【経済の現場2017・欧州農業】(02) 農家輝く“黄金の連携”

20170509 03
「赤・白・青。スペクトル(※光を構成する波長分布)を操れば、そこから色々な可能性が生まれてくるんだ」――。オランダの農業大学、ワーゲニンゲン大学のエップ・フーボリンク准教授の目は輝く。家庭用照明でも一般的になったLED(発光ダイオード)を農産物の成長促進や害虫対策に活用する研究に取り組んでおり、大学の敷地内には無数の研究用ビニールハウスが並ぶ。トマト、ジャガイモ、バラ等をLEDで照らし、どのような効果があるか、実験を繰り返している。トマトの場合、LEDの照射の仕方によって、トマトに含まれるビタミンCの量が倍増することがわかった。バラでは、夜間に10分間、LEDの光を当てることで、菌類の働きを弱めることに成功した。化学薬品を使わない害虫駆除の新たな対策となり得るという。オランダ農業の強さは、最先端の農業技術に基づいた高い生産性にある。『国連食糧農業機関(FAO)』によると、オランダの2014年の1ha当たりのトマトの平均生産量は約505トン。約60トンの日本の8倍以上もある。その原動力は、“ゴールデントライアングル(黄金の三角形)”と呼ばれる企業・大学・政府の産学官の連携だ。

国土面積が九州ほどしかないハンディキャップを克服する為、1960年代から農業の技術革新に力を入れてきた。最大の特徴は、生産者側も積極的に関与する点だ。オランダで6haの農地でトマトを生産するミシェル・ズビンクルスさん(49)の長年の悩みは、冬場にトマトの生産量が落ちること。「年間を通して仕入れたい」との顧客の要望に応えられずにいた。そこで2012年、オランダの電機大手『フィリップス』が行っていた植物工場へのLEDの導入試験に協力。最先端の技術を導入した結果、生産量は5割も増えたという。ズビンクルスさんは、「(産学官の)どの主体も知識が豊富。農業現場を理解してくれ、理想的な形で連携ができている。多くの農家は、新たな技術の導入にとても前向きだ」と話す。生産者側は企業や大学の実験に協力し、「自分の農業ビジネスにプラスになる」と考えて、研究開発費の一部も負担する。「プラスにならない」と判断すれば打ち切る。研究開発の主役は生産者だ。日本でも、“産学官の連携”という言葉はよく耳にする。だが、生産者の使い勝手を考えないまま研究開発を進め、現場ではあまり使われなかったことが多いのと対照的だ。ワーゲニンゲン大学植物科学グループ長のエルンスト・バンドンエンド氏は、「社会に還元できないものを研究しても意味がない。技術革新を起こして満足するのではなく、実践に生かし、農業にインパクトを与えたいと考えている」と話す。


⦿読売新聞 2017年4月26日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 国際ニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR