【憲法考・施行70年】(02) 自・維、“教育無償化”で接近

20170428 07
2月21日夜、国会近くのホテルのレストラン。自民党の中谷元議員(憲法審査会与党筆頭幹事)から渡された1枚の紙を見て、『日本維新の会』の馬場伸幸幹事長らは小躍りした。教育無償化の必要性や課題を整理したもので、無償化の範囲・保育所の扱い・財源等の検討項目が並んでいた。教育無償化は予て、維新が主張してきた改正項目だ。中谷議員は「議論したら課題も出てくる」と語ったが、維新側は「自民党が真剣に検討を始めたサインだ」と受け止め、会合は一気に打ち解けた雰囲気となった。維新は昨年公表した憲法改正案で、3本柱の1つに教育無償化を据えた。憲法26条に「経済的理由によって教育を受ける機会を奪われない」との表現を加え、「幼児期の教育から高等教育に至るまで無償とする」とする条文案も示した。旗振り役は、維新の法律政策顧問である前大阪市長の橋下徹氏だ。「社会的・経済的事実として、教育無償化は国民が今、一番求めている」と説いてきた。今年に入り、安倍晋三首相もこれに呼応した。

「憲法が普通教育の無償化を定め、小・中学校9年間の義務教育制度がスタートした。本年はその憲法施行から70年の節目だ」。1月の施政方針演説では、憲法と教育を並べて語り、関連性を強く滲ませた。憲法改正への意欲を訴えた先月の自民党大会でも、「どんなに貧しい家庭に育っても進学できる。そういう日本を作っていこう」と呼びかけた。教育無償化を自民党が受け入れ、代わりに憲法改正で維新の協力を求める――。自民・維新両党の思惑はぴたりと一致した。時代の要請もある。子供の進学率が家庭の経済状況に左右されている。2015年の大学進学率(※短大含む)は全体では51%だが、生活保護世帯では半分以下の205だ。抑々、日本は国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合が低い。『経済協力開発機構(OECD)』加盟35ヵ国の内、日本は3.2%(2013年)と、ハンガリーに次いでワースト2位だ。維新幹部は、「憲法に明記されれば、政権の意向や財政に左右されずに無償化が担保される」と意義を訴える。最大の難関は財源だ。幼児から高等教育まで全て無償にした場合、政府は「約4兆1000億円が必要だ」と試算する。自民党内では“教育国債”を発行する案も出るが、「結局は借金(財務省の麻生太郎大臣)との批判も強い。憲法改正したところで財源が確保できなければ、“違憲”と指摘される可能性もある。無償化するにしても、「憲法改正は必要ない」という声もある。公明党は無償化には同調するが、憲法改正による対応には消極的だ。民進党執行部も「一般の法律で対応すべきだ」との立場で、「自民党は国民の理解を得易い項目から改正をしたいだけ」と訝しむ声が上がる。専修大学の棟居快行教授(憲法学)は、「戦後日本が成功したのは教育が機能したからで、教育を憲法改正のテーマとして扱うことは健全だ」と評価する。但し、国民不在の議論には警鐘を鳴らす。「何となく与野党が相乗し易いからではなく、筋が必要だ。国民が『うちは学費を払い終えたのに』といった損得勘定で考えるようになれば、国民投票で否決されることもあり得る」。


⦿読売新聞 2017年4月26日付掲載⦿
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テーマ : 憲法改正論議
ジャンル : 政治・経済

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