【ナゾノミクス】(03) 低金利、ローン安くお得だけど

20170518 07
「0.6%でいいなんて」――。東京都内に住む47歳の男性は目を疑った。11年前に組んだ住宅ローンの金利は、35年で返す固定型で年3%。銀行に借り換えを相談したところ、5分の1の金利を提案された。日本は歴史的な低金利が続いている。『日本銀行』が銀行から預かるお金の一部で金利をマイナスにする政策まで導入し、世の中の金利は一段と下がった。借りる時に金利が低いのはありがたい。しかし、日本経済全体で見ると、低金利は良い点も悪い点もある。良い点としては、借りる側のメリットが大きい。『ファイナンシャルリサーチ』(東京都新宿区)の深野康彦代表によると、「金利はお金の使用料みたいなもの」。使用料が安いなら、企業はお金を使って新しい投資をし易くなる。新たな投資は雇用に繋がり、消費が活発になるという好循環が期待できる。悪い点は、“貸す側”から見えてくる。銀行は企業や個人からお金を集め(※預金)、必要とする企業や個人に貸し出す(※貸出金)。貸出金の金利は預金より高く、この差が銀行の収益だ。ところが、金利が低いと預金が上手く集まらず、貸出金利も下がる。

最近は、人口が減る地方で経済が振るわない。地方銀行は貸し出しの金利がとても低い状態だ。貸しても貸しても利益が出ないなら、銀行は融資を躊躇う。貸し出し以外の運用も利率が低く、十分な利益が出ない。結果として、銀行の経営が悪くなれば、貸し出しの姿勢に影響する。借りたくても借りられない企業が出てくる。低金利が続く背景には、「1990年代にあった“バブル経済の崩壊”が尾を引いている」との指摘もある。『みずほ総合研究所』チーフエコノミストの高田創氏によると、今は国内で株式上場をしている企業の半分以上が“実質無借金”の状態。多額の借金で苦しんだ記憶のある企業には、お金を借りて新しい事業を始めようという機運が乏しい。低金利のもう1つの問題は、資産の運用が難しくなることだ。現在の預金金利は、キャンペーンでも年0.25%程度。100万円預けた利息は年2500円で、そこから税金が引かれる。給料が無く、年金に頼る高齢者にとっては、預金の利息が少ないことはより深刻だ。金利が上がる局面は、いつ来るのか? 深野氏は、「暫くは金利が大きく上がることはない」と見る。日銀が当面、金利を低くして経済を下支えする“金融緩和政策”を続ける見通しだからだ。低金利が経済を活発にする仕組みも、長く続くと効果が薄れていく。景気を下支えする代わりに、皺寄せが及ぶ人たちもいる。適度な金利が上手く機能する経済こそが、日本の目指す姿だろう。 (佐藤初姫)


⦿日本経済新聞 2017年5月4日付掲載⦿
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テーマ : 経済・社会
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