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【火曜特集】(605) “口の悪さ”と“裏切り”だけは一流…KADOKAWA・夏野剛社長の“東京五輪クーデター”に社内外から怒りの声

東京2020オリンピック・パラリンピックのスポンサー選考を巡る汚職事件の贈賄側企業で、社内に不穏な空気が流れているのが『KADOKAWA』だ。代表取締役社長の夏野剛は、ガバナンス検証委員会等による社内調査を実施。前会長の角川歴彦に事件の責任があると結論付けた。しかし、内部からは「夏野が前会長を陥れた」と怒りの声が上がっている。前会長の逮捕前から現在まで、KADOKAWAで一体何が起きているのか――。 (取材・文/本誌取材班)



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KADOKAWAは2月2日、代表取締役社長の夏野剛らが出席して、“東京五輪における当社役職員の贈賄容疑を受けた再発防止策を含む今後の取り組みに関する会見”を開催した。五輪汚職では、大会組織委員会元理事の高橋治之が5社から1億9800万円の賄賂を受け取ったとして、受託収賄の罪で起訴。そのうちKADOKAWAからは、高橋の『電通』時代の後輩で既に起訴された深見和政と共謀して、約7600万円の賄賂を受け取ったとされている。贈賄側のKADOKAWAは、前会長の角川歴彦と元取締役専務執行役員の芳原世幸、担当室長だった馬庭教二が昨年9月に逮捕され、3人とも時効分を除く6900万円の賄賂を渡した罪で起訴された。ただ、馬庭と芳原の2人は犯行を認めているものの、歴彦は「汚職に関与したことは一切なく、裁判で無罪であることを明らかにしていきたい」と事件に関わったことを否定している。ところが、社内調査したガバナンス検証委員会は、3人らによる行為は「贈賄罪に該当する可能性が高い」と結論付けた報告書を1月23日に公表。会見では、検証委員会委員長である弁護士の中村直人が、事件の背景を次のように説明した。「“会長案件”という言葉も社内にはございまして、会長がなさると皆さん、中々物事が言えなくなるようでございます。【中略】規定上は特に決裁権限を持っているわけではないけれども、実際上は強い人事権を持っていたと思われますし、役職員もそう思っていた。それが忖度を招く原因にもなったかなと思っております」。続いて夏野が取締役会の改革案を発表。指名委員会設置会社に移行すること、取締役会の過半数を社外取締役にすることを、6月の株主総会で決定すると説明した。

しかし、KADOKAWAの対応には幾つもの疑問点が浮かぶ。先ず、事件の裁判も開かれていないのに、関与を否定している前会長の歴彦の責任を検証委員会が明確にしていることだ。「調査は刑法上の贈賄罪該当性や、会社法上の関係者の善管注意義務違反の有無を判断する為のものではない」と説明しながらも、前会長らの行為を「ガバナンスの観点から不適切」だと指摘した。刑事裁判の有罪無罪に関係なく、汚職事件の責任は前会長にあると結論付けたのだ。五輪汚職の贈賄側で、こんな対応をしている企業はない。また、この会見の前日には、歴彦の弁護団が報告書に対する抗議書を送っている。検証委員会の選任候補や選任の理由が不明確であることや、執行部の意向に基づいて活動した可能性が否定できない等と主張し、報告書をホームページ上から削除するように求めた。これに対し夏野は、「専門性の高い弁護士で、KADOKAWAと付き合いがなかった弁護士に声をかけた」と説明。ガバナンス検証委員会から削除要請がない限り、報告書の公開を続ける方針だ。夏野は事件当時、同じグループの『ドワンゴ』の取締役だった。事件に一切関わっていないと説明する一方、自分が2021年6月にKADOKAWA社長に就任してからは“会長案件”などなく、取締役会が以前よりも機能していることを会見で自画自賛した。まるで夏野が“善”で、歴彦が“悪”と印象付けているかのようだ。夏野のこの態度に、KADOKAWAの原点である旧『角川書店』出身者は憤る。「未だ裁判も開かれていないのに、おかしいですよね。夏野が歴彦前会長をなきものにしようとしているのは明白です。多くの人が夏野体制に不信感を持っています」。更に、ガバナンス検証委員会の前段として、逮捕前から関係者を社内調査していた危機管理委員会の実態について疑問視する声が、本誌取材班に寄せられた。東京地検特捜部がKADOKAWA関係者の事情聴取を始めたのは昨年8月上旬。すると、同月12日には國廣正ら3人の弁護士による危機管理委員会が設置された。3人は何れも顧問弁護士ではない。委員長の國廣は、刑事裁判ではなく企業の危機管理やリスク管理体制構築等を専門とする弁護士で、自身の事務所から2人の弁護士も調査に参加した。この“國廣チーム”に、社内の関係者は当初から不信感を持っていたと明かす。「会社と独立した委員会といいながらも、國廣チームを呼んだのは夏野です。事情聴取の段階で、顧問弁護士を外してこのような委員会を立ち上げるのは異常です。しかも、取締役会や関係部署で事実関係を確認するのならわかりますが、國廣チームの調査はまるで捜査機関の取り調べのようでした」。

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危機管理委員会は8月中旬からヒアリングを始める。その手法は、1人ずつ呼び出して個別に聴取するものだった。調査を受けた人物同士は、連絡を取り合うことを禁じられた。当時、会長の歴彦も調査の対象になり、最初は応じていたものの、何度も執拗に聴取が行なわれることを不審に感じて、途中から個人で弁護人を立てたという。この調査の最中だった9月3日、『読売新聞』はKADOKAWAが大会スポンサーに選定されるよう働きかけた疑いを“関係者の話”として報じる。「コンサルタント料名目で総額7000万円を払ったことが判明した」とも書いた。この記事を受けて歴彦の自宅に記者が殺到したことから、5日に歴彦が本社1階で取材に応じる(※右画像)。自分に決裁権はないことや、賄賂を渡した認識がないと明言。「心を卑しくして経営はしていない」と疑惑を否定した。ある関係者は、その際の社内の対応にも首を傾げる。「この会見は会長個人による記者会見だからと、会社は突き放して準備をしませんでした。秘書が少し手伝っただけです。國廣チームが調査している内容が前会長に全く教えられていなかったことも、今思えばおかしな状況でした」。この会見の翌日6日、芳原ら2人が贈賄容疑で逮捕される。歴彦も9月14日に逮捕され、10月4日に起訴されると、関与は否定しながらも会長辞任を表明した。一方、夏野は10月5日に記者会見を開いて、“贈賄行為と評価される疑わしい行為”とした危機管理委員会の結論を発表し、ガバナンス検証委員会を設置して更に調査することを説明したのだ。関係者は、危機管理委員会の調査は「最初から前会長が悪いという雰囲気作りだった」と指摘する。

「前会長がゴーサインを出したというストーリーを作って、そのストーリーに合うように調べているような感じでした。前会長に対する忖度があったので、誰も止めることができなかったという話に仕立てています。夏野がKADOKAWAを乗っ取る為に、前会長を陥れたとしか思えません」。しかも、危機管理委員会の社内調査は詳細なものだった。役職員延べ19人に40時間の聴取を実施し、社内の電子メールやファイル等の電子機器に残る記録を保全し、解析をするデジタルフォレンジック調査が実施された。これらの証拠資料は法律事務所内で保管し、 KADOKAWAには一切開示しない取り扱いとした、と説明されたが、関係者は「信じられない」と話す。「夏野と國廣チームは一体化していて、夏野の指示で高額な報酬が支払われたとも言われています。夏野が何も知らないなんて誰も信じないでしょう」。本誌取材班はKADOKAWAに、危機管理委員会はどのようなプロセスを経て設置されたのか質した。回答は次のようなものだった。「代表取締役の夏野より、当社として自ら徹底した事実関係の調査を行ない、実態を把握する目的で、会社から独立した外部の弁護士のみにより構成される調査チームを設置するよう指示がありました。相談した社内の関係者については公表しておりません」。また、危機管理委員会による調査資料を東京地検特捜部に提出したか、若しくは家宅捜索で押収されていないのかと質すと、「捜査に関することへの回答は控えさせていただきます」と答えるのみだった。若しも自ら提出したのならば、調査の目的が捜査に加担する為だったとも受け取れる。ここで改めて夏野という人物について見ていきたい。1965年3月生まれの58歳。早稲田大学政治経済学部を卒業後、『東京ガス』に入社。ペンシルバニア大学経営大学院に留学後、東京ガスを退社し、ウェブ広告のベンチャー企業の副社長に就任するが、会社は倒産。転機は『NTTドコモ』の『iモード』事業に参画したことだった。iモードの成功によって、40歳の若さで執行役員に就任する。その後、NTTドコモを離れると多くの上場企業の社外取締役を兼任。現在も相当数の企業で続けている。それ以外にも、ベンチャー投資の『ブレインズネットワーク』を高山照夫と設立する等、その収入の全貌は見えない。KADOKAWAグループでは2019年にドワンゴの代表取締役社長に、2021年6月にKADOKAWAの代表取締役社長に就任した。夏野は政界とも近い。五輪汚職の舞台となった組織委員会で会長を務めた元首相の森喜朗とは、夏野が学生時代に森の事務所が主宰する学生会に所属し、アルバイトをしていた縁がある。五輪の大会組織委員会の参与や、内閣府の規制改革推進会議議長(※今回の件で辞任)等、政府関連の要職に次々と就任する。

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ドワンゴの『ニコニコ生放送』における党首討論の司会をやりたがる等、政界人脈を保ちたがり、「IT大臣になりたがっている」という説もある。そのプライベートは派手だ。港区にある自宅は5億円以上の豪邸といわれ、大のワイン好きを公言する。夏野をよく知る人物は、「ある会社では殆ど出社しないくせに、態々高いワインを部屋に置いていた」と証言。「夏野の考えは、カネが欲しい、目立ちたい、モテたいが軸」「いけすかない人物」と評する人物もいた。『フジテレビ』でコメンテーターも務めていたが、それは夏野の弟が同局に勤めていたからだと言われる。その弟は、某レコード会社の女性社員や新人女子アナへのセクハラが報じられた。更に、一般的に認知されているのは夏野の“口の悪さ”だろう。10年以上前から自身の『ツイッター』では貧困者や社会的弱者に対して辛辣で高圧的な発言をして、度々炎上していた。より広く認識されたのは2021年7月。インターネットテレビ局『ABEMA』の報道番組で、あるコメンテーターが「子供の運動会や発表会が無観客で行なわれる一方で、五輪に観客を入れるのは特別扱いではないのか」と発言すると、「そんなクソなピアノの発表会なんかどうでもいいでしょう。五輪に比べれば」と暴言を吐く。この時はKADOKAWAの社長に就任したばかりで、役員報酬の一部を自主返上している。夏野の“口の悪さ”はそれだけではない。1945年の角川書店創立以来、約80年に及ぶKADOKAWAの歴史をも蹂躙しているという。

社内からは、夏野の次のような発言が聞こえてくる。ある会議で「新入社員には“角川人”として歴史を学んでほしい」という発言が出ると、「角川の歴史だとか文化だとか言っているから、この会社はだめなんだ!」と激高。自社倉庫に置いてある紙の本の在庫を見ると、「これは全部ゴミ」と吐き捨てる。更に、歴彦の肝煎りで開設された『角川武蔵野ミュージアム』の目玉で、編集者の松岡正剛が手がけた高さ約8mの巨大本棚に囲まれた本棚劇場に対して、「紙屑の山」と言い放ったという。関係者がこう嘆く。「何しろ、夏野はKADOKAWAが培ってきた出版文化に全く理解がありません。執筆者や全国の有力書店から軽蔑されています。アニメを含む映画や映像事業の仕分けを表明したことで、映画関係者からも怒りを買っています。社長になってから公然と『KADOKAWAはだめだ』と言っていることは前会長の耳にも入っていたので、そう長く社長はさせられないと思っていた筈です」。抑も夏野が社長になれたのは、創業家で前会長の歴彦に取り入ったからに他ならないが、社長になって掌を返した。「夏野は“会長案件”を悪い意味で使っていますが、KADOKAWAを多角化して成長させてきたのは“会長案件”によるもので、夏野は何も貢献していない。しかも、最大の“会長案件”は夏野の社長就任でした。その前会長を裏切り、陥れているのです」(同)。夏野に関しては、「別の会社でも経営トップを裏切った過去がある」と話す人物もいる。“口の悪さ”と“裏切り”が、この御仁の特徴なのだろう。KADOKAWAの五輪汚職疑惑では、夏野と前会長の対立以外にも異常な事態が起きている。歴彦が逮捕から半年以上が経った3月20日時点でも、保釈が認められずに勾留されていることだ。五輪汚職の中心人物である高橋でさえ、既に昨年12月に保証金8000万円で保釈されている。また、79歳という高齢の為、健康面の不安もある。関係者によれば、勾留されている拘置所では新型コロナウイルスの感染が広がり、歴彦も12月に感染したとの情報もある。また、今年2月には倒れて、慶應義塾大学病院に入院していた。この間、夏野は本社の会長室の取り壊しに着手。社内統制も強化して、専制体制を構築しているという。前出と別の関係者は語る。「店で100万円もするワインを飲んで経費で落とす一方、社内に告げ口をする社員を配置して、自分にとって悪い情報を集めようとしています。ゲシュタポと同じですよ。角川家の流れを汲む社内賞を廃止し、新たに別の社長賞を創設して高額な賞金を与える等、社員の歓心を買うことにも熱心です。賞金の額は何故か秘密で、500万円とも1000万円とも言われています。出版には厳しい反面、自分に直接プレゼンされるとポンと予算をつけることもあって、社内は混乱しています」。夏野による社内調査と社内改革の性急さは、歴彦の保釈までに乗っ取りを完成させる為だと考えれば辻褄が合う。ただ、歴彦は会長を辞任したものの、主要株主である。夏野に対する社内外からの反発も大きい。夏野の裏切りが成就するかどうかは不透明だ。 《敬称略》


キャプチャ  2023年5月号掲載
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