【儲かる農業2017】(08) 製造業を超えるコスト管理…養豚大農場を支える現場力

“モデル農家4位”に選ばれた『山水園』は、欧米の先駆的な肥育手法を取り入れる等、設備投資を積極的に行っている。驚異の利益率を叩き出す裏には、現場の努力があった。

20170515 08
広島空港から車で2時間半の所に、山水園(阪神畜産グループ)の西城農場(※右画像)がある。山水園は、年間18万頭を出荷する巨大養豚企業だ。正門まで来ると、「最近、別の養豚農場には行っていないですよね? 若し行っていたら、今日の取材は中止です」。農場長代理の下川暁広氏からそう宣告を受けた。畜産業は病気との戦いだ。一度、深刻な病気が発生すると、全ての豚が廃棄処分になるリスクと常に隣り合わせなのだ。複数の養豚場を行き来するトラックが病気を運んでしまうこともあるのだとか。衛生管理の徹底ぶりは尋常ではない。社員も取引先も(記者も)、農場へ入る時は全員がシャワーを浴びる決まりだ。洗髪も必須。撮影用カメラは紫外線照射後に持ち込みを認められたが、「筆記用具はお貸しします」と残る荷物の全てが室外ロッカー行きになった。豚へのワクチン投与で病気を予防するのが一般的だが、山水園では「先ずは病気を農場内へ持ち込まない」ようにすることで、病気に強い農場を目指している。

西城農場の従業員にとって重要な仕事が2つある。離乳作業と出荷作業だ。取材当日は離乳(※子豚を豚舎へ収納する作業)の日。入社1年目の藤井さん(※女性)が豚の追い込み作業をしている。「おーい、行けよー」。もたつく子豚を驚かせながら、手際よく豚舎へ追い込んでいる。大規模な養豚農場では自動化が進んでいて、温度や湿度といった農場内のコンディション、餌の量は自動管理されている。豚舎の床は全面簀子張りで、糞尿も自動的に処理される仕掛けだ。その為、西城農場には豚が3万頭もいるのに、従業員は僅か13人。まさに完全自動化が成せる業だ。出荷作業は体力があるに越したことはないが、殆どの仕事に男女差は無い。山水園では、農業界では珍しく“週休2日”で、待遇も良く、30歳前後で年収650万円の人もいるという。離乳作業は週に3回ある。生後20日前後の子豚580頭が、トラックに揺られて繁殖農場からやって来る。子豚は140日間を西城農場で過ごし、“豚”となって出荷されてゆく。離乳時には6㎏だった体重が、出荷時には110~115㎏まで大きくなるという。こうして、離乳と出荷のサイクルを繰り返しながら、如何に効率よく低コストで豚を成長させるかが、養豚農場の競争力を分ける。竹延哲治社長は、製造業に負けないくらいコスト管理を徹底している。重要視しているのは、“肥育要求率”という指標だ。豚を1㎏大きくするのにどれくらいの餌が必要かを定点観測しており、「大阪本社の社長から頻繁に電話がかかってきてチェックされる」(下川氏)そうだ。肥育要求率は、肥育法や餌の配合等、企業ノウハウで低減できる。とはいえ、「生き物が相手なので、肥育法もこれで完璧というゴールはありません。日々研究しながら解を見つけるところにやり甲斐がある」(同)。山水園の儲けの裏には、従業員の弛みない向上心があった。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載
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