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【30年ぶり肥満症薬】(上) 患者の治療に新たな選択肢

20230928 03
今春、肥満症治療の自己注射薬『ウゴービ』(※一般名は『セマグルチド』)の製造販売が承認された。肥満症治療の為の新薬は、1992年に登場した『サノレックス』(※一般名は『マジンドール』)以来。今後、発売されれば約30年ぶりに肥満症治療の選択肢が広がると注目されている。ウゴービは、肥満症の患者に対して医師が処方する医療用医薬品に当たる。抑も、肥満症とは肥満とどう違うのか。『日本肥満学会』の横手幸太郎理事長は、「BMIが25以上で、脂質異常症や高血圧等の健康障害がある人が肥満症に該当する」と説明する。BMIは体重(※㎏)を身長(※m)の2乗で割ったもの。18.5以上25未満が適正とされ、18.5未満はやせ過ぎ、25以上は肥満にあたる。「世界保健機関(※WHO)では25以上30未満を過体重、30以上を肥満としているが、日本人の場合、30にならなくても糖尿病や脂質異常症になり易い」と横手理事長。そこで、BMI25以上に加えて、肥満に伴う11の健康障害がある人を肥満症として、公的医療保険による治療の対象としている。では、日本人のどれくらいが肥満症に該当するのか。国民健康・栄養調査(※2019年)によると、BMI25以上は男性の33.0%、女性の22.3%。しかし、11の健康障害がある割合まではわからないという。

長年、肥満の唯一の治療薬とされてきたのがサノレックスだ。この薬は食欲抑制薬で、BMI35以上の人等を対象に、3ヵ月を上限として投与される。横手理事長は、「現在のように充実した治験がなされていない時代に承認されており、覚醒剤と似た特徴がある為、長期間の投与に伴う問題が懸念された。それで使用期間の指導が付いた」と解説する。だが使用期限があると、サノレックスで減量しても、3ヵ月経って薬を止めると元に戻ってしまうという不便さがあった。ウゴービは、週1回投与の糖尿病薬『オゼンピック』と同じセマグルチドという成分を使ったGLP-1(※グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬と呼ばれるタイプの注射薬だ。GLP-1は体内にあるホルモンで、食べ物が小腸に達すると分泌され、血糖を低下させるインスリンの分泌を促す。セマグルチドはGLP-1によく似た構造で、注射するとGLP-1同様にインスリン分泌を促進し、血糖値を下げる。実際に糖尿病治療に使用する中で、GLP-1受容体作動薬に体重減少や食欲抑制の効果があることがわかり、肥満症治療薬としての開発が進んだ。BMI30以上の成人ら約2000人を対象にした国際共同治験では、68週で体重が平均15.6%減少した。治験を通じて、糖尿病治療で投与する量よりも高用量を投与すると高い体重減少効果が確認された為、同じ週1回投与でも、肥満症薬のウゴービの投与量はオゼンピックよりも高く設定されている。投与の対象となるのは、高血圧、脂質異常症、Ⅱ型糖尿病の何れかがあり、食事療法・運動療法で十分な効果が得られないことを前提に、“BMI35以上”或いは“BMI27以上で肥満に関連する2つ以上の健康障害がある”人。横手理事長は、「これまでの肥満治療では、食事・運動療法という一般的な治療と胃を切除する外科治療の間の治療法がなかった。治療薬で減量をサポートできれば、患者の健康やQOL(※生活の質)が改善する。薬の登場で高血圧や脂質異常症の治療が進んだように、肥満症の治療も前進する」と期待を寄せる。


キャプチャ  2023年9月13日付掲載
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テーマ : 医療・病気・治療
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