【点検トランプ政権100日】(04) 火種“ロシアゲート”

20170517 01
先月25日午前、ワシントンの連邦議会議事堂近くに立つ議会ビルは、殺到した報道陣で物々しい空気に包まれていた。「カネを受け取ったのなら不適切で、法を犯した報いを受ける」。廊下に立ったまま即席の緊急記者会見を開いた下院の監視・政府改革委員長であるジェイソン・チェイフェッツ(共和党)は、ドナルド・トランプ政権に纏わるスキャンダルの調査結果を公表した。トランプが2月に更迭した前国家安全保障担当大統領補佐官のマイケル・フリンに関するものだった。退役中将として政治コンサルタントを務めていたフリンは、2015年12月、講演料としてロシア政府系メディアから4万5000ドル(約500万円)を受け取った。ところが、これを申告しなかったという。アメリカには、退役した軍高官が外国の政府や企業から許可なく金銭を受け取ることを禁じる法律がある。新政権発足前の出来事とはいえ、ロシアとの関わりをひた隠しにするかのようなフリンの行動に、波紋が広がった。「フリン氏が違法行為か」「トランプ政権に痛手」――。アメリカのメディアは挙って速報した。この話には伏線がある。チェイフェッツの緊急記者会見から4日前の同21日、『CNN』のニュース番組『アンダーソン・クーパー360度』で爆弾発言が飛び出した。「ホワイトハウスで隠蔽工作が進行中という情報がある」。発言の主は、『ワシントンポスト』の元記者であるカール・バーンスタイン。同僚のボブ・ウッドワードと共に、ウォーターゲート事件に関するスクープでリチャード・ニクソン大統領を退陣に追い込んだことで知られる。貫禄溢れる白髪の73歳、バーンスタインは、「連邦捜査局(FBI)関係者から聞いた話だ」として、疑惑隠しが密かに進んでいる可能性を指摘した。

疑惑とは何か? 話は、昨年の大統領選に遡る。トランプの最大のライバルだった民主党指名候補のヒラリー・クリントンの陣営は、何者かによるサイバー攻撃を受けた。FBIや『中央情報局(CIA)』は大統領選後、「ロシアの軍参謀本部情報総局が関与していた」と断定した。大統領のバラク・オバマ(※当時)はこれを受けて、退任直前の昨年12月29日、ロシア外交官35人の国外追攻等報復措置を発表した。「トランプの側近らがロシアと結託し、サイバー攻撃でクリントンの追い落としを図ったのではないか?」。これが疑惑の根幹だ。バーンスタインが言う“隠蔽工作”が真実なら、トランプ政権を吹き飛ばすだけの破壊力がある。トランプがフリンを更迭した理由は、「フリンが駐米ロシア大使のセルゲイ・キスリャクと政権発足前に接触したとされる報道を巡り、事実を質した副大統領のマイク・ペンスにフリンが嘘を吐いたことだ」とされた。しかし、アメリカ国民の多くが眉を顰めたのは、関連して発覚した別の事実だ。フリンはオバマが決めた対露制裁について、キスリャクにこんな意向を伝えたという。「トランプ政権の発足後に制裁を見直す」。キスリャクは、司法長官のジェフ・セッションズや、トランプの娘婿である大統領上級顧問のジャレッド・クシュナーらとも会っていた。この100日間で一連の接触が報じられる度に、疑惑を巡る憶測が拡大しつつある。アメリカではウォーターゲートを捩り、こんな呼び名までついた。“ロシアゲート”。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アメリカのメディアでキスリャクが槍玉に挙げられていることについて、「魔女狩りだ」と不満を隠さない。トランプは、「民主党が大統領選の大敗を言い訳する為にでっち上げたフェイク(偽)ニュースだ」と反論する。強気な大統領を余所に、FBIは今回の疑惑について捜査を続けている。火種は絶えない。 《敬称略》 (アメリカ総局 尾関航也)


⦿読売新聞 2017年5月3日付掲載⦿
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