【NHKはどこへ】(07) 「“公共メディア料”としてウェブインフラを支えるシステムに進化させるべき」――境治氏(メディアコンサルタント)

日本は放送と通信の融合を先送りにしてきたが、漸く2020年に同時配信が始まった。『NHK』は公共放送から“公共メディア”に転換しようとしている。だが、インターネット中心の情報空間中でNHKがどのような姿を目指すのか、その実態が未だによく見えていない。インターネット利用者にとっての公共メディアの役割は何か。どのような受信料の仕組みにするのか。新会長に就任する稲葉延雄氏は、難しいパズルに直面することになる。その難題を解く為には、NHKで働く職員達も内側から声を上げ、内部で答えを出す努力が必要だ。更に、視聴者を巻き込んだオープンな議論にすることこそ、NHKが生き残る上での活路となるだろう。新聞や民放等民間メディアも巻き込むべきだ。民放もこれまで以上に公共性を考えねばならない。『ABEMA』も、サッカーW杯の配信では公共性を示せたのではないか。民放はこれまで「民業圧迫だ」と言ってNHKの足を引っ張ってきたが、ローカル局の経営難は深刻だ。受信料を“公共メディア料”に切り替え、NHKだけでなく、民放や新聞、ウェブメディアも含めたウェブインフラを支えるシステムに進化させる。そうした議論をする時だろう。一部から猛反発を受けるだろうが、無秩序なインターネット情報の中で真っ当な言論空間を構築するのが、公共メディアとしての責任だ。 (聞き手・構成/本誌 野中大樹・井艸恵美)

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