【韓国大統領選2017・安哲秀研究】(下) 文と因縁対決、支持陰り

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韓国大統領選で2度目の戦いに挑む中道左派の野党第2党『国民の党』の安哲秀は、保守と左派の2大勢力が支配する韓国政界に、たった1人で舞い降りた“宇宙人”のような存在だ。全国行脚したトークショーで、既成政治に飽き足りない若者の熱望を一身に集め、政治の表舞台に躍り出てから6年。2大勢力の間で埋没するか、両勢力を糾合して“国民統合”を成し遂げるか、正念場を迎えている。前回2012年は、本選で保守の朴槿恵と戦う前に、左派の文在寅との候補一本化で辞退。「組織の無い無所属の悲哀」(選挙参謀)を味わった。保守候補が低迷する今回、文との“因縁の一騎打ち”に臨んでいる。「2012年の大統領選は完走できず、失望した国民がいることはわかっている。その時より1000万倍強くなった」――。今月4日の党候補者受諾演説。安は両手を振り上げ、野太い声を絞り出してこう語り、「ひ弱な姿は過去のものだ」とアピールした。朴・文・安の三つ巴の争いだった前回。文と安の候補一本化に向けた直談判で、文は「一歩も譲らなかった」(同)。安は告示2日前に記者会見し、「(これ以上)対立すれば国民に申し訳ない」と涙ながらに辞退表明した。本選で安が文の応援遊説に駆けつけたのは、選挙戦が始まって10日後。おざなりであることは明白だった。安は投開票当日、結果を見ずに渡米。文は惜敗した。文は今年1月に出版した対談エッセーで、安の応援は「物足りなかった」と吐露。安は「獣でも口にしない言葉だ」と罵り、遺恨の深さが浮き彫りになった。

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文との争いは、安が2013年4月の国会議員補選で無所属候補として初当選し、翌2014年3月に文と野党『新政治民主連合』(※現在の『共に民主党』)を結成した後も続いた。2015年4月の再・補欠選で同党が敗北すると、安は党代表だった文の引責辞任を要求。文が拒否すると、安は同年12月、「党革新は不可能との結論に達した」として離党した。安は2016年2月、同党反主流派を率いて、新党『国民の党』を設立した。同年4月の総選挙で、幹部は文がいる『共に民主党』との選挙協力を主張したが、安は「荒野で死んでもいい」と突っ撥ねた。結果は20議席から38議席へと躍進。安は「政治的困難の中で突破力と成果をみせた」と、当時の“意地”を振り返る。しかし、既成政治にどっぷり潰かった安に、往時のカリスマは無い。安に対する若者の熱狂も冷めている。安が足場とする『国民の党』は、全羅道を地盤とする左派の元大統領・金大中の信奉者集団。安が打倒を叫ぶ“古い政治”・“地域主義”そのものだ。若者の支持は寧ろ、朴の弾劾要求集会に参加し続けた文に向かう。文は、保守系政党から連帯論がある安を、「(朴)政権延長の代理人」と批判する。出馬直後、文に肉薄した安の支持率は、ここへ来て失速している。社会コンサルタント会社『オピニオンライブ』世論分析センター長の尹熙雄は、「文を当選させたくない保守票が、テレビ討論をみて安から離れ、組織固めを進めた保守系候補に流れた」と分析する。“金大中党”にいながら保守票に手を伸ばす安は、今月19日のテレビ討論会で、金大中の対北朝鮮融和政策を継承するか問われ、「良いところも悪いところもあった」と歯切れの悪さを曝した。10日付の朝鮮日報社説は、「文は(朴)弾劾、安は文に対する幅広い拒否感のおかげで2強になったが、多くの有権者は(2人とも)大統領に相応しいか疑問視している」と批判した。勝利のカギは、「“アンチ文”を超える国家ビジョンと価値」(5日付同紙社説)を示せるかどうか。安は「あらゆるものがインターネットに繋がるIoT等を活用した第4次産業革命で韓国経済を活性化できるのは、IT企業家だった自分だけだ」と説き、最大の武器である頭脳と商才をアピールしている。 《敬称略》

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ソウル支局 宮崎健雄が担当しました。


⦿読売新聞 2017年4月22日付掲載⦿
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