【憲法考・施行70年】(03) 緊急事態、“細野私案”に評価

20170501 16
「やや踏み込んで、具体的に提案したい」――。先月16日の衆議院憲法審査会。民進党の細野豪志代表代行(※当時)が発言すると、与野党の委員は一斉に視線を向けた。細野氏は、大規模災害や有事等緊急事態に備え、国会議員の任期を延長できるようにする憲法改正私案を説明した。「180日を上限に、選挙を延長できるような形にしておけば、如何なる事態でも必要な政策を決定することができる」。国会議員の任期は、憲法で衆議院4年、参議院6年と定められている。だが、憲法には緊急事態に備えた規定は無く、衆議院解散と大規模災害が重なった時には、議員が不在となる可能性も想定されている。自民党は2012年の憲法改正草案で、国会議員の任期延長を含む緊急事態条項の創設を提案し、改正論議の俎上に載せた。東日本大震災時に首相補佐官だった細野氏は、180日という上限にも踏み込み、自民党からも「尊重したい」(古屋圭司委員)との声が上がった。民進党内でも以前から、国会議員の任期延長の議論を求める声はあった。同党憲法調査会の枝野幸男会長は、昨年5月の読売新聞のインタビューで、「全国的に国政選挙ができないような状況で、国会議員の任期が切れてしまうという問題があり、これは大きな争点だ」と言及していた。

だが、その後も党内議論は進んでいない。枝野氏も同日の審査会では、「検討すべき事項は複雑且つ広範にあり、そう単純に結論を出せる間題ではない」と釘を刺した。論点の1つは、参議院の緊急集会との兼ね合いだ。憲法第54条は、「緊急の必要があるときは、参院の緊急集会を求めることができる」と定めている。元々は衆議院が解散されている場合を想定したものだが、「大規模災害時でも参議院緊急集会で対応は可能だ」との主張は少なくない。公明党の北側一雄副代表は審査会で、「先ずは緊急集会の意義・適用範囲を明らかにする必要がある」と指摘した。もう1つは、「“繰り延べ投票”で対応できる」との意見だ。公職選挙法には、“天災その他避けることのできない事故”が生じた場合は、投票日を延期できる繰り延べ規定がある。実際、東日本大震災では特例法が制定され、2011年4月の統一地方選の一部が延期された。ただ、これには「被災地で繰り延べ投票を使っても、比例選では当選人が確定しない。当選人の確定が何ヵ月後になるのは、強い違和感がある」(自民党の中谷元議員)との反論も出ている。緊急事態条項の論点は、議員任期だけではない。首相の権限を強化するべきか、国民の人権を一時的に制限するか等、根幹に関わる問題もある。2012年の自民党草案では、政府への包括的な権限移譲を盛り込んでいる。ただ、与党内でも「首相への権限集中や国民の権利制限を憲法に明記すれば、乱用の恐れもある」(公明党の斉藤鉄夫幹事長代行)との慎重論がある。先月23日の衆議院憲法審査会に参考人として出席した防衛大学校の松浦一夫教授は、警鐘を鳴らした。「権力集中が危険であることは誰も否定しない。しかし、想定外のことは起こり得る」。“想定外”に国会はどう向き合うのか。議論の深まりが求められる。


⦿読売新聞 2017年4月27日付掲載⦿
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ジャンル : 政治・経済

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