【大機小機】 汝平和を欲さば

北朝鮮情勢が緊迫し、金融市場は地政学リスクに敏感になっている。今も予断は許さないが、今回戦闘状態にならずとも、リスクは消え去りはしない。どんな備えが必要か? 第一に、全国民への的確な情報伝達だ。2004年に国民保護法が制定され、内閣官房には国民保護ポータルサイト、総務省消防庁にもサイトが設けられている。内閣官房作成の『武力攻撃やテロなどから身を守るために』というパンフレットは、簡潔に要点を纏めている。消防庁の資料も、核兵器による攻撃を受けた後に身を守る方法を具体的に教えてくれる。だが、こうした情報が浸透しているとは言えない。嘗て、高齢者がインターネットを利用しないと言われたのは昔の話になったが、それでも『情報通信白書』によれば、2015年末時点で70代以上の高齢者でインターネットを利用する人は51%に留まる。また、低所得者層ほどインターネットを利用しないという格差がある。それ故、新聞やテレビといった既存のメディアの役割が重要になる。一部のワイドショー等では、門外漢があれこれ好き勝手な発言をすることが多いが、事は国民の命に関わる重要事項だ。NHK・民放・主要紙は、先のパンフレット内容を周知徹底してはどうか? 第二に、有事への備えだ。具体的には訓練・設備、そして国防になる。内閣官房のサイトによると、政府は弾道ミサイルを想定した避難訓練を各都道府県で実施している。ただ、その記録を見る限り小規模で、大都市部中心地への攻撃を想定して行われた大規模避難訓練は見当たらない。毎年9月1日の『防災の日』に訓練を行うように、“国民保護の日”の制定と全国規模での訓練実施を勧めたい。設備面では、核攻撃が起きた時に国民を収容する施設や救援体制が、十分に確保されているかが課題だ。在外邦人保護体制の確立も急務だ。第三に、安全保障・国防・軍事に関する研究と教育を推進すべきである。こうした研究は長年、日本では半ばタブー視されてきた。だが、“汝平和を欲さば、戦への備えをせよ”という。安全保障への脅威は、ミサイル攻撃だけではない。既にサイバー空間・宇宙空間・深海で、目に見えない戦争が起きている。今こそ備えるべきだ。 (カトー)


⦿日本経済新聞 2017年4月20日付掲載⦿
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テーマ : 軍事・安全保障・国防・戦争
ジャンル : 政治・経済

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