【日本の政治・ここがフシギ】第2部(04) “劇的”遠い党首討論

20170516 06
「見ているだけで楽しい。面白ければ人は見るよ」。イギリス出身の俳優であるイアン・ムーア氏がこう語るのは、イギリス議会下院のクエスチョンタイム(QT・左画像)だ。イギリスでは、毎週水曜日の正午から約30分間、首相が出席して、野党党首を含む与野党議員と激しい討論を繰り広げる。その様子はまさに“白熱”だ。質問したい議員が、議長の指名を得ようと次々と立ち上がる。首相は書類を抱え、激しい野次の中、全ての質問に答える。放送を楽しみにするイギリス人も多いという。日本も2000年、議院内閣制の先輩であるイギリスを参考に、党首討論を正式導入した。4回臨んだ野田佳彦前首相が「膠着した局面を打開する乾坤一擲の場だった」と振り返るのは、2012年の自民党・安倍晋三総裁との対決だ。“野田おろし”の動きがある中で、逆転の一手として討論中に衆議院解散を表明。議場は「おおーっ」とどよめいた。だが、こんな劇的な党首討論はこの時ぐらい。イギリス国民にとってのQTのような存在感は、日本の党首討論には無い。当初は原則、週1回開く方針だったが、実際は2000年の年8回が最多で、2013年以降は年1~2回だけ。与野党は2014年に月1回開催を申し合わせたが、それも形骸化した。

日本では、本会議や予算委員会等に首相が出席する週は、党首討論を開かないルールを設けた。政策研究大学院大学の飯尾潤教授は、「与野党共に、党首討論より予算委等での質疑を好む」と話す。45分間の党首討論より、7時間にも及ぶ予算委のほうが、与野党の多くの議員が首相に質問できる。野党も追及時間が長いほうがいいという訳だ。では、日本の予算委はイギリス人にどう映るのか? テレビやラジオで司会を務めるピーター・バラカン氏は、「イギリスのQTでは、首相は全ての問題に自分の言葉で答える。日本の国会は、官僚が用意した原稿を読むなど緊張感が足りず、大きな違いだ」と厳しい。「制度のいいとこ取りでは上手く働かず、議論が深まらない」と指摘するのは、早稲田大学政治経済学術院の谷藤悦史教授だ。日本の予算委は、法案審議や個別政策等、細かい質問も首相にぶつける。イギリスは違う。法案審議は法案、QTは国家戦略等大きなテーマを扱う。谷藤氏は、「イギリスと全く同じにしようという訳ではない」と話す。他の議院内閣制のヨーロッパ諸国では、首相が討論に登場する頻度はイギリスほど多くない。大統領制のアメリカは、議会で大統領が討論する場面は無い。各国様々だ。日本は、予算委等も含め、首相の答弁機会は多い。それでも谷藤氏は、「党首討論は何の為にやるのか、確認し合うことが大事だ」と語る。もっと機能させられないか、考えてもいい。 =第2部おわり


⦿日本経済新聞 2017年4月8日付掲載⦿
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