【“地震予知”という名のニセ科学】(04) 根本的な疑問…なぜ地震学者は東京西部に住んでいるのか?

ふと疑問に思う。地震学者はどこに住んでいるのだろうか? 首都直下の危険性を叫んでいるのだから、対策もしているだろう。尤も、地震予知の甘い夢を見ず、自ら備えることが重要だ。 (取材・文/フリージャーナリスト 村上和巳)

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「抑々、日本国内はどこでも地震は起こり得る。その為に常に備えを」と口にする地震学者は多い。確かに、4つのプレートの境界に位置する日本において、国内どこにいても地震のリスクから逃れることはできない。とはいえ、やはり地震が発生したことで、被害が起き易い場所と起き難い場所はある。例えば東京都は、23区において建物倒壊や火災の危険度を5レベルに分けた“地域危険度マップ”(左画像)を公開しているが、地域によって危険度は大きく異なる。赤い点のエリア(※火災危険度)と青い点のエリア(※建物倒壊危険度)が其々危険度の高いエリアになるが、足立区・荒川区・墨田区等、東京北東部に危険なエリアが集中している。首都直下型地震の切迫度が地震学者から語られる中、一体彼らはどこに住んでいるのか? 今回、筆者は『日本地震学会』会員名簿、及び国内地震学の総本山とも言える『東京大学地震研究所』の職員名簿を入手した。その中から、主な地震学者81人の住所を地図上に落とした。それが右下の地図である。東京都内の地震リスクについて、国内外の災害現場を取材してきた朝日新聞オピニオン編集部次長の黒沢大陸氏は、こう語る。「都内23区の東部や沿岸部は地盤が弱く、地震の時に大きく揺れ易い。また、山の手や多摩地区は川沿いや谷地で大きく、揺れ易い場所がある。更には、官庁や企業の本社が立ち並ぶ霞が関から丸の内・大手町にかけての低地も地震で揺れ易く、関東大震災でも特に強い揺れに見舞われた」。

先程の地域危険度マップで見ると、確かに建物倒壊危険度で最も危険なエリアは、黒沢氏が指摘する東京都東部の台東区・墨田区・足立区・江東区に集中している。同じく東京東部の葛飾区や江戸川区の最も危険なエリアも加えると、実に危険なエリア全体の95%がここに集中する。では、火災危険度で見るとどうか。一般に火災危険度は、木造家屋の多さに加え、道幅が狭く消防車等が入り難い等の条件も関係し、建物倒壊危険度同様に、東京東部7区、とりわけ足立区・荒川区に集中しているが、同時に黒沢氏はこんな指摘もする。「木造住宅が密集しているJR山手線の外側から環七通り沿いの地域、つまり都心と郊外の間のドーナツ状の地域の危険度も高くなる」。黒沢氏の説明を受けて地震学者が住む街を見てみると、都内在住の地震学者の多くはまさに、東京都西部地域在住者が多い。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏(地震学)に、実際に地震学者が住む街の地図を見せた。「やはり、多くの研究者は地盤がいいところに住んでいる。震災には弱い木造住宅密集地帯に住んでいる人はいないようだ。私自身も、地盤の固い練馬区に住んでいる」。実際、建物倒壊危険度の最も危険なエリアに住んでいる地震学者はたった1人、火災危険度で見ると3人だった。地震学者が意識して安全なエリアに居住地域を選んでいるかは定かではないが、少なくとも多くの地震学者が安全な地域とされる場所に住んでいることは明らかだろう。災害危機管理アドバイザーで、生活情報サイト『オールアバウト』の防災ガイドを務める和田隆昌氏は、こう語る。「津波等の死因を除けば、9割近くの死者が家屋内で発生していることを考えると、個人による地震対策の最優先課題は安全な家に住むこと。とりわけ首都圏は、耐震性と耐火性の双方を備えることが必要です」。尤も、安全なエリアに住んでいたとしても、地震発生時に自宅にいるとは限らない。また、たとえ自宅が倒壊しなくとも、ライフラインの復旧までには時間がかかる。当然、日頃から備えておくことが重要である。和田氏が常日頃から持ち歩きを勧めるのは、500ミリリットル程度のペットボトル飲料水・飴やチョコレート等の比較的高カロリーの軽食・マスク・消毒用ウェットティッシュの4点だ。「先ず、地震発生直後には安全な場所に移動しなければなりません。長時間を要する場合もあり、水とちょっとした食料が無くては体力的にも移動が難しくなる。また、地震災害時は倒壊した建物から舞う粉塵、或いは2次災害として発生した火災から発生する有毒ガス、避難所に到着した時に屋内での感染症等から身を守る必要があります。その為に、マスクや多目的に使用できる消毒用ウェットティッシュは、最も優先度が高いと言えます」。また、オフィス街に勤めている女性はハイヒールを履いている場合が多い。移動の際に歩き易い運動靴等を、仕事場に1足置いておくことも重要だ。これらに加えて重要なのが、情報源となる携帯電話やスマートフォン。停電も考慮し、補助バッテリーと共に必須装備だという。避難場所へ移動してから必要なものの準備もしておこう。前述の基本持ち物に加え、耳栓やアイマスクがあると便利だという。避難所は多くの人が密集し、周囲の話し声や夜間睡眠時の鼾等に悩まされ、睡眠を妨げられることも少なくないからだ。

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これらの他には、女性では避難所での配給品で不足しがちな生理用品、体調を崩し易い高齢者では総合ビタミン剤・常備薬、冬は携帯カイロ等を加えた持ち物が望ましいという。更に和田氏は、「高齢者の場合は、院外処方等で保険薬局から手渡されるお薬手帳や歯磨きセットも必要だ」と話す。「東日本大震災の際には、避難所で高齢者が自分の処方されている薬の名前がわからず、救護所が混乱したことが知られていますが、お薬手帳があればこのような混乱は防げます。また、高齢者は生死に関わる肺炎にも罹り易く、口腔内を清潔にしておくことでそのリスクも防げます」。子供を避難所に連れていく際には、移動中に怪我等をしないよう、自転車に乗る際に使用するヘルメット等を着用させると共に、嵩張らない程度のお菓子や玩具も持ったほうが望ましいという。「『玩具なんて…』と思うかもしれないが、子供は環境の変化に敏感で、精神的不安定になり易い。その際に遊び慣れた玩具があることは、そうしたことへの予防の面からも重要」(和田氏)。和田氏が震災発生時に備え、準備しておくべきものとして挙げたのがリンク先のリストだ。しかし、準備万端で自宅も倒壊していない場合でも、「1日1回程度は避難所に顔を出すべき」と和田氏は指摘する。「避難所では定期的に被災者向けの配給がある他、行政によるサポート情報も真っ先に提供される。 このようなモノ・情報を入手する為に、最低限の避難所活用は必要です」。地震予知に全く期待のできない今、“地震大国”日本に住む全ての人にとって、事前の備えが必要であろう。ただ、こうした避難グッズを揃えるにも当然、お金はかかる。地震調査研究に年間200億円の予算を使うぐらいなら、避難グッズを無償で国民に配ったほうが、被害の最小化に有効なのではないだろうか――。そう思わずにはいられない。


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