【憲法考・施行70年】(04) “強過ぎる参議院”、是正進まず

20170501 18
自民党が昨年11月から開いている『参議院在り方検討プロジェクトチーム』(※座長は有村治子政調会長代理)。10回に及んだこれまでの会合は、“合区解消”を求める意見のオンパレードだった。「県から代表を出せないことも権利侵害だ。合区は一刻も早く解消してほしい」「憲法に『参議院は都道府県代表と職域代表を以て公選する』との1行を入れれば解決する」。合区は“1票の格差”を是正する“決定打”として導入され、昨夏の参院選から鳥取と島根、徳島と高知は其々1つの選挙区に統合された。だが、4県に強い地盤を持つ自民党では、「地方の声が届き難くなる」(幹部)と評判が悪い。地方の人口減少が進む中、今後も合区は増える可能性があり、危機感は党内に広がる。PTは合区解消に向けて、大型連休明けにも具体策を取り纏める予定だ。有力な方法は憲法改正だ。憲法第43条は、国会議員は「全国民を代表する」と定める。また、憲法第14条が定める“法の下の平等”には「1票の価値の平等も含まれる」と解釈されており、各都道府県から最低1人の議員を選ぶ――つまり投票価値を度外視した選挙制度にするには、憲法改正は避けては通れない。だが、合区解消の憲法改正には、「本来は大がかりな改正が伴うべきだ」との見解もある。公明党の北側一雄副代表は先月16日の衆議院憲法審査会で、「参議院議員を地域代表と位置付けるなら、憲法上の衆参の役割を大幅に見直さなければならない」と指摘した。

その柱は“強過ぎる参議院”の是正だ。第1次安倍内閣での2007年参院選で、自民党は参院第1党の座を失い、国会は衆参で多数党が異なる“ねじれ”に陥った。野党は政権を揺さぶる為、参議院で徹底的にサボタージュを行った。憲法は“衆議院の優越”を明記する一方、「参議院が否決した法案を成立させるには、衆議院の3分の2以上による再可決が必要だ」と定める。現実には、衆議院で圧倒的多数の議席を持たない限り、政権は手も足も出せず、京都大学の大石眞名誉教授(憲法学)は「憲法は衆議院を中心にした議院内閣制を求めており、参議院がこれほど力を持つのは歪だ」と語る。ただ、歴史的に見ても、参議院改革は政治的なハードルが高い。2004年には、自民党の衆議院議員らが再可決要件を“過半数”に緩和する憲法改正原案を纏めたが、同党参議院議員総会の青木幹雄会長(※当時)の逆鱗に触れ、撤回に追い込まれた。同党の2012年改正草案でも、参議院改革は殆ど言及されなかった。いつしか参議院への遠慮も目立つようになり、自民党に限らず、衆議院ではこんな言葉がよく聞かれるようになった。「参議院のことは参議院の議論を見守りたい」。だが、当事者である参議院が自ら権限を縮小させることは考え難い。今国会では与野党参議院幹事長らによる『参議院改革協議会』が7年ぶりに設置されたが、テーマは選挙制度の他、行政監察機能の強化や議員外交の活性化等が並び、参議院の権限抑制に繋がる項目は無かった。大石名誉教授は、「参議院がどうあるべきかではない。国会として如何にあるべきかを、衆参全体の課題として議論しなければいけない」と語る。貴族院が廃止され、現行憲法と共に誕生した参議院も今年、70年の節目を迎える。“良識の府”に相応しい解は、未だ見えてこない。


⦿読売新聞 2017年4月28日付掲載⦿
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テーマ : 憲法改正論議
ジャンル : 政治・経済

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