【経済の現場2017・欧州農業】(03) “本場”認定、広がる恩恵

20170509 04
ベルギーの首都・ブリュッセルにあるスーパーマーケットの乳製品売り場(※左画像)。長さが5m近い商品棚には、数百種類のチーズが並ぶ。価格帯も幅広い。通常のカマンベールチーズは1~2ユーロ(約120~240円)で売られているのに対し、フランス北西部のノルマンディー地方で作られた『カマンベール・ド・ノルマンディー』は約3ユーロ(約360円)する。価格差の理由の1つが、特産品のブランドを知的財産として守る『地理的表示(GI)保護制度』だ。例えば、『カマンベール』の名称はどの生産者でも使える。だが、『カマンベール・ド・ノルマンディー』は、『ヨーロッパ連合(EU)』が特定の地域で特別な製法で作られた特産品にお墨付きを与えたもの。EUの執行機関である『ヨーロッパ委員会』によると、こうしたGI登録商品は今年1月時点で3333品目ある。『シャンパン』や『パルマハム』等、日本でもお馴染みの特産品も含まれる。

GIの最大のメリットは、特別な農産品だと明示することで、付加価値を高められることだ。欧州委の試算では、通常商品に比べて、GI登録商品は2.23倍高い価格で売られているという。恩恵は小売業者だけでなく、生産者にも及ぶ。ノルマンディー地方で酪農を営むダビッド・オブレーさん(43)は、「(製法等の)厳しい基準は手間がかかるが、(GIで)商品価値が上がる分、専門店に高く売れ、所得も上がった。地域の特産品を守ることにも役立っている」と話す。GI効果だけではないが、高価格帯でも売れ行きは好調で、ここ6年間で販売個数は2~3割増えたという。“本場の味”を求める人は国外でも多いので、輸出を促進する力にもなる。欧州委によると、GI登録商品の2010年の市場規模は543億ユーロ(約6.5兆円)。食品全体に占める割合は5.7%だが、輸出額に占める割合では15%に高まる。『オランダ酪農協会』広報担当官のヨハン・スキルドカンプ氏は、「GIは国内より海外市場で効果がある」と話す。ヨーロッパでは、地域の特産品を知的財産と位置付けることで、付加価値を高めて生産者の所得を増やし、輸出も後押ししている。知的財産戦略と言えば、日本では『トヨタ自動車』や『パナソニック』等、大手メーカーの世界の話と捉えがち。GI保護制度は2015年に日本でも導入されたが、農業分野での知財戦略の出遅れは否めない。


⦿読売新聞 2017年4月27日付掲載⦿
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