【ビジネスとしての自衛隊】(01) 予算は初めて5兆円超え、“兵士”の人手不足が深刻

2万人の職員と23万人の自衛官を擁する防衛省・自衛隊。PKO(国連平和維持活動)に緊迫感が増す東アジア情勢と、自衛隊に関連するニュースには事欠かない。背広組と制服組との関係は? 防衛産業との繋がりは? 自衛隊のリアルに迫った。

20170518 08
今年度の防衛関係予算は4兆8996億円、アメリカ軍再編関連費用を含めた総額は5兆1251億円となり、何れも過去最高となった。政府の歳出抑制策の中でも、中国や北朝鮮の軍事的脅威に対抗する為、防衛費の増額が続いている。防衛費については、三木武夫政権が1976年に国民総生産(GNP)比1%以内とする方針を閣議決定。1980年代に中曽根康弘政権がこの枠を撤廃し、1989年度まで3年度連続で1%を上回った。その後は2010年度の1.008%を除いて1%を超えていない。第2次安倍晋三政権の発足後は防衛費が増額されてきたが、今年度も1%以内に収まっている。防衛費は厳しい財政事情の結果として1%以内に収まってきたが、アメリカのドナルド・トランプ政権で1%を巡る議論が再燃する可能性がある。トランプ大統領は日米安全保障条約について、選挙期間中に“日本ただ乗り論”を述べていたが、就任後はその発言を控えている。それでも、「将来的には日本の負担増やアメリカ製兵器の購入を求めてくるのではないか?」との観測が強い。日本の防衛を担う防衛省と自衛隊だが、南スーダンへのPKO派遣の“日報”問題では、相変わらずのガバナンス不全が露呈した。

日報を巡っては、制服組である統合幕僚監部・陸上自衛隊と、防衛省内局の背広組との連携の悪さが目立った。両者の溝は相当深い。実力組織である自衛隊を組織と人という点から見ると、日本企業と同じ構造問題を抱える。それは、ミドルマネジメント層の余剰、若年層の不足からくる低い充足率(※定員に対する実際の人員比率)だ。任期制である“士”(兵士)が少なくなり、現場の統率者である“曹”(下士官)や部隊全体を動かす“幹部”(将校)が増えている。1991年と2014年を比べると、自衛隊全体の平均年齢は32.2歳から36.0歳に上がってしまった。充足率は“士”で75.0%。つまり、100人いる筈の部隊で25人がいない計算だ。軍事組織はピラミッド状の人員配置によって機能する為、末端の不足は痛い。陸上自衛隊は今年度、創設以来という組織改革を予定している。その柱は、“陸上総隊”の新設だ。海上自衛隊の自衛艦隊や航空自衛隊の航空総隊のように、全国の部隊を束ねる司令部を置き、有事や大規模災害の際に統一的な運用をし易くする。防衛大臣の直轄である中央即応集団は廃止し、その傘下にある空挺団やヘリコプター団は陸上総隊の下に置く。尖閣諸島や南西諸島等、島嶼部での有事に対応する水陸機動団(所謂“日本版海兵隊”)も新設する。全国の部隊では、第8師団(熊本市)を機動師団に、第14旅団(香川県善通寺市)を機動旅団に、其々改編する。機動師団・旅団は機動力を生かし、広域展開に対応する。航空自衛隊も東シナ海での備えを厚くする。今年度、沖縄県那覇市にある南西航空混成団を南西航空方面隊へと格上げする。中国軍機による領空接近への警戒が目的だ。空自はこの数年、戦闘機部隊の配置換えを行ってきた。深刻な人手不足の下でも、任務は拡大する。“内憂外患”に直面する自衛隊の姿を追う。


キャプチャ  2017年5月13日号掲載
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テーマ : 自衛隊/JSDF
ジャンル : 政治・経済

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