【憲法施行から70年】(01) 自民、与野党協調に焦りも

日本国憲法は来月3日、1947年の施行から70年を迎える。憲法改正論議は進むのか。各党の動きを追った。

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先月16日、約4ヵ月ぶりに議論を再開した衆議院憲法審査会。開始から15分ほどが過ぎたころ、会場に1人の男性が姿を現した。杖を突き、スーツを着たこの男性は、元外務大臣の中山太郎氏(92)。2000年1月に設置された前身の衆議院憲法調査会の会長を長く務めた人物だ。大阪に住む中山氏は、審査会が終わると「上京してよかった。元気を貰った」と語り、車に乗り込んだ。今の衆院憲法審には、中山氏がトップを担った憲法調査会時代のメンバーが多く在籍する。特に、自民党憲法改正推進本部長の保岡興治氏や船田元氏、民進党の枝野幸男氏は、其々の党内で憲法論議のキーマンだ。長年、憲法に携わってきた“憲法族”とも呼ばれる。キーワードは“与野党協調”。議席数に拘わらず、平等に発言機会を与える等、少数政党にも配慮した審議手法を採る。憲法族の信頼感は強い。今月19日夜、保岡氏・船田氏・枝野氏・辻元清美氏ら自民党と民進党の憲法審査会のメンバー数人が、東京都内の日本料理店に集まった。「与野党が集まってざっくばらんに話をしていけば、憲法改正の道も自ずと見えてくる」。保岡氏がこう語って、会合を締め括った。

だが、自民党の保守派にとっては、野党との協調路線では改憲に向けた突破口が開けない。今年に入り、衆議院の憲法審査会は4回開いたが、何れも各党の意見表明と有識者への質疑が主な内容だ。当初目指していた今国会中の改憲項目の絞り込みの見通しは立っていない。今月中旬の憲法審査会の与党幹事会合で、平沢勝栄氏が「選挙があって審査会のメンバーが代われば、また一からやり直しだ」と指摘し、改憲項目の絞り込みに向けた議論を加速するよう呼びかけた。安倍晋三首相に近い下村博文幹事長代行は、「自民党自ら改憲の発議案をどんどん提案し、世論作りをすることが大切だ」と語る。昨年の参院選で、改憲に前向きな勢力が、参議院で憲法改正に必要な3分の2を超えた。衆議院は既に与党で3分の2を占め、改憲原案を国会で発議できる環境は整う。それだけに、「野党の主張を丸のみしていては進むものも進まない」と焦りの声が、保守派には渦巻く。地方自治等をテーマに開いた今月20日の参考人質疑では、自党の見解に近い参考人を推す野党側に配慮し、自民推薦の有識者は呼ばなかった。野党とのパイプが太い船田氏が先月に審査会幹事に復帰したことには、「与野党協調が進む」との期待がある一方、「憲法改正の早期実現にはマイナスだ」(自民党幹部)との声もある。船田氏は、2015年に衆議院審査会で、参考人が安全保障関連法を“違憲”と述べた責任を問われて、自民党憲法改正推進本部長を事実上更迭された経緯がある。現在、本部長は保岡氏が務めるが、早期改憲派の中には交代を求める議員もいる。首相は、自らが前面に出ようとすると野党が反発する為、今のところ野党の軟化を待つ“熟柿戦略”を取るが、保守派には焦りが募る。今後の改憲論議の行方は、自民党内の主導権争いも絡んでくる。


⦿日本経済新聞 2017年4月25日付掲載⦿
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テーマ : 憲法改正論議
ジャンル : 政治・経済

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