【“地震予知”という名のニセ科学】(05) 地震学の頂である『東京大学地震研究所』は本当に必要なのか?

“調査研究費”という名の恩恵を受けてきた学者たち。そのトップに君臨するのが『東京大学地震研究所』である。この知られざる組織の内部に迫る! (取材・文/本誌編集部)

20170508 01
“日本地震研究の1丁目1番1号”・“地震村の村役場”・“地震学の総本山”――。東京大学地震研究所(以下“地震研”)は、そんな呼ばれ方もする。地震研は関東大震災後の1925年、地震・火山の現象解明とその減災研究を目的に、旧文部省の『震災予防調査会』を引き継ぐ形で設立された。競合する組織も無く、戦後も地震研究の中では最も多くの予算を獲得してきた。地球物理学としての地震学は、観測データが取得できるようになって僅か100年の学問と言われる。その為、地震学に関する研究部門を有するのは、東京大学を始めとする旧帝国大学が中心だ。そのスター教授たちが集まる地震学の頂点、それが地震研である。地震予知や減災に関する研究を中心に、予算を獲得してきた。文部科学省から各大学への交付金は、具体的な詳細が明らかではないが、『東京大学地震研究所年報2015』(※左図)によれば、人件費と物件費だけで30億円(2014年)を超えている。そんな潤沢な資金を持つこの研究所は、内部の研究者から“プロ野球で言えばジャイアンツ”と例えられているようだ。資金力があり、有力な選手を集められる『読売ジャイアンツ』同様、全国各地の帝大や独立行政法人系研究所の有力な地震学者を引き抜き構成される、まさに“地震学の総本山”だからであろう。内部の研究者が語る。「東大以外の旧帝大系の地震学の研究室と比べれば、研究室当たりの年間予算はゼロが2つ違う。地震学者であれば、『何れは地震研へ…』と願っている人は少なくない」。

とはいえ、若手の研究者には人気が無いようだ。国からの予算が潤沢にあるが故、研究計画書(※請求書)や研究報告書(※領収書)を作る等の事務仕事に忙殺される為、地震の研究をする時間が無いからだ。地震研内部を知るある地震学者は、こう話す。「地震研に声をかけられるまで、地方の大学で准教授クラスまで自分の研究を続けるのが王道でしょう。若くして地震研に入っても、教授の雑用係になってしまう」。だが、そんな地震学の総本山が地震予知や防災等、我々国民にとって有効な研究結果を出しているかと言えば、甚だ疑問である。大地震発生後の地震研に所属する研究者の発言を振り返ってみても、眉を顰めざるを得ない。「ノーマークだった」「想定できなかった」。誰でも言えることだ。一方で、地震予知の可能性は否定しない。否定すれば最後、自らの立場が無くなってしまうからだろう。地震研は謝罪会見に追い込まれたこともある。2013年に起きた断層誤認事件だ。事件の舞台は、東京都で最も大きい断層の1つと言われていた立川断層(※後に「立川市内には断層の痕跡が見つからない」として、“箱根ヶ崎断層”に名称変更)。地震研の佐藤比呂志氏が、武蔵村山市内にあった『日産自動車』村山工場の跡地内で断層の掘削調査を行った。所謂“トレンチ”と呼ばれる大きな溝を掘り、そこに露出した地層から過去の地震の履歴等を調査した。この時、佐藤氏は「掘削断面で凝灰岩と見られる石が垂直方向に並んでいるのを発見した」として、「これまでは立川断層が上下に動く逆断層と言われていたが、横ずれ断層の可能性が高い」と発表した。ところが、この現場を一般公開した際に見学した土木関係者から、「佐藤氏が凝灰岩と判断したものはコンクリートではないか?」と指摘を受けた。その後の調査で、日産村山工場建設時の基礎工事で打ち込まれたコンクリート杭の残存の可能性が高まり、佐藤氏は「(活断層がある筈だという)催眠術にかかっていた」という珍妙な言い訳で謝罪に追い込まれた。前出の地震学者が語る。「早期に率直な謝罪をしたということで、研究者の中では概ね好意的な評価でした。ただ、この時のトレンチによる掘削範囲は、通常の同じ調査の数倍の規模だった。『それだけの予算を使いながら何をやっているんだ』という声もあったのは事実です」。だが近年、地震研の評判を最も悪化させた事件は他にある。東日本大震災翌年の2012年1月23日、読売新聞の1面に衝撃的な記事が掲載された。『首都直下型 M7級 4年内70% 地震活発 切迫度増す 東大地震研試算』。当時、政府の『地震調査研究推進本部』が同じ首都直下型地震で公表していた30年以内の発生確率は70%。極めて大きな数字だったことから話題になった。この試算は、地震研の平田直教授を中心とする研究チームが纏めたもの。平田教授は現在、東京大学地震研究所地震予知研究センター長や『東海地震判定会』会長も務める日本を代表する地震学者だ。試算そのものは、“グーテンベルクリヒター法則”と呼ばれる古典的な地震の確率理論から算出されていた。しかし、概算と言っていいほど、その時々の地震発生状況や地域の設定で誤差が出る試算方法であり、試算結果を公表することには一定の考慮が必要だった。

20170508 05
読売新聞の報道は、テレビは言うに及ばず、週刊誌等も巻き込む一大騒動になった。しかし、『週刊文春』の直撃取材に対する平田教授(※右画像)の回答で、一気に騒動は収まった。「だからね。その数字に意味はないって何度も言っているでしょ。5年~7年というのも僕のヤマ勘ですよ、ヤマ勘!」。この件では、地震研内部での粛清という“おまけ”まで付いた。当時、報道の過熱ぶりの火消し役を務めた広報担当の大木聖子氏(※現在は慶應義塾大学環境情報学部准教授)が、事実上“追放”されたのだ。試算の説明を行う際、誤差の多い概算を公表したことへの疑問を含めたことが、平田教授の逆鱗に触れたとされる。ある地震学者が指摘する。「まさに地震研の体質そのもの。2010年、地震研は全国共同研究施設として他大学からの客員教員を受け入れ始めたが、元々は“純血主義”。帝大系以外の研究者や、帝大系の研究者でも意見が違うと、徹底的に排除する」。また、地震研内には各大学の地震予知研究の連携を進める『地震・火山噴火予知研究協議会』が置かれている。謂わば日本の地震研究の総元締めであり、ここで研究計画の企画・立案・調整が行われ、その結果、予算が配分される。前述の地震学者が言う。「地震研が首を縦に振らない研究は、予算が獲得できない。結果として、他大学は地震研の下請け機関となる。不満があっても口に出す学者は少ない」。地震発生のメカニズムには未解明な部分も多いのは事実だが、既に今回の熊本地震でも示されたように、過去の知見・教訓が全く通用しない事例も明らかになり始めている。“地震先進国”の日本は、国内での減災も含め、取り組まなければならない課題は多い。今、求められているのは、地震研という権威を守ることではなく、幅広い研究者を結集した、これまでにはない地震研究に取り組むことだ。地震研がその妨害にしかなっていないのであれば、最早地震研はいらない。


キャプチャ  キャプチャ




スポンサーサイト

テーマ : 地震・天災・自然災害
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR