安倍昭恵は如何にして“右翼”となりしか――皇后さまの“お言葉”にも勘違い、“付け焼刃的保守”が招いた災いは今後も続く

20170510 01
今年2月9日、朝日新聞朝刊が『森友学園』に国有地が格安で払い下げられた問題をスクープした時、安倍晋三夫妻はドナルド・トランプとの会談の為にアメリカへ赴くところだった。当初は官邸も「こんな問題は政権に何の影響も無い」と楽観視する向きが強く、新大統領と親密な関係を築いたという訪米の成果に、寧ろ深く酔っていた。思えば、この時から既に、世論と官邸との間には大きなズレが生じていたのだろう。安倍夫妻は世間ではなく、取り巻きの声を重視する。だからこそ、その後もどこ吹く風で、昭恵はそれまで通り様々なシンポジウムやイベントに顔を出し、友人・知人と会食しては、相変わらず無防備に泥酔していた。森友問題が過熱化してきた頃の2月28日、天皇・皇后がベトナムへ旅立たれる際には、「流石に夫人は人前に出ることを憚り、欠席するのではないか?」と臆測されていた。ところが、そんな大方の予想を裏切り、昭恵は羽田空港で両陛下を乗せた飛行機が出立するのを、夫と共に満面の笑みで見送った。森友問題の渦中であるのに、それを全く感じさせぬ晴れやかな笑顔。流石に違和感を覚えた人も多かったようだが、実はここにも昭恵らしいエピソードがある。この日、飛行場に乗り込む前に、皇后は昭恵に態々“お言葉”をかけた。それは、今回の森友騒動を踏まえたと思われる、非常に含蓄あるものであったという。皇后の独特の気遣いであり、また“声をかける”という行為そのものに、励ましと同時に“気付き”を与えるというニュアンスも含まれていたに違いない。だが、思考力が弱く、物事を自分に都合よく、楽観的に解釈してしまう昭恵は、この時も「全面的に皇后が自分を案じ、エールを送ってくれたのだ」と受け取った。その結果、森友学園が運営する幼稚園で園児たちが教育勅語を暗唱するのを見た時と同じように、“感動して”滂沱の涙を流し、あの晴れやかな笑みを浮かべるに至ったのである。「自分は少しも悪くない、それを皇后はわかってくれた」と感激したのだ。

それにしても、象徴天皇制を貫く両陛下の思いや姿勢を軽視し、安倍政権が天皇退位を特例法で押し通そうとしていることを考えると、何とも皮肉なことだ。一連の騒動が起こってから、「夫婦仲は大丈夫なのか?」「昭恵は夫から相当、絞られているのではないか?」といった臆測が盛んに飛び交っているが、周囲が思う以上に夫妻の結び尽きは強い。2人は似た者夫婦であり、相手の中に自分を見ているからだ。大手広告代理店『電通』に勤めていた昭恵は、上司の紹介で晋三と見合いし、2年の交際を経て結婚した。1987年、晋三は32歳、昭恵は24歳。結婚適齢期をオーバーしつつある息子の身を案じていた母・洋子のお眼鏡に適ったのは、何といっても彼女が『森永製菓』創業家の娘だったからだろう。晋三は小さな頃から、この賢母からの強いプレッシャーの下に育ってきた。元総理・岸信介の娘で、周囲から一目も二目も置かれてきた洋子は、政治に詳しく、頭が切れ、冷たさを感じさせる母だった。そんな母に晋三は幼少期、あまり愛されていなかったという。兄に比べて勉強ができず、気も弱く、“どもり”癖があり、期待の持てる息子ではなかったからだ。だが、晋三は「政治の道に進む」と宣言することで、自分に無関心だった母を振り向かせた。以後、政界に進んでからは何事も母を頼り、母に助けられながら、母の期待に応えていった。一方、そんな母と真逆のタイプが昭恵である。晋三以上に勉強が苦手で、学歴は専門学校卒。論理的な思考力が無く、ふわふわと夢のようなことを言う。政治に関心が無く、知識欲は薄いが、その分、虚栄心も無い。少女がそのまま成人したような昭恵は、晋三に優越感と安らぎを与えてくれた。自分にものを教えてくれる母と、自分がものを教えられる妻――。この2つの要素が、彼には必要だったのだろう。夫妻は子供を授からなかったが、それもまた、2人の絆を強めたと考えられる。「“子供が産めない女”と地元・山口の支援者から責められて辛い思いもした」と、昭恵は雑誌で告白している。不妊の原因は女の側ばかりにある訳ではないが、妻は抗弁もせず、不妊の責任を一身に背負ったのだ。夫は少なからず感謝していたのではないだろうか。晋三は祖父を尊敬し、その背中を追っていると言われるが、祖父の岸信介は花柳界でも性豪ぶりで知られた存在だった。一方、晋三は学生時代から一貫して浮いた話が無く、女性スキャンダルとは無縁だ。良くも悪くも“男性性”が感じられない。「安倍首相はロシアのウラジーミル・プーチン大統領に憧れている」とよく噂されるが、仮に事実だとすれば、自分には無い男性性への憧憬であろう。“タカ派”というスタンスも、祖父への思慕という以上に、男性性の欠落を、強い言葉や主張で補おうとしているからではないだろうか。

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“洋子的なもの”と“昭恵的なもの”という見方で言えば、晋三に寵愛されるNHKの政治部記者・岩田明子は“洋子タイプ”であり、実際、洋子と仲が良い。学歴があり、頭が良く、政治に詳しく、役に立つ存在だ。一方、防衛大臣の稲田朋美は昭恵に似ている。政治経験が乏しく、学歴・職歴は立派だが、たどたどしい話し方で、どことなく小動物的な弱々しさを感じさせる。庇護したくなる存在だ。昭恵はこれまで反原発・反防潮堤等を訴え、自ら“家庭内野党”と名乗ってきた。但し、それはポーズに過ぎず、実際には権力者の妻であることを誇示し、享受してきただけだ。リベラル志向であるようにメディアは伝えたが、「太平洋戦争はアジアの国々を解放する為の聖戦だった」と語り、夫以上に熱烈な男系天皇支持者でもある。8歳年上で国政の中心にいる夫を心から尊敬し、「内助の功を発揮したい」と常に考えている。だからこそ、夫の支援者には礼を尽くす。森友学園での講演会には、百田尚樹・櫻井よしこ・曽野綾子・竹田恒泰・青山繁晴・田母神俊雄・中西輝政といった面々が登場している。何れも、安倍晋三と極めて親しい人々である。その流れの中に自分が身を置くことは、昭恵にとって極めて自然な行動であった筈だ。靖國神社への参拝を夫に代わって果たす等、夫人は妻として夫の思いを代弁してきた。今回もそうした気持ちで森友学園と関わったのであり、決して昭恵が1人で暴走した訳ではない。首相が昭恵や稲田朋美に権限を与えたのは、自分が“母なるもの”から自立し、弱いものを引き立てられるだけの権力者になったことを顕示したかったからだろう。その驕りが、結局は庇護すべき女性たちを世間の矢面に立たせることになった。皮肉なことである。 《敬称略》


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