【儲かる農業2017】(06) No.1モデル農家が伝授! 貴方も真似できる“儲かる農業”4原則

茨城県つくば市に本社がある『ワールドファーム』は、加工用キャベツの生産で急成長する農業法人だ。圧倒的な収益力と、それを裏打ちする経営理念で大企業や行政を巻き込み、“ムーブメント”を起こしている。昨年2月、本誌が農業特集で“儲かる農業”の代表として紹介したところ、提携を希望する大企業やカット野菜の工場を誘致した自治体から問い合わせが殺到した。飛ぶ鳥を落とす勢いのワールドファームの秘密に迫った。

20170501 09

■経営ビジョン…説得力ある経営理念でパートナーを魅了!
2014年夏、秋田県が開いた説明会には、ワールドファームの農場誘致を検討する20以上の市町村から40人が参加していた。これほど行政関係者が集まるのは、①ワールドファームの経営ビジョンに賛同できる②地域に雇用を生んだ実績がある――の2つの条件が揃っているからだ。ワールドファームの経営ビジョンはシンプルだ。一言で言えば、「輸入に頼っている野菜を国産に置き換えることで、地域を元気にする」というものだ。例えば、日本で年間消費される冷凍野菜100万トンの殆どが中国等の外国産だが、この内の50万トン分をワールドファームや提携農家で供給しようとしている。これは、農業を振興したい行政は勿論、国産原料を使いたい食品メーカーとも共有できるビジョンだ。秋田県では結局、横手市が進出先になった。1年目は2ha、2年目は10ha以上で、地元農家がコメから転換する作物としてキャベツを作るのを支援した。具体的には、重労働である収穫と販売を同社が請け負った。3年目になる今年は、支援する農地を30haに拡大する。このように、地域に徐々に根を張り、農地を借りて生産を拡大。最終的には、30~200haの野菜畑とカット工場を1つのユニットとして、全国に展開していく――。それがワールドファームのビジネスモデルである。現在、9県で農場を展開しており、2年以内に更に10道県に進出する予定だ。昨年11月、ワールドファームは埼玉県深谷市と農業参入の協定を締結した。深谷市といえばネギの産地で、消費地にも近い農業適地だ。一見、農地が余ることなど無さそうだが、実際には農地を借り受ける農家は限られる。農業の衰退に頭を悩ませていた深谷市がパートナーに選んだのも、やはりワールドファームだった。今では行政だけでなく、大手の建設会社や業界トップクラスの不動産会社等が、ワールドファームに資本提携等の秋波を送る。ワールドファームとしても、新たな地域に進出するのに1ヵ所最低5000万円の資金が必要な為、戦略的に提携を進める考えだ。

20170501 05
■コストダウン…生産・加工の二足の草鞋、社員のフル稼働がカギ
ワールドファームの生産現場を見ようとつくば市を訪れると、社員10人が黙々とキャベツの収穫をしていた。兎に角、手と足が止まることなく動き続けている。写真を撮る為に、一度作業を止めてもらい3枚ほど撮ると、撮影終了の合図も待たずに、社員らが仕事に戻ろうとする。記者泣かせではあるが、それだけ作業に集中しなければ、チームワークを生かした効率的な農業はできないのだろう。タイムを競うように作業に没頭する姿は、まるでプロスポーツのチームのようだった。同社は外国人実習生を受け入れていたこともあったが、効率的な作業には綿密なコミュニケーションが必要な為、受け入れを中止。現在は日本人だけでチームを組み、生産性向上を追求している。日が傾き始めた頃、30aほどの農地の収穫が終わった。てっきり1日掛かりの作業なのかと思っていたら、2時間しかかけていないという。実はこの日、作業チームは収穫の前に、工場でキャベツのカット加工を終えていた。ワールドファームの社員は、生産と加工という二足の草鞋を履く。社員の稼働率を高め、“儲かる農業”を実現しているのだ。人材をフル活用する効果は大きい。左表を見てほしい。表右側の“カット野菜”の工場原価の人件費がゼロになっている。農作業を効率化し、空いた時間で加工をすることで、“生鮮品”の場合の20倍の粗利益を得ることができるのだ。

■販路の確保…野菜のニーズ把握、有言実行の生産力
他の多くのモデル農家に共通することだが、ワールドファームは売る農産物が足りない状態だ。取引先の『マルハニチロ』や『キユーピーグループ』の総菜メーカーから求められている野菜は、年間9万3500トン。この内、現態勢で生産できるのは5150トンに過ぎない。品目別に把握しているニーズは、キャベツ1万7000トン、ホウレンソウ5500トンで、現在の生産量では需要の2~3割しか満たせない。それでも、大手食品メーカーがワールドファームから野菜を買い、供給能力が高まるのを辛抱強く待っているのは、10年・20年先の安定的な調達先として成長してほしいからだ。何せ、ワールドファームの社員の74%が20代だ。平均年齢67歳の日本農業の中では、生産規模だけでなく、若いことそのものが売りになるのである。ワールドファームも顧客の期待を踏まえて、投資判断をしている。同社の上野裕志社長は、「今は足元の利益率を上げるよりも、人材育成に投資している」と話す。

■人材の育成…年200万円貯金、低離職率にも秘密
同社の仕事は確かにハードだが、その分、給料は他産業に劣らぬ水準だ。20代で年間200万円貯金した社員もいたという。入社7~8年の農場長クラスでは、年収は500万円に達する。このクラスまでいくと、農家として独立するか、会社に留まり幹部として働くかを選ぶ。独立する場合は、年収1000万円を稼げるよう、農産物の加工・販売でワールドファームがサポートする。同社の幕内進会長は、「農場長クラスは会社の財産。1億円の価値がある」と話す。野菜畑とカット工場の組み合わせを全国展開する為の中心メンバーになるからだ。社員教育として、経営理念を浸透させることも重視する。その為、上場企業の役員や国会議員が訪れた際は、入社間もない社員も含め、全員で食卓を囲んで話し合う。自社のビジネスが地域振興や農業の産業化に役立ち、社会から期待されていることを再確認させ、モチベーションを高めているのだ。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載




スポンサーサイト

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR