【労基署ショックが日本を襲う】(20) 菅義偉官房長官が最も心配する働き方改革の矛盾

20170428 09
退庁時間を過ぎても、霞が関のビル群には煌々と明かりが灯っていた。一方で、庁内に足を踏み入れると、「休むことも仕事です。今度こそ本気です」と書かれた、職員に早期退庁を促すポスターが目に飛び込んでくる。日本人が抱える働き方の矛盾を凝縮していると言える日本の権力中枢、霞が関。この官庁街のみならず、日本全国の職場で常態化している長時間労働は今度こそ、変わるのだろうか? 政府が本気であるのは間違いない。「今、政府が企業に求めていることは、生産性の向上と賃上げの2つ」(内閣官房中堅幹部)。これを実現する為に、長時間労働の是正を働き方改革の“本丸”に位置付け、強力に推し進めている。日本企業で横行してきた長時間労働の悲惨な実態を見る限り、首相官邸が取り組む改革には大義がある。しかし、だからといって、働き方改革の先に薔薇色の未来が約束されている訳ではない。厚生労働省幹部が「長時間労働が是正されたら、それを口実に残業代を減らしたり、払わない企業が増えるリスクがある」と危惧するように、賃上げの為に推進している働き方改革が逆に、年収減を引き起こすかもしれないからだ。政府が掲げる女性の活躍推進の大前提として、是が非でも働き方改革を実現したい菅義偉官房長官も、その点について危機感を持っている。菅長官は今月3日、本誌の取材に対し、「年収が減少するリスクを一番心配している。長時間労働の是正と労働生産性の向上はセットで議論すべき課題であり、それに見合った賃上げが重要。問題意識を持って取り組んでいる」との見解を示した。

20170428 10
長時間労働を是正する筈の法改正が、逆に長時間労働を助長するリスクも浮上している。永田町で継続審議中となっている労働基準法の改正案がそれだ。改正案の目玉は、ディーラー等高収入の専門職を労働時間規制から外す“高度プロフェッショナル制度”の創設。既に野党が「長時間労働に繋がる」と批判しているが、更に危険なのが“企画業務型裁量労働制”の対象拡大だ。企画業務型裁量労働制とは、企業の中枢部門で企画立案を担っているホワイトカラー層に認められた見做し労働制である。システムエンジニア等19職種に限定された“専門業務型裁量労働制”と同様、実働時間ではなく、仕事の成果で処遇することが妥当な職業に限定されているが、「乱用の恐れもある為、専門業務型に比べて要件は厳格になっている」(『労働政策研究・研修機構』)。ただ、徐々に適用対象は広がってきており、改正案では更に、法人顧客に対する提案営業にまで範囲を拡大する方針だ。元労働基準監督官で社会保険労務士の原論氏は、「裁量の対象を広げ過ぎている」と警鐘を鳴らす。裁量労働制は只でさえ、労務意識が低い企業に悪用されてきた経緯がある。今回も、単なる飛び込み営業を提案型営業と称するようなグレー企業に都合よく利用され、事実上のサービス残業の助長に繋がる危険性がある。国会対応に翻弄されるが故に、自らの長時間労働を改善できず、「中央省庁こそ最悪の不夜城職場」と自嘲する霞が関官僚。彼らが長時間労働の是正を巡る誤算に対応できなければ、改革・改正は改悪へと向かうだろう。 =おわり

               ◇

「あとどれくらいで原稿は出る?」――。デスクに聞かれてドキッとするフレーズ第1位です。「あと2~3時間だと思います」等と言って、時間を守れた例は殆どありません。原稿の執筆で悩むのは、読者を惹き付ける“ツカミ”、原稿の出だしです。いい取材が出来て面白いネタが揃うと筆が進みますが、そうでもない時は時間ばかりが無駄に過ぎていきます。すると、いつの間にかキーボードから手が離れ、スナック菓子や甘いものに手が伸びてしまいます。特集の取材を通して「自分も働き方改革をしなければならない」と思いましたが、先ずは原稿の執筆が行き詰まることを見越してお菓子を買い込んでいる自分の意識改革が必要そうです。 (本誌 鈴木崇久)

前号の『商社の英語』に続き、今号でも企業に緊急アンケートをかけました。詳しくは中身をご覧頂きたいのですが、100社中回答数は80社と近年稀に見る高回答率に、この問題に関する企業の意識の高まりをまざまざと感じました。といっても現実には、問い合わせで電話対応に追われた担当記者の“汗”も見逃せません。傍で聞いていると、回答せざるを得ないようなお願いぶりが光りました。企業にもドナルド・トランプ次期政権やボーナス調査と、他メディアからのアンケートが相次いだそうで、「残業を増やしているのは誰だ!」といった恨み節が聞こえてきそうです。企業の皆様、ご協力、心から感謝致します。 (本誌編集長 田中博)


キャプチャ  2016年12月17日号掲載
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