【日本の政治・ここがフシギ】第2部(02) 国会質問、前日までに通告

20170510 08
「防衛大臣として、誠心誠意、職務に邁進して参りたい」――。学校法人『森友学園』(大阪市)の問題を国会で追及された防衛省の稲田朋美大臣。時折、手元の書類に目を落とし、言葉を選ぶように答弁した。この書類が通常“答弁書”と言われる、官僚が作成したペーパーだ。日本では、閣僚答弁の殆どを省庁が作る。政府方針を踏み外さず、問題発言を避ける為だ。それを支えるのが質問通告だ。本会議や委員会で質問する議員は、前日までに省庁に質問を紙で連絡する慣例だ。官僚が出向いて聞く例も多い。通告後、役所の担当部署が中心に答弁を作り、当日朝に閣僚へ説明する。曖昧な通告は、想定問答は複数必要。作業が明け方になることもある。「その質問の担当はうちではありません」。午前0時を回ってから、役所内で押し付け合いになることも珍しくはない。財務省職員の高田英樹氏は、10年ほど前までイギリスの財務省に出向していた。「投資市場改革の進捗を聞きたい」。審議3日前に、国会から議員の質問が送られてきた。

簡潔な答弁を作成し、メールで送り返して作業は終わり。「日本で丸1日の仕事が、実質3時間で終わった」。高田氏は振り返る。イギリスでは、質問は3営業日前までに書面で通告する。閣僚は、冒頭の簡潔な受け答え以外は答弁書に頼らず、自分で答える。ドイツでは質問形式で期限が決まる。答弁に最も近い締め切りでも、週末を挟んで5日前までに通告する決まりだ。日本は明確な期限は無い。一方で、「通告に無いので答えられない」との閣僚答弁も常套句。野党は通告を遅らせ、準備不足を狙う戦術もある。「通告を早め、官僚の長時間労働を是正しよう」。民進党国会対策委員長の山井和則氏は昨秋、党内で呼びかけた。国会では過去、幾度も通告の前倒しが提起されたが、中々改善されない。「通告自体を見直すべきだ」との意見もある。アメリカ連邦議会で約10年の勤務経験がある早稲田大学の中林美恵子教授(元衆議院議員)だ。「議院内閣制の日本では、行政府への国会質問がほぼ唯一のチェック&バランス機能。事前の通告を求められては、その機能を果たし得ない」と訴える。アメリカには質問通告は無いからだ。自民党元幹事長の石破茂氏は自身のブログで、「最近、答弁に原稿棒読みのものが目立つことはとても残念」と発信した。官僚に振り付けを委ねる舞台より、政治家が随時、自分の言葉で議論するほうが重みは増すが、簡単ではない。


⦿日本経済新聞 2017年4月6日付掲載⦿
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