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【南鳥島に注目せよ!】(05) レアアース泥の特徴と優位性

20170501 17
どれほど貴重な資源を含んだ鉱床であっても、“含有量”が少ないのでは採算が取れず、事業として成立しない。また、抽出や精錬にかかるコストが高い場合にも成立しない。では、加藤教授が発見したレアアース泥はどうか? 含有量の比較対象として最も適しているのは、中国南部にある世界唯一の重レアアース鉱床『イオン吸着型鉱床』だろう。この鉱床のレアアース含有量は400ppm。それに対して、太平洋・タヒチ東側海域の海底から採取されたレアアース泥は、ランタノイド15元素とイットリウム(Y)が1501ppm・1536ppmと、中国の陸上鉱床を大幅に上回る含有量を示している。また、南アメリカ大陸のイースター島付近で採取されたレアアース泥も、1150ppmという高い含有量をマーク。海域や海底の堆積状態により左右される部分はあるが、レアアース泥の含有量は全体的に、陸上鉱山よりも多い傾向にある。商業化を考える上でも、大変魅力的な鉱物資源と言えるだろう。その資源量は陸上の800倍とも言われており、より希少な重レアアースの含有量も陸上鉱山を上回るというのだから素晴らしい。

レアアース泥が持つもう1つの特徴が、トリウムやウランといった放射性元素を殆ど含まないということ。つまり、陸上の軽レアアース鉱床とは違って、放射性元素の処理や、それに伴う環境問題に頭を悩ませる必要がないのだ。コスト面だけでなく安全性においても、これは大きなメリットである。更に、資源開発に必要な探査が比較的容易であるのも、レアアース泥の大きな魅力。海底の状況を把握する基礎調査だけで、その堆積状況がある程度はわかってしまう。鉱床の探査のように硬い岩盤を掘削する必要はなく、船上からピストンコアラー等の機器を海底に向けて沈み込ませれば、レアアース泥が詰まったコア試料を採収できる。当然ながら、探査にかかる費用も、陸上のレアアース鉱床に比べると、格段にローコストなのである。そして、忘れてはならないのが、泥からレアアースを抽出するのが容易で、しかも高効率であること。濃度の薄い硫酸と混ぜ合わせるだけで、含有するレアアースの85%ほどが抽出できる。前述のイオン吸着型鉱床では、硫酸アンモニウムを用いてレアアースの溶液を作成しているが、こちらの抽出率は75%前後。効率という観点から見ても、レアアース泥は極めて優秀なのだ。最後に、環境に及ぼす影響の低さについても触れておこう。レアアース泥はその名の通り、海底に堆積している“泥”であり、それ自体には何の害も無い。海底から揚泥する際に泥が舞い上がることがあっても、周辺海域の環境に悪影響が出るようなケースは考え難い。つまり、レアアース泥は環境に優しく、探査や抽出が容易でローコスト。それでいて、埋蔵量が多い上に含有量まで高いという、文句無しに有望な資源なのである。


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テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

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