【イラン大統領選・核合意への審判】(下) 対米路線、“継続”か“対決”か

20170523 02
大統領選まで残り4日となった今月15日、再選を目指すハサン・ロハニ大統領(68)の対立候補であるテヘラン市のムハンマド・ガリバフ市長(55)が突然、選挙戦から撤退した。イスラム教に基づく統治体制を守る為に国際社会との対立も辞さない保守強硬派のガリバフ市長は、「現状を変えなければ“革命(体制)”を守ることはできない」と表明し、同じく強硬派のエブラヒム・ライシ前検事総長(56)への支持を宣言した。調査機関が今月13日に行った支持率調査では、ライシ師(25.2%)とガリバフ氏(19.5%)の数字を単純に足せば、ロハニ師(47.2%)に迫る。ライシ師は大統領の上に君臨し、“反米国家”の全権を握る最高指導者のアリー・ハメネイ師に近いとされる。強硬派が候補者を一本化したことで、ロハニ師が優位とみられていた選挙の行方は見通せなくなった。大統領選は、イランが核開発の制限を受け入れ、見返りに米欧が経済制裁を解除するとした“核合意”(※2015年7月)への審判となる。核合意の立役者であるロハニ師は、「核合意の継続が最も重要だ」と繰り返し訴え、今月15日の演説では「合意に反対する者は制裁の復活を望んでいる」と、ライシ師ら強硬派を牽制した。

一方、ライシ師は同日、演説で「ロハニ政権が合意を履行しても、相手(※アメリカ)は守っていない。革命的な政府でなければ、移合意という小切手を現金化できない」と述べ、「核合意の恩恵を最大限引き出すには、アメリカとの対決が不可欠」と主張した。宿敵のアメリカは、バラク・オバマ前政権の時代に核合意を受け入れ、核開発と結び付いた制裁は解除した。だが、“テロ支援”を理由に独自に行っているイランへの制裁は、現在も続けている。この為、イランは国際送金し易いドル取引を規制されたままで、日本企業の関係者からも「正常なビジネス環境と言えない」との声が聞かれる状況だ。更に、今年1月20日に就任したドナルド・トランプ大統領は、イランへの敵対姿勢を強め、核合意についても「史上最悪の取引だ」と批判し、見直しさえ示唆する。こうした中で、イラン国内の対米不信は強まっている。シリア内戦を巡っても、イランはロシアと歩調を合わせてアサド政権の後ろ盾となり、同政権打倒を目指す反体制派を支えるアメリカと対立する。更にイランは、ペルシャ湾岸の国々やイエメンへの影響力拡大も目指す。イランと中東の覇権争いを繰り広げるアメリカの同盟国であるサウジアラビアや、イランが存在を認めないイスラエルは、“核合意”を批判し、イランの核武装に警戒を強める。外交評論家のサへブ・サデリ氏は、「強硬派の大統領が誕生すれば、周辺国やアメリカとの緊張は一段と高まる」と述べ、「核合意の根幹が揺らぎかねなくなる」と指摘する。

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テへラン支局 中西賢司が担当しました。


⦿読売新聞 2017年5月17日付掲載⦿
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