払う――といった選択肢がある。本来の受信料は放送の対価ではなく、公共放送機関そのものを支える国民負担だが、実際はテレビ受信機の有無も加味した制度になっている。国民の理解を得易いのは②だろう。インターネット空間の中で、公共メディアとしての役割をどこまで果たせるのかも重要だ。総務省は公共の役割として、情報空間での“インフォメーションヘルス”の確保を強調する。偽情報が飛び交うインターネット空間で信頼性の高い情報を発信することで、“情報の健康”を保つという考えだ。しかし、インターネット情報は“見たいものを見る”が大前提だ。インターネット上で存在感を示せれば解毒剤的な役割になる可能性はあるが、NHKの情報発信がインターネット空間を劇的に向上させるというのは過大な期待だ。規制のないインターネット空間では、信頼性の低い記事も高い記事も同列に扱われる。NHKだけでは公共の役割を果たすには不十分だ。メディアの多元性を考える上では、存続の危機にある新聞等の主要メディアを維持する為の政策も打ち出すことが必要だ。 (聞き手・構成/本誌 野中大樹・井艸恵美)

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テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
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