【霞が関2017春】(10) 金融庁、来年20歳…対話重視へ“大人”になれるか

金融庁にとって、2017年は“10代最後の年”だ。前身の金融監督庁が発足したのが1998年。予算から銀行の監督まで、絶大な権限があった大蔵省を解体した結果として生まれ、不良債権で経営が成り立たない金融機関を時として破綻処理する“監督機関”として生きてきた。それから約20年。金融危機が過去のものになりつつある中、危機時に敷いた指導ありきの行政から、平時モードの対話重視に転換しようと試みる。“成人式”をきっかけに、変革の道筋をしっかり付けられるか。金融庁にも、金融業界にも相応の覚悟がいる。「環境変化に遅れることなく、不断に自己改革する組織にしないといけない」――。昨年10月に公表した金融行政方針で、金融庁の森信親長官は庁改革の必要性を掲げた。「金融機関の健全性の維持を最優先にしてきた従来の役割を超え、日本経済の成長を促す組織への脱皮を目指す」との意欲を込めた。霞が関や永田町界隈では、2015年に就任した森長官の“3期目続投説”が早くも流れる。「今年度は森改革の総仕上げの1年だ」。金融庁幹部も続投説を疑わない。顧客本位の業務運営を口酸っぱく訴え、「知恵を絞って自主的な取り組みを」と金融機関に問いかける。

地銀業界には昨秋、地方経済にどれだけ貢献しているかを評価する指標(ベンチマーク)を作り、足りない部分をお互いに協議して改善を目指す手法を導入した。金融庁担当者は、「その都度、指標を入れ替える。有効な制度として定着させたい」と意気込む。証券業界との対話の焦点は、来年1月から導入する積み立て型の『少額投資非課税制度(NISA)』だ。手数料が特別低い投資信託だけを“適格”とした為、現状では公募投信約5400本の内、僅か50本程度(1%未満)しか合致しない。証券業界からは、「条件が厳し過ぎる」との不満が早くも漏れる。“貯蓄から投資へ”の流れを太くするには、手数料や商品の仕組みを“見える化”する努力が欠かせない。金融庁が“上から目線”でなく、業界や個人投資家ともっと対話する機会を増やしてもいい。旧大蔵省から分離・独立して、1998年に総理府の外局として発足したのが金融監督庁(※現在の金融庁)だ。バブル崩壊の影響で、多くの銀行が不良債権処理に苦しんでいた時期と重なる。厳しい立ち入り検査を繰り返すうち、金融機関側に「金融検査マニュアルの点検さえクリアすればよい」との横並び意識を生んだ側面も否定できない。金融庁が反省すべき後遺症だろう。「今まで、金融庁は金融機関を“小学生”として扱っていた。今後、大人としてみるなら、自らも成長しないといけない」(金融庁幹部)。金融庁には、自らの分析力や知識をもっと高める努力がいる。金融機関には創意工夫し、今まで以上に社会に信頼される振る舞いが求められる。節目の1年は、お互いの“付き合い方改革”を醸成するいい機会だ。 (鈴木大祐)


⦿日本経済新聞電子版 2017年5月9日付掲載⦿
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