『Amazon』生鮮宅配、スーパーマーケットと激突――中堅物流活用で物流の脆さをカバー

20170502 19
「17年間もノウハウを積み上げた。250万人の顧客は簡単に奪われない」――。『セブン&アイホールディングス』の幹部は、傘下の『イトーヨーカ堂』が展開するインターネットスーパーについて、『アマゾンジャパン』への対抗心を露わにする。Amazonが先月下旬に始めた生鮮品の宅配サービス『アマゾンフレッシュ』は、野菜・鮮魚・精肉等生鮮品約1万7000点を含む10万点以上を揃え、注文から最短4時間で自宅に届ける。サービス開始直後の先月23日、実際に利用してみた。注文は真夜中の23日午前0時半頃。果物・牛乳・卵・牛肉の他、缶ビールや醤油も購入し、総額は8000円超。23日の正午~14時の間に届くよう時間指定したところ、正午を30分ほど過ぎた頃に男性配達員が届けに来た。サービスは円滑だが、価格競争力は感じられない。有料会員サービス『アマゾンプライム』(※年会費3900円)の登録が必要で、別途月額500円かかる。送料は1回500円(※6000円以上の購入で無料)。会費等の分、イトーヨーカ堂や『西友』のインターネットスーパーより割高感があるが、Amazonの荒川みず恵事業部長は「高品質で新鮮な商品を迅速に受け取ることができる」と強調する。アマゾンフレッシュは日本でも数年前から参入観測があり、準備に相当な期間を費やした印象だ。当面、東京都の港区・江東区等6区で展開し、エリアや品揃えは順次増やす。主に店舗から商品を届けるインターネットスーパーに対して、Amazonは全国に整備した物流拠点から効率的に届ける戦略だ。更に、生鮮の開始に当たっては、神奈川県川崎市の施設に商品を温度帯別に管理する専用棚も設置した。

強気のサービス拡大をぶち上げるAmazonだが、その物流インフラは脆さが露呈している。Amazonが宅配の多くを委託する『ヤマト運輸』は、取扱個数が急増。人手不足や過重労働の問題が表面化した。「問題の多くはAmazonとの取引から生じている」。現場からはこんな声も漏れる。同社は、配達の時間帯指定の一部を見直す他、当日配達の廃止も検討しているもようだ。Amazonが顧客に提供してきた手厚いサービスに影響が出る可能性がある。一方、Amazonにとってはサービスの低下に繋がる為、自社主導での宅配ネットワークの構築に注力する。ヤマトの姿勢とは対照的に、Amazonの方針と軌を一にして急成長するのが、今年3月に『東証マザーズ』に上場した『ファイズ』という物流会社だ。同社は、物流拠点でのオペレーションから宅配まで幅広く業務を受託し、注文から1時間以内に商品を届けるAmazonの『プライムナウ』の担い手の1社でもある。売上高の約7割を占めるのがAmazonとの取引で、今年3月期の売上高は前期比47%増、営業利益は同約2.6倍になった模様。上場時の初値は公募価格の3.2倍を付けた。Amazonは、ファイズのような中堅・中小の物流会社を積極的に開拓。大手との取引変更によるマイナス影響の軽減に加え、実験的な新サービスを任せる“先兵”として活用する意図も透ける。ただ、一部業者に関しては「届くのが異常に遅い」等、消費者から不満の声も上がる。人手不足や過重労働という問題の根は業界全体に共通し、サービスの質を保つ為には課題が多い。勿論、イトーヨーカ堂や西友のインターネットスーパーも、物流の人手不足とは無縁ではない。だが、両社とも100店以上の店舗網から近隣に届ける仕組みの為、物流の負担は比較的小さい。「顧客の要望に応えて、魚をおろしてから届けることもできる」(イトーヨーカ堂)といったきめ細かいサービスも売り物だ。集中的な物流センターを使った生鮮食品の宅配は、受注が増えれば効率が上がるが、鮮度を保つ在庫管理等が壁になる。『住友商事』と食品スーパー大手の『サミット』は共同で、こうした形式のインターネットスーパーを手掛けていたが、2014年に撤退。インターネット業界では、『楽天』が2012年から直販型インターネットスーパー『楽天マート』を手掛けるが、十分な存在感を示せてはいない。生鮮品という消費者に密着した巨大市場は、Amazonにとっても忍耐力を要する挑戦になる。 (取材・文/本誌 河野祥平・藤村広平)


キャプチャ  2017年5月1日号掲載
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テーマ : 経済・社会
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