【熱狂!アニメビジネス最前線】(06) エイベックス、アニメの会社になります!

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実写映像宛らに、スケートリンクの上でスピン、ジャンプ、滑らかなスケーティング――。『ユーリ!!! on ICE』(テレビ朝日ほか)は、フィギュアスケートをテーマにしたテレビアニメだ。2016年10~12月に深夜枠で放送されると、瞬く間に人気に火がついた。製作委員会に名を連ねるのは『エイベックスピクチャーズ』。DVDの制作や販売を行う権利を持つ他、グッズ等幅広くビジネスを手掛ける。これまでもパレーボールやサッカー等、スポーツアニメは数多く制作されてきた。しかし、複雑な動きを表現しなければならないフィギュアスケートは、技術的な問題で敬遠されてきた。同作では、実際に演技した映像を基にアニメーションを作ることで、ハードルを乗り越えた。振り付けは元フィギュアスケーターで振付師の宮本賢二氏が担当し、作中でスケート解説者として登場する織田信成氏や本田武史氏といったプロスケーターに、「違和感が無い」と言わしめた。「ジャンプ時の着氷の踵・爪先の動きにまで拘り、リアリティーを追求した」(エイベックスピクチャーズアニメ制作本部制作部第2制作課の田中宏幸課長)。アニメファンのみならず、フィギュアスケートファンも取り込んだことで、昨年12月に発売されたブルーレイ・DVDは、出荷ベースで1巻8万3000本(※全6巻を発売予定)の大ヒットを記録。「今後の展開は検討中」(田中課長)だが、続編や映画化、2.5次元舞台化等、ファンの期待は弥が上にも高まる。エイベックスと深夜アニメ。一見、親和性が低そうな組み合わせだが、グループ内においてアニメ事業は急激に存在感を増している。1990年代にダンスミュージックで急成長したレコード会社は今、アニメを主力事業に育てようとしている。2015年10月から2016年3月までテレビ東京系列で放送されたテレビアニメ『おそ松さん』も、エイベックスが製作委員会に参加している。赤塚不二夫原作のギャグマンガ『おそ松くん』を、6つ子が成人してからの設定に改めた。その上で、6つ子のキャラクターを明確に分け、其々を人気声優が演じたことがウケて大ヒット。若い女性を中心に一大ブームを巻き起こした。2016年1月に発売されたおそ松さんのブルーレイ・DVDは、出荷ベースで1巻12万本を突破。1巻当たり6000~7000円で全9巻(※現在は8巻まで発売)だから、ざっと見積もっても売上高は60億円ほどになる。直近のエイベックスの映像パッケージの売上高(※2016年4~12月)は、前年同期比で170%となり、販売枚数は3倍近くも伸びている。「アニメは総合エンターテインメント」と、エイベックスピクチャーズの勝股英夫副社長は意気込む。

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大きなヒットコンテンツが生まれると商圏は広がり、キーホルダーやTシャツ等の関連グッズの販売や、ゲームアプリのライセンス収入、配信ビジネスの収益も上乗せされる。アニメの配信権ビジネスは国内に留まらず、海外にも広がる。ユーリは、日本での放送直後に中国や北米で配信され、海外のプロのフィギュアスケーターたちがSNSで反応する等、人気を集めている。「アニメ市場はモノ消費からコト消費へ変化している」(勝股副社長)。そこで同社が仕掛けるのが、2016年1月に公開した劇場アニメ『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』(通称“キンプリ”)だ。企画製作から配給まで手掛け、“応援上映”という新しい楽しみ方を広げている。キンプリの上映中、観客は一体となって盛り上がる。映画館でコスプレを楽しみ、サイリウムを振って声援を送る。映画館はまるでライブ会場のような熱気に包まれる。過去には、1975年のイギリス映画『ロッキーホラーショー』や、1980年のアメリカ映画『ブルースブラザーズ』等、観客も一緒に盛り上がる作品もあった。キンプリはその進化形。アニメの内容や台詞も、応援上映を前提に作られている。アニメのキャラクターが「皆に言いたいことがありま~す!」と台詞を言うと、観客は「な~に~?」と応える。キャラクターにソフトクリームを食べさせるシーンでは、「はい、ソフトクリーム。ア~ン♡」の字幕が表示され、観客はアフレコを行う。観客は映画を見るという感覚ではなく、何十回と繰り返し見に行く。リピーターに支えられて興行収入は約8億円となり、一般には殆ど知られていないアニメ映画としては合格点と言える実績を残した。観客動員数は48万人を突破し、ブルーレイ・DVDは、単価1万円を超える特装版を含めて3万5000本を出荷。6月には続編の上映を控えている。エイベックスは4月から、成長市場としてアニメ、ライブ、デジタル(映像配信)の3事業を掲げた新体制となる。CD販売を中心とした音楽事業で成長してきたが、2009年度に748億円だった音楽事業の売上高は、2015年度は612億円まで落ち込んでいる。それを補うのがライブ事業と、500万人規模の会員を抱える映像配信サービス『dTV』を中心とした映像事業だ(※右上図)。足元の部門利益は映像パッケージ販売が映像配信を上回り、破竹の勢いで伸びている。今秋には青山の新社屋建て替え工事が完了し、移転を機に、創業から30年掲げてきた“レコード会社”の看板を降ろして再スタートする方針だ。2020年には連結売上高2500億円(※2016年3月期は1541億円)の目標を掲げるエイベックス。達成のカギを握るのは、アニメ事業の更なる成長だろう。 (取材・文/本誌 中原美絵子)


キャプチャ  2017年4月1日号掲載
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