『三菱電機ビルテクノサービス』の偽装請負と凄惨パワハラを現役社員が決死の告発!

20170517 03
2015年秋、改正労働者派遣法が成立。予てから社会問題になっていた偽装請負について、労働者に直接雇用の申し込みがあったものと見做す制度が新設された。日本中で横行する偽装請負は、下請け・派遣が多い日本の労働環境で、優先課題として取り組むべき課題だ。しかし、現状の対策はあくまで“偽装請負が証明された場合”の事後対処でしかなく、歪な構造自体を正す手立ては少ない。労働者がそれを指摘しても、企業が無視することも多いからだ。立場の弱い労働者が偽装請負を企業に認めさせるのは、かなりハードルが高い作業なのである。偽装請負は、企業が仕事を下請けに出したにも拘わらず、実際の現場の指揮を下請け側が執っていない状態を指す。あくまで下請け業者の所属である労働者に対し、元請け企業が待遇や環境の規定を無視した無責任な労働をさせることに繋がり、場合によっては立場を利用したパワハラにまで発展する。過去、『キヤノン』や『パナソニック』等の大企業で社会問題となったが、2014年の通信教育大手『ベネッセ』の顧客情報流出事件でも、偽装請負が指摘された。不当な労働環境が、企業が持つ顧客情報の流出に繋がったのだ。

駅前には『機動戦士ガンダム』の銅像が飾られ、アニメファンには“聖地”でもある東京都杉並区上井草は、もう1つの“聖地”の顔も持つ。それが“スポーツの聖地”で、西武新宿線の上井草駅周辺には早稲田大学のラグビー場と、地元・杉並区の『上井草スポーツセンター』がある。そこは戦前、日本初のプロ野球専用球場として作られ、今年生誕100年を迎えた澤村栄治(元『読売ジャイアンツ』)や、300勝投手のヴィクトル・スタルヒン(同)も投げている。戦後は杉並区の多目的スポーツ施設に生まれ変わり、現在はグラウンド・テニスコート・温水プール等の設備が充実している都内屈指のスポーツセンターでもあるのだ。そんな聖地で偽装請負請疑惑が発覚した。それを告発したのは、上井草スポーツセンターのメンテナンスを任されている男性職員2人。この2人が今、まさに闘いを始めようとしている相手は、国内エレベーターの約3分の1の管理シェアを誇り、ビル用空調設備では最大手の『三菱電機ビルテクノサービス』(※本社は東京都荒川区・吉川正巳社長)。彼らは同社の完全子会社『菱サ・ビルウェア』の契約社員だが、ビルテクノから派遣されたセンターの所長男性から長く直接の命令・指揮を受け、常軌を逸するパワハラに悩まされてきたというのだ。「6年ほど前から、現場で全ての仕事に関しての指揮を執っていたのがこの所長であり、私たちはまるで奴隷のように扱われてきたんです」。こう証言するのは、センター勤務7年目の40代男性・Aさんだ。同じく配属5年目の50代男性・Bさんと共に現在、ビルテクノへの損害賠償訴訟を準備中なのである。ビルテクノは、2011年9月に『東京メトロ』有楽町線平和台駅のエレベーターのワイヤロープが切れ、乗っていた女性が大怪我をした事故で、慈善に発見されていたロープの錆を放置していたことで批判を受けた。当時、同社は人員削減で、数名の担当者が1500台ものエレベーターを担当し、過酷な勤務体制となっていたことを社員が証言。世界的企業の三菱グループでも、こうしたブラック企業ばりの体質があったのである。また同社は、人工知能(AI)を使ったエレベーター管理プランを公表しているが、生身の人間の管理は疎かになっているとしか思えない状態が未だ続いているようだ。Aさんらは、キャリアの浅い男性を加えた3名で施設管理を任されており、「仕事は日常点検等ルーティーンワークが定まっている」という。しかし、菱サの親会社であるビルテクノの50代所長(※当時)は直接、規定外の作業を日常的に命令していたという。

20170517 04
「6年前にその所長が就任した途端、規定外の仕事を命令してきたんです。それも、『やってもらえるかな?』というものじゃなくて、机をバンバン叩きながら『やれよ!』という感じ。例えば、シャワー室の天井や空調関係の清掃等、専門業者が担当するものを強要され、拒否すると『何でやらないんだ!』と延々と怒鳴られました。危険な高所作業は会社に許可を取らないとできないのに、所長はある時、サッカーグラウンドにある15mほどの高さにあるネットの部品を締めるよう命じてきました。勿論、最初は断りましたが、延々と怒鳴られ続け、渋々ポールを昇ったんです。強い風の中、流石に命の危険を感じました。後で自分の会社(菱サ)に報告したら、上司に怒られてしまいました。『お前、落ちたら責任取れないぞ』って。私だって好きでやった訳じゃないのに…」(Aさん)。センターの管理はビルテクノ他、『東京アスレティッククラブ』・『東京フットボールクラブ』の3社が指定管理者として受注。現場には他社の従業員もいたが、所長はその中から立場的に弱い子会社の2名を、直接の部下のように扱っていたのである。そのパワハラは、朝一番から勤務後にまで及んだという。「朝やって来て、昼食を同じ部屋で取り、夜にまた来るので合計3回、顔を合わすんですけど、朝、いきなり『あれはどうなってるの?』って言ってくる。あれと言われてもわからないので聞き返すと、『考えてもわからないのか!』と怒鳴りだす。トイレのドアが上手く閉まらないとか些細なことだったんですが、これも私はドアの修理屋ではないので、完全には直せない訳です。でも、直せ直せと怒鳴り続ける。昼食を取っている時も、横で机を叩きながら大声で怒鳴る。夕方、定時の17時半になるとまたやって来て、2~3時間また怒鳴るんです。だから、残業がまるまるパワハラの時間になっていました。定時で帰れたことは殆ど無かった」(Aさん)。

当然、Aさんは自身の雇用主である菱サに苦情を申し立て、上司を通じてビルテクノ側に話をしてもらったが、状況は全く改善しなかったという。「もう何回、申し立てたかわからないくらい電話もメールもして、遂には所長の上司にあたるビルテクノの課長にも伝えたんですが、何も変わりませんでした。ひたすら現場の理不尽な命令と怒鳴り声に耐える日々。ある時、事態を見かねた菱サの上司がビルテクノ側に掛け合ってくれたんですが、所長は『俺はそんなことやっていない』って嘘を言ったんです。仕方なく労働基準局に通報したところ、担当者は『私はこの仕事を13年やっていますけど、今まで聞いた中で一番酷い話』と言っていました」(Aさん)。所長はある時、ハンマーを振り回し、机をそれでガンガンと叩いて大騒ぎ。これも後日、所長は「ハンマーなんか使っていない」と否定したという。これが事実なら、最早“奇行”の類いだ。あまりに異様な所長の勤務態度に疑問を抱きつつ、取材を進めたところ、勤務先に金融業者から頻繁に支払い催促の電話があったことがわかった。ある関係者によると、「娘のような女性が勤務先を訪れたことがあって、所長と『もうお金は貸せない!』と言い合いになっていたのを見た」というから、夜の数時間の説教が所長の残業代目当てだった可能性も浮上する。「自分の思い通りにならないとヒステリックに叫び出す」とBさん。そんな所長を、現場では北朝鮮の恐怖政治に擬え、“将軍様”と呼んでいたという。「何しろ、無理難題ばかり言うんです。専門業者を呼んでもわからないようなものでも、『見解を言え!』と叫ぶ。電気・ガス・水道の使用量が前年と比較して量が多いと、『原因を調べろ!』と命令。検診はしていても私にわかる筈がないのに、所長は延々と『根拠を出せ!』と叫ぶ。その数値は毎月、所長本人が判子を押して認可しているものなのにですよ」(Aさん)。Aさんらが実費で購入した私物のポットを所長が勝手に使用した上、空焚きで壊してしまっても、所長は「お湯をちゃんと沸かせるようにしておくのが仕事だ!」と逆ギレしたという。「自分が壊したことに全く悪いとも思っていない様子で、結局、新しいものをまた自分たちで買ったんです」(Bさん)。こうした理不尽なパワハラが約6年も続いたことで、Aさんたちは体調不良が顕著になっていた。「ストレスから精神状態が悪くなり、所長の顔を見ると頭の中が真っ白になったり、脈が激しくなったり、高血圧になったりし始めたんです。医師に診てもらったところ、『これは内科的なものじゃなくて精神的なもの』と言われ、精神科に行ったら鬱病だと診断されました」(Bさん)。当然、その診断書もある。Aさんも、「ずっと僕は低血圧だったのに、所長が毎日ギャンギャン怒鳴ってハンマーを持ち出した頃には、180を超える高血圧になってしまったんです。医者には『考えられる原因はストレスしかない』と言われ、その後は湿疹や目眩があって不眠症にもなりました。一度は右耳が聞こえなくなったこともあった」と、今も通院を続けている。

20170517 05
“将軍様”のあまりの横暴に、Aさんらはパワハラの一部証拠として、可能な範囲で所長の暴言を録音。それを持ってビルテクノ側に掛け合ったが、その回答は「特に問題ない」。そこで同社に内容証明を出したが、それでも改善が無かった為に、訴訟も辞さないという意思を突きつけたという。「すると、回答期日の前日になって『所長の異動を考えている』という返答が来て、漸く昨年12月にいなくなりました。所長は定年でもあったようなので、我々の申し立てのせいかはわかりませんが…」。しかし、これで問題が終わった訳ではない。「6年間も苦しんだんです。過去の話だと風化させられるものではないでしょう。大体、これはパワハラというだけでなく、偽装請負という違法行為。大企業であれば、きちんとそれを認識して正す義務がある筈」(Aさん)。昨年12月、Aさんらはビルテクノ側と話し合いを持ったが、相手は端から高飛車な態度で、「これはどういう根拠ですか?」「本人はやっていないと言っている」と取り合わなかった。録音を聴かせても「これのどこがパワハラに相当するのか?」と言われ、誠意など微塵も感じられなかったという。「偽装請負に関しては、『お宅の会社とうちの会社がウィンウィンだから』なんて言う始末でした」(Aさん)。罪の意識が無いとはこのことだ。後日、Aさんたちが「この問題を三菱電機の社長に直訴する」と伝えると、慌ててやって来たビルテクノ側の役員は、睨みつけるような態度に終始した。その後、「一部の病院代は支払うが、その後の通院費や、過去5年を遡った被害に関してはゼロ」という条件を出してきたという。一部でも支払うとした時点で非を認めたようなものだが、「ビルテクノは謝罪を文書では絶対に渡さないけど、『密室でだったらする』なんて言っていました」(Bさん)。問題があっても、頭にあるのは表沙汰にしないことだけとは、呆れた企業体質である。「これでは、まるでパワハラの延長線上ですよ。話し合いなのに睨んできたり。まるでこっちを加害者扱い。私たちは補償内容以上に、相手がこの問題をちゃんと認識するまで闘わなければなりません」(Aさん)。

当然、企業との闘いには、Aさんたちに大きなリスクがあった。「今直ぐクビになることはなくても、数年後にどうかっていう不安はあります」。取材をした数日後、その予感は的中した。気が付けば今回の件が会社中に伝えられ、職場ではまるで“問題児”扱いになっていたという。「これは公益通報の筈じゃないですか」(Aさん)。公益通報者保護法では、通報した労働者への不利益な扱いを禁止することが定められている。しかし、このままでは会社を追い出されかねない状況なのである。「社内で私は“専任社員”という扱いで、『将来的に正社員になれず、雇い止めになるなら早めに辞めて、ちゃんと雇用してくれる仕事先を探したい』という話を常々、会社にしてきたんです。上司は何度も『雇い止めになった例は過去に無い。待遇も社員と同じだ』と断言していましたが、最近になって改めて確認すると、どうやら我々は雇い止めとなる方向だというんです。これが怖かったので、再三に亘り確認してきたのに、労働者を繋ぎ留める為に都合のいい嘘を吐いてきた訳です。頑張れば一般社員になれると思っていたら、この仕打ち。今、ビルテクノは『過去の病院代は払うが、今後の治療費や慰謝料はゼロで、給料を1万円上げる』との提案をしてきています。でも、クビになったら関係ない。そんな都合のいい話を呑めません。社会的地位の優位性を盾にした偽装請負で、毎日のように大声で感情的に叱責され、精神的な障害まで発症したんです。とても許し難い行為。抑々、我々の現場は勤務9時間で休憩1時間となっている筈が、休憩中も自由ではなく、必ず監視室にいて電話や訪問に備えなければなりませんでした。『これは本来、労働時間だ』と労働基準監督署に言われました。そうなると残業代も不払いですから、まさに違反のオンパレード。定年まで普通に仕事をして、波風無く働いていきたかったのに、悔しいです…」(Aさん)。味方であった筈の菱サも、親会社から転籍した社員がいる為に、Aさんたちは追い込まれているようだ。Aさんらは筆者の取材には非常に丁寧な態度で応え、労働問題についてもよく理解しているように見えた。しかし、これに対して会社側はどうだったか。ビルテクノに取材をすると、何と「そんな話は把握しておりません」と突っ撥ねられた。ただ、文書で質問状を送ると、「当人からの申し立てを受け、協議を行っています。内容については回答を差し控えさせていただきます」(広報室)とのことだった。但し、偽装請負は違法行為であり、当事者と話し合って済む問題ではないだろう。Aさんも、「協議中と言いますけど、何をやるのもダラダラで、期限ギリギリに引き伸ばしの為の解答が来たり、真摯に受け止めるような態度はありません」と話している。Aさんたちの雇用主である菱サは、「現在、三菱ビルテクノのほうで調査中で、外部の方にお答えすることは特にありません」との回答だった。これが公共施設を管理している会社なのだから、「全国各地で似たような被害があってもおかしくはない」というのが筆者の感想だ。大金で仕事を受注しながら、現場の労働者の扱いは気にもしない――。これが大手企業の姿なら、日本社会の未来は暗い。 (取材・文/フリージャーナリスト 片岡亮)


キャプチャ  2017年5月号掲載

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

本日、職業選択の自由が奪われました [ 秦本幸弥 ]
価格:650円(税込、送料無料) (2017/5/16時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

就職先はブラック企業 [ 恵比須半蔵 ]
価格:668円(税込、送料無料) (2017/5/16時点)



スポンサーサイト

テーマ : ブラック企業
ジャンル : 就職・お仕事

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR