【日本の政治・ここがフシギ】第2部(03) 議員縛る党議拘束

20170512 05
「法案を成立させる為、野党議員を切り崩そう」。安倍晋三首相やバラク・オバマ前大統領も熱中したアメリカの政治ドラマ『ハウスオブカード』では、こんな場面がある。与党が提出した法案に与党からの造反が見込まれるので、水面下の工作で野党の一部を切り崩す――。アメリカ人には決して珍しい光景と映らない。日本では、政党が所属議員の行動を決議で縛る“党議拘束”が当然で、会派除籍等の厳罰もある。だが、大統領制のアメリカでは、共和党・民主党共に党議拘束は無い。其々が提出した議案に是々非々で賛否を決める。「日本の議員は、個人の政策で当選した訳ではなく、党議拘束で造反し難い。アメリカでは個人に投票する意識が強く、議員が政党方針に反することもよくある」。アメリカ人弁護士でタレントのケント・ギルバート氏は語る。フランスやドイツでの党議拘束は、採決直前の段階にかかるのが一般的だ。造反への処分も緩い。フランス出身で国政選の立候補経験もある共立女子大学のジャニック・マーニュ名誉教授は、「日本のように、国民の要望より政党の意思決定を優先する政治は民主的ではなく、議論も深まらない」と話す。

背景には、大統領制と議院内閣制の違いがある。大統領制の国は、議会と大統領を別の選挙で選ぶ。政党と主張が異なっても、大統領の信任はある。一方、日本やイギリスのような議院内閣制は、国民が直接首相を選ぶ訳ではなく、議会や政党が指名する。若し首相と政党の主張が異なれば、政権の存立基盤は揺らぐ為、党議拘束の重要度は高くなる。政党交付金に政治資金を頼る為、政党の一体性も求められる。「問題は、与党が法案を国会提出前に審査する“事前審査”だ」。こう指摘するのは、元衆議院議員で立教大学大学院特任教授の亀井善太郎氏だ。日本では、政府が提出する法案は、国会審議前に党議拘束をかける。国会で与党は事前の党議拘束を死守する為、議論が深まり難い。法案修正の余地も乏しい。国会審議は空洞化しがちだ。議院内閣制のヨーロッパの国でも、法案提出前に与党が事前審査で投票行動まで決めるケースは少ない。議院内閣制だから党議拘束が必要としても、国会審議を経た上でかけたほうが、議論は国民に届く。2009年成立の改正臓器移植法では、日本共産党以外の各党が党議拘束を外した。生命倫理という議員の信条や宗教観に関わるからだ。「党議拘束を外したほうがよい」。天皇陛下の退位の関連法案では、与党にもこんな声がある。議院内閣制と党議拘束の関係まで踏み込んだ議論になるだろうか?


⦿日本経済新聞 2017年4月7日付掲載⦿
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