【崩壊する物流業界】(10) 巨額投資が水の泡に…苦境に立つ『アスクル』

20170508 10
200億円もの資金を投じた事務用品通販大手『アスクル』自慢の物流センター『アスクル ロジパーク首都圏』(埼玉県三芳町)が危機に瀕している。2月16日に1階の段ボール置き場で発生したとみられる火災は、在庫商品の多い2・3階へと延焼。当時、倉庫内では400人以上が作業しており、火災で男性従業員2人が重軽傷を負った。延べ床面積が広く、外壁は窓等の開口部分が少ないこともあり、消火活動は難航。周辺地域に黒い煙が立ち込める中、消防当局は重機で壁を壊して放水し、鎮静化するかに見えた。が、19日未明に2度の爆発が発生。倉庫内のスプレー缶に引火した模様だ。約4.5万㎡が焼失し、発生から7日目の22日午前9時半に漸く鎮圧された。販売にも影響が出ている。オフィス用品の通販についてはほぼ通常通りだが、食品や化粧品等を扱う個人向けインターネット通販『LOHACO』は、2月22日時点で東日本地域では取扱商品が限られている(※2月末を目途に通常化)。地上3階建て、延べ床面積約7万2000㎡。2013年に稼働したロジパーク首都圏は、全国に7つある物流拠点の内、横浜等と並ぶ中核施設だ。アスクルは2012年、日常使いの商品を扱うLOHACOを立ち上げた。後発ながら、今年5月期の売上高は500億円を見込むなど急成長しており、それに合わせて物流施設に直近5年間で500億円を投資、その内、ロジパーク首都圏は200億円を占める。

ロジパーク首都圏では多くの作業を自動化、個人向けと法人向けの物流が同時に処理でき、センターで注文を受けてから段ボール箱の作成・荷詰め、出荷まで最短20分で行う体制を整えていた(※右上図)。アスクルは、他の物流施設にも最先端技術の導入を進めている。その1つが、“自動倉庫型GTP”というシステムとピッキングロボットを組み合わせたものだ。他社でも納入面を自動的に在庫収納し、それをピッキングして作業員に届ける自動倉庫型GTPを採用するところはあるが、ピッキングの人手がゼロにはならない。アスクルはGTPに加え、画像認識システムと最新のロボット技術を使って、アーム型ロボットに細かなピッキング作業を任せる。既に、横浜の拠点で1台が稼働し始めた。現在のところ、人間の作業効率を上回るには至っていないが、改善は急ピッチで進んでおり、人手不足や夜間作業を考慮すると、今後の目途が立ってきた。配送システムの改善にも取り組む。『Amazon.com』等が配達は大手運送会社に依存するのとは異なり、同社は昨夏からグループでの配送が主体。LOHACOでは昨夏、ビッグデータ等を駆使して、1時間単位で配達時間を指定できるサービス『ハッピーオンタイム』を開始。サービスを導入したユーザーへの再配達率は、3%未満まで減少している。物流の改善に手応えを感じていただけに、今回の火災は大きな痛手だ。ロジパーク首都圏は、東日本大震災時に仙台の物流センターや本社が被災した教訓を生かし、停電時にも連続で21時間発電可能な自家発電設備を導入する等、BCP(事業継続計画)には念を入れていた。「防火シャッター等の設備面に加え、避難訓練等についても法令に基づき実施していた」とアスクルは説明するが、延焼を食い止められなかった。出火原因等については今後の検証が待たれるが、物流業界にとって大きな教訓になるに違いない。 (取材・文/本誌 福井純)


キャプチャ  2017年3月4日号掲載
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