【イラン大統領選・核合意への審判】(上) 描けぬ“繁栄”、国民失望

大統領選挙を前に、“核合意”を受けイランで進む変化について報告する。

20170523 01
「マンション建設は10ヵ月程前に止まった。核合意で経済制裁が解除されたなんて信じられない」――。テへラン郊外のニュータウン『パランド』で、骨組みと外壁だけのマンションを見上げ、現場を管理するメへディ・レザイさん(62)が嘆いた。200戸の入居を見込む5階建てマンションは、「元請けの資金繰りが悪化し、工事再開の目途は立たない」という。再選を目指すハサン・ロハニ大統領の1期目の成果は、アメリカやロシア等『国連安全保障理事会』の常任理事国にドイツを加えた6ヵ国と結んだ“核合意”だ。「原油輸出で国の財源は潤い、貿易や投資が活発化し、疲弊した経済が立ち直る」。ロハニ師は、核合意の恩恵をこう強調してきた。テへランで今月上旬に開かれた国際展示会『オイルショー』には、約40ヵ国から1500社近くが参加し、世界第4位の原油埋蔵量を持つイランへの関心の高さを示した。参加した中国の石油掘削会社の幹部は、「資源が豊かなイランで事業ができると期待している」と話した。

だが、外国企業の“イラン回帰”の動きは鈍い。イラン政府の発表では、核合意が結ばれた後、外国企業と交わした覚書の投資総額は約500億ドル(約5兆6500億円)に達するが、正式契約に至ったのはその4分の1で、実現した案件は更に少ない。ドイツ企業のテへラン駐在員は、「イランを敵視するドナルド・トランプ政権の登場で、先行きに不透明感が増した。投資判断は情勢を見極めてからにしたい」と慎重だ。『イラン中央銀行』によると、制裁解除を反映し、イランの昨年3~12月の国内総生産(GDP)は、前年同期比で11.6%の高い伸びを記録した。だが、エネルギー部門を除けば1.9%と微増で、昨年12月の世論調査では7割が「生活は向上していない」と回答した。失業率は12%と高く、約8000万人の人口の半分を占める30歳未満の世代では26%と特に深刻だ。核合意の後も改善しない状況に、失望が広がっている。ロハニ師の対立候補で、イスラム教に基づく厳格な統治を主張する強硬派が推すエブラヒム・ライシ前検事総長は、雇用分野におけるロハニ師の失政を批判し、「倒産企業を再生し、失業者を再雇用する」と主張する。「4年前はロハニ師に投票したが、今回は選挙に行かない」。南部のシーラーズ近郊で昨年10月、約2万人が参加した政府への抗議デモに参加した男性(35)は言い切った。


⦿読売新聞 2017年5月16日付掲載⦿
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