【ドクターXは知っている】(02) 普通の風邪に抗生物質は無意味! 乱用で耐性菌を増やすリスクも

20170510 05
夜も眠れないような歯の痛みが立ちどころに治まったり、鬱陶しい膀胱炎の症状から解放されたりと、抗生物質(抗生剤)は明らかな効果を実感できる薬です。だからこそでしょう、抗生物質を“万能薬”と誤解している人も多いようです。麻酔科医の筒井冨美先生は、医療現場の不適切な対応も含めて、問題点を指摘します。「風邪を引いて『抗生物質を処方してほしい』と病院にやって来る患者さんも多いのですが、そのリクエストは医学的には意味がありません。抗生物質とは細菌を殺す薬であり、風邪・インフルエンザ・エイズ等の原因となるウイルスや、水虫等の真菌には無効です」。前回、大竹真一郎先生も説明している通り、普通の風邪はウイルスが原因ですから、抗生物質の投与は無意味という訳です。では、医学的根拠にも拘わらず、風邪で訪れた患者に抗生物質を処方する医師が少なくないのは何故なのでしょうか? 筒井先生は、次のように説明します。「患者のご機嫌を損ねてクリニックの評判が下がることを恐れる医者、特に開業医は、内心『意味無いよ!』と思いつつも、処方してしまうことが多いというのが実態です。同様に、ずらりと患者が並び、“3時間待ちの3分診療”と言われるような大病院の医者も、時間をかけて説明して納得してもらうよりも、サクッと処方してスムーズにお帰り頂くことが多いものです」。効果が無いとわかっていても、医師が風邪の患者に抗生物質を処方する背景には、「医師の保身もある」と総合内科・循環器専門医の池谷敏郎先生が語ります。

「一部の医師は、風邪で診療を受けた患者がその後、肺炎となった時に、『誤診と疑われるのではないか?』と恐れています。それで、『肺炎の予防もしておきました』という言い訳ができるように、抗生物質を出しておく訳です。実際は、抗生物質で肺炎を予防できるとする医学的データは無いのですが…」。また、「抗生物質は、正確な診断を前提に使用しなければならない」と断じるのは、総合内科専門医の大竹真一郎先生です。「僕は、抗生物質を使う必要がありそうな時は先ず、原因菌を調べる検査をします。例えば、膀胱炎の患者さんならおしっこの培養をして、原因になっている菌の種類を特定します。膀胱炎で多いのは大腸菌ですが、それが特定できれば、大腸菌に効く薬をピンポイントで出せる訳です。一方で、風邪に抗生物質を出す医者というのは、そういうことを何も考えていない。間違った知識のまま、惰性で薬を出しているんですね。目の前の患者さんのメリットやデメリットを全く考えていない訳です」。更に大竹先生は、肺炎によく処方される『クラリス』という抗生物質が無用に使われ過ぎた結果、効果がすっかり失われた問題を指摘します。大竹先生によれば、肺炎の原因となる肺炎球菌やマイコプラズマには、クラリスという抗生物質は8~9割がた効かなくなっているのだといいます。それは、風邪等でクラリスが広く処方され過ぎた結果、菌に耐性がついてしまったからです。「抗生物質で弱い菌は死んでも、偶々強い菌が生き残ることがある。そして、生き残った菌はどんどん増えていき、抗生物質が効かなくなります。耐性菌の対策として、WHOも『抗生物質の処方は最低限に』ということを提言しているのですが、勉強不足の“なんちゃって内科医”が風邪に抗生物質を使うこと使うこと…。僕ら医者側が耐性菌を作らないように、患者さんがしっかり治るというメリットを持った抗生物質を、決まった日数で正しく使うようにしなければ、いくら新しい薬を開発したって耐性菌は増え続けます」。今や社会問題となっている院内感染も、元凶は安易な抗生物質の大量投与なのです。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃・編集プロダクション『アートサプライ』 宮田文郎)


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