【トランプ大統領100日】(03) 経済政策、前政権よりまし

20170518 06
「多くの中小企業に大いに役立っていることがわかった」。アメリカ大統領のドナルド・トランプが政策を翻しているのは、外交・安全保障分野だけではない。先月12日、「廃止だ」と主張してきた『合衆国輸出入銀行』の存続を唐突に表明したのも、その1つだ。輸出入銀行は、高額なアメリカ製の航空機やガスタービン等を購入する外国企業への信用保証や融資を担う。「一部の企業を優遇して公平性に欠ける」等と批判され、バラク・オバマ前政権時から議会で廃止論が活発だった。「経済の崩壊を招く」。『ゼネラルエレクトリック(GE)』最高経営責任者(CEO)のジェフ・イメルト(61)らの主張は、中々響かなかった。トランプは、『ボーイング』の前CEOであるジム・マックナーニ(67)との会談をきっかけに翻意したとされ、「実際には非常に良いものだ。大いに稼げる可能性がある」とまで語った。ホワイトハウスではビジネス界との会合を頻繁に開き、企業トップらの声に耳を傾けている。

「インフラ投資・税制改革・規制改革。大統領がやろうとしていることは気に入っている」。イメルトはこう公言して憚らないが、1年前は政治に苛立っていた。元々、共和党支持者ながらオバマ前政権の経済改革の司令塔『雇用・競争力会議』議長を務め、アメリカへの製造業回帰に汗をかいた。それなのに、民主党の大統領候補が反大企業の主張を強めていたのに危機感を抱き、批判を覚悟の上でトランプ支持を訴えた。「大統領は我々の現状をよく理解して頂いている」。中国からの安価な輸入品に苦しむ『USスチール』CEOのマリオ・ロンギ(62)も満足げだ。アメリカの産業界には、世界を揺るがす保護主義的な通商政策を後押しする空気も強い。日本車の攻勢に曝される自動車大手3社(ビッグスリー)も、トランプが就任早々に離脱を決めた『環太平洋経済連携協定(TPP)』に予て反対してきた。TPPの旗振り役だったイメルトは心中複雑だが、「大統領とは全ての面で一致することはあり得ない。我々はビジネスの実例で大統領をリードしていく」と話す。トランプの政策への評価は、業界によって斑で、賛同できない振る舞いも多い。それでも、利に聡い経営者の間では、「プロビジネス(企業活動重視)路線のトランプは前政権よりマシ」との割り切りが勝っている。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年5月11日付掲載⦿
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