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【どうなる!?日本の宗教】(08) 神社本庁約3000万円横領事件が神社界の内紛に与える影響



20231120 11
全国8万社の神社を包括する『神社本庁』の傘下組織である『東京都神社庁』(※小野貴嗣庁長)の幹部が、複数年に亘って神社庁の口座等から約3000万円を自身の口座に移し、生活費や競馬代として使っていたことがわかった。この幹部は1月に東京都神社庁を解雇されている。「金銭上の非違行為」(※東京都神社庁の庁報『東神』より)で東京都神社庁を解雇されたのは、現在も都内の神社で宮司をしているM氏。東京都神社庁等によると、M氏による横領が発覚したのは昨年12月。東京都神社庁の口座から別の口座に不自然に現金1900万円が移動していることに、職員が気付いたという。発覚後、M氏が東京都神社庁に提出した事情説明書によれば、生活資金がままならなくなり、「借入だと勝手に考え資金の流用を繰り返してしまいました」という。妻との不和によるストレスで競馬に費消した旨も書かれ、「小野庁長を始め、皆様にご迷惑をお掛けしたこと誠に申し訳ありませんでした」と締めている。取材によると、1900万円については東京都神社庁の小野庁長がM氏の父親(※都内の宮司)に掛け合い、弁済させたという。だが、今年に入るとM氏の別の横領も明るみに出る。3月には、630万円が『東京都神職教誨師会』の口座に移された後で引き出されていたことが新たに発覚した。教誨師とは、刑務所等で受刑者に精神的、宗教的な教えを説き、二度と罪を犯さぬよう論す者のことで、M氏は東京都神職教誨師会の事務局長を務めていた。東京都神社庁は同会に毎年100万円の助成金(※活動資金)を拠出している。東京都神社庁が調査したところ、決められた金額以上に送金され、不正に引き出されていた額は630万円に上ったのだ。

先月11日の役員会では、更に600万円が東京都神職教誨師会の口座から引き出されていたことが、同会によって確認された。コロナ禍で暫く教誨師の活動はできておらず、本来は600万円が口座に残っている筈だったが、残っていなかった。この600万円についての被害者は東京都神社庁ではなく、東京都神職教誨師会だという。東京都神社庁の被害額は判明している分で2530万円。東京都神社庁として被害届を出すべきか、それとも刑事告訴すべきか。同日の役員会は紛糾した。「小野庁長始め役員が引責辞任するべきではないか」という意見も出たが、この日は組織として被害届を出す方針だけ固まった。M氏による横領は、東京都神社庁の上部団体である神社本庁で起きている内紛にも不穏な影を落としている。神社本庁では、昨年から2人の宮司が総長の座を巡って争っている。1人は、2期6年が通例であるところ4期12年の長期政権を敷いてきた田中恆清氏(※京都の『石清水八幡宮』宮司)。もう1人が芦原高穂氏(※北海道の『旭川神社』宮司)だ。経緯は以下の通り。昨年5月、全国の神社庁長等約170人が集まる評議員会で、神社本庁の宗教的な権威である統理に、『伊勢神宮』大宮司を務めた鷹司尚武氏が全会一致で選任された。鷹司氏はその後の役員会で次期総長に芦原氏を指名。5期15年を目指した田中氏に退任を迫る。ところが、翌6月の役員会では15人中9人が田中氏の続投を支持。結果、宗教的権威である鷹司氏が指名した芦原氏と、宗教法人である神社本庁の役員会が議決した田中氏が、総長としての正当性を巡って争う構図が生まれた。翌7月、神社本庁は芦原氏が神社本庁の総長ではないことを確認する仮処分を旭川地裁に申し立て、裁判所はこれを認めた。一方の芦原氏は東京地裁に地位確認請求訴訟を提起。“真の総長”を巡る裁判が始まった。“田中vs芦原”の総長の座を巡る対立で、神社界もまた田中氏を支持する勢力と芦原氏を支持する勢力に割れる。田中氏は『神道政治連盟(神政)』の打田文博会長や東京都神社庁の小野庁長らが支持している。これに対して、芦原氏の側は宗教的権威である鷹司統理の判断を支持する勢力として『花菖蒲ノ會』を結成。2015年に発覚した神奈川県川崎市内の職員宿舎売却を巡る疑惑等を受け、「運営の順法性、透明性、公正性を回復させる」とした鷹司統理の下、愛知県の『熱田神宮』や島根県の『出雲大社』、『東京大神宮』といった有力神社の宮司を含む約1800人の宮司が集結し、田中長期政権の刷新を求める。

こうした神社本庁の内紛の中で浮上したのが、M氏による横領だ。M氏は田中氏の側近である神政連の打田会長の親戚に当たり、「ポスト田中の筆頭格」(ある有力神社の宮司)と呼ばれる小野常務理事(※東京都神社庁長)の運転手役を務める等、田中体制の中枢と近しい人物である。旭川地裁が「芦原氏は総長の地位にはない」という決定をした昨年7月7日、地裁の前に白のベンツが乗りつけた。車から出てきたのは神社本庁の吉川通泰副総長と小野常務理事、そして運転手をしていたM氏だった。そうしたM氏と小野氏らとの人的関係から、「M氏による横領は本当にこれだけなのか。表に出せない経理処理がなされているのではないか」と真相究明を求める声が上がる。M氏の処分内容は当初、通常の解雇扱いだったが、新たな横領が次々に発覚したことを受け、懲戒解雇に変更となった。東京都神社庁は既に警察に資料を提供し、事案の説明も行なっている。M氏が現在も神職を続けていることについては、「どうして神職懲戒とならないのか」との声が上がる。懲戒規程には、神職懲戒の対象となる事由として「神職としての資質を著しく欠き、職務を怠り、信用を失う行為があったとき」とあり、M氏の横領はこれに該当するとみられるからだ。神職の懲戒規程はやや複雑だ。懲戒するか否かについては、M氏が宮司を務める神社の役員が統理に具申する手続きを経なければならない。M氏が宮司を務める神社の役員2人に本誌が尋ねたところ、M氏の横領については「わからない」「聞いていない」という回答に終始した。先月中旬、神社で月に一度の月次祭を執り行なっていたM氏。祭祀終了後、横領について尋ねた。M氏は、「今は否定も肯定もしないことにしています。話せる時が来たら話します。申し訳ありません」と言うばかりだった。M氏の横領について、本誌は東京都神社庁に“小野庁長の監督責任”と“東京都神社庁としての見解”を問うた。小野庁長の監督責任については、「本事案が発生した原因や関係者の責任(※法的責任・道義的責任等)は神社庁として検討しなければなりませんが、関係者からの事情聴取が未了であり、現時点では検討完了していません。しかもこの点は神社庁長だけで判断できる事柄ではなく、役員会、さらには協議員会での議論が必要となる事柄。現段階で神社庁としての見解としてお伝えできることはありません」とした。一方、M氏の横領については「言語道断の行為であり極めて遺憾である。原因究明に努めるとともに、再発防止策を徹底したい」と回答した。 (取材・文/本誌 野中大樹)


キャプチャ  2023年6月10日号掲載
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