【点検トランプ政権100日】(01) 炭鉱再起「救われた」

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、今月29日で就任100日を迎えた。時に荒っぽいトランプ大統領の政治手法は、国内外で議論を呼ぶ。新政権はどこへ向かうのか。最初の節目までの実績を検証し、今後を展望する。

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今月25日夕、炭鉱労働者のジェフ・タケット(54)は、“ラストベルト(錆び付いた工業地帯)”の周辺に位置するケンタッキー州パイクビル近くで車を止めた。スマートフォンのニュースでトランプの“活躍”を確認すると、満足げにこう言った。「減税に壁建設、石炭復活――。素晴らしい仕事ぶりだ」。辺りは20世紀後半から石炭の産地として賑わい、“全米で最も繁栄している地域”とも言われた。タケットは12歳から炭鉱で働き、「賃金が良く、辞めても直ぐ別の炭鉱が見つかった」。がらりと状況が変わったのは、バラク・オバマ前政権の8年間だった。規制強化等で多くの炭鉱が廃業し、パイクビル周辺を含む同州東部の産出量は5分の1に激減、75%が失職した。タケットもその1人だ。飲食店は消え、仲間が町を去った。「アメリカの発展を支えた石炭をオバマが目の敵にし、『環境に悪い』『汚い』と切り捨てたせいだ」。残ったタケットらは政治不信を募らせた。昨年の大統領選。“トランプが石炭を掘る”という名のキャンペーンで町は沸き、民主党の地盤とされた地域にも拘わらず、8割がトランプに投票した。タケットは、大統領就任後のトランプの悪評も意に介さない。「彼は2月の施政方針演説で、『偉大な炭鉱労働者の将来や生活を脅かす規制を止める』と断言してくれた。感激だよ。オバマに忘れられた俺たちは救われた」。パイクビルの隣町、コールランビレッジの市長であるアンドリュー・スコット(41)は、トランプ政権発足後の2月以降、「石炭を積んだトラックを見る機会が増えた」と感じている。「“炭鉱労働者募集”の貼り紙も多い。トランプの風を感じる」という。

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アラバマ州に一度は転居した友人の炭鉱労働者が元の職場に復帰したと聞いた時は、自分のことのように喜んだ。ただ、スコットは石炭産業の復活について、「未だわからない」と慎重だ。雇用増はトランプ政権の齎した“成果”なのか、それともアメリカ国内に漂う“トランプ景気”への期待が表れただけなのか、半信半疑だ。14歳から炭鉱で働き、医師に転向したジェームス・クラム(42)も、トランプに地域の再生を期待し、応援を続ける。ただ、炭鉱労働者に多い塵肺への補助を、政府が削減する方針という噂だけは不安だ。「トランプには、地域の健康と雇用を共に維持してほしい。本当に大事なのは、石炭より人間だ」。アメリカのメディアは最近、この地域での取材を活発化させ、「トランプで大丈夫と思うか?」と同じ質問を繰り返しているという。「トランプが大統領令を乱発したものの、雇用創出や大幅減税等、“目玉政策”の実現は覚束無い」と見ているからだ。市長のスコットは、うんざりした表情で語った。「『貧困率が高い地域では、トランプを支持する労働者が困っている』という決めつけの報道ばかり。バカにしている」。パイクビルの南約40㎞にある町、ジェンキンス。ランディ・ビリター(54)は3年前に炭鉱を解雇され、昨年は心臓の手術を受けて落ち込んだ。しかし、トランプの登場に生きる希望を見い出したという。庭の草刈り等のアルバイトに精を出す日々だ。ビリターは、トランプを庇うように、こう話した。「未だ100日。批判されても何かを変えようと努める彼は、必要な存在だ」。 《敬称略》 (ロサンゼルス支局 田原徳容)


⦿読売新聞 2017年4月29日付掲載⦿
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