【天下の暴論2017】(05) 日本も国境に“壁”を作れ

20170525 01
老生、怪しげな霞を食ってその日を凌いでいる世捨人であるが、時々、人様の面への引っ掻きを楽しむ悪人である。その武器は、ただ1つ。大阪人特有のド現実主義。これは、抽象化好きの知識人連中から最も嫌われる。さりながら、ド現実はド抽象であり、ド抽象はド現実であるとドイツの大哲学者が喝破したと学んだ遠い昔の記憶のままに、浮世の出来事について些か引っ掻いてみたい。先ずは、老生のホームグラウンドの中国。我が国の仮想敵国である。ならば十分に知り尽さねばならぬが、浮世の中国分析は甘い。例えばこうだ。中国の軍事費大増額を基に、南シナ海における中国海軍増強に由る海戦の危機を訴える。それはそれで良い。優等生知識人の素直な観点である。しかし、ド現実主義に立つと、「日本との海戦は先ず起らない」と見る。何故か? 答。殆どの中国人は泳げないから。問。何故泳げないと断ずるのか? 答。中国の公立小・中学校に維持費のかかるプールが殆ど無く、泳ぐ訓練を受けていない。私学の一部にはプールがあるが。日本の公立小・中学校の8割以上がプールを持っている。日本人の8割くらいが泳げるのは、その割合の結果である。問。しかし、海や川があるではないか? 答。殆ど全てが環境汚染されているドブ川・ドブ海。入ると生命が危ない。という訳であるから、泳げない中国海兵にとっては、いくら救命具を身に着けるとしても、海戦において艦船が沈められ、海に投げ出される時の恐怖は想像を絶する。一方、我が海上自衛隊員は、ほぼ100%泳げるのみならず、2㎞や3㎞の遠泳もできる。そういう泳げる強兵に対して、泳げない弱兵が戦いを挑むであろうか? いくら機械化され、IT化されても、最後は生身の人間の戦いなのである。これがド現実主義観点の例である。

という立場で、今が旬の世のドナルド・トランプ論を眺めると、更に引っ掻きたくなってくる。世の知識人という知識人は、彼を馬鹿にして罵倒した。いや、罵倒してきて、今もそれが続いている。トランプを罵倒することが良心派・良識派の証である気に。愚かな話である。良心派良識派知識人の大好きな『論語』に、「人(他人)の己れを知らざるを患えず。(己れが)人(の優れた点)を知らざるを患う」(学而篇)とあるのを御存知ないか? 彼らが嗤った最大のトランプ政策は、「メキシコとの間に壁を作り、メキシコからの不法侵入を防ぐ。壁作りの費用はメキシコに負担させる」というものである。しかし、老生は驚嘆した。その鮮やかな“現代性”に、である。歴史を顧みるがいい。人類は森の中で自然物採集や小動物捕獲によって細々と生活していたが、軈て平原上の生活となる。そして、移動する狩猟民族と定着する農耕民族とに分かれ、次第に農耕民族(※漁業も含む)が中心となった。そのどちらにせよ勿論、肉体労働であり、頭脳労働の要員は一部だった。だから、極普通の身体であれば働く場所も仕事もあった。有史の古代、中世となっても同様であった。いや、産業革命後も、エネルギー源の中心となった石炭を得る為に盛んとなった鉱業も、依然として肉体労働中心であった。機械や工具を動かすのも、実際は肉体労働であった。そして、それに従事した人々の多くは農業からの転業者であり、肉体労働という労働形体がそれを可能にした。即ち、古代・中世・近世、そして近代の大半において、肉体労働が労働の中心であり、多くの人々はそれによって生計を立てることができた。ところが、現代に至るや職業内容に劇的変化が訪れる。エネルギーの中心となった石油を得る時、石炭を得る方式と異なり、機械化が進み、重労働は無くなった。原子力エネルギーとなると、更に人数も少なくなった。これらエネルギーを十分に利用できる諸工業は、次々と省力化に成功し、自動化してきている。商業も物流が機械化されてきている。つまり、肉体労働的要素が劇的に減ってきたのである。その結果、肉体労働によって生活してきた人々の働く場所が激減した。農業も機械化や金肥と共に、少人数で短時間でできるようになってきた。こうして、肉体労働で生活してきた非常に多くの人々の働ける場所が消えてしまったのが、現代なのである。「しかし、働かなければならない。いや、働きたい。だが、働ける場所が無い」という状況が、近代化を推進してきた嘗ての先進諸国に起きてきているのである。アメリカがそれであり、何を隠そう、日本もそうなりつつあるのだ。更に言えば、肉体労働者向きの人が頭脳労働に転業するのは困難、いやできない。そして、僅かに残されていた肉体労働の口も、入国した外国人に奪われていっているのである。この不満にある多くのアメリカ人に対して、トランプは社会福祉的雇用としての公共事業、即ちメキシコとの国境壁建設計画を打ち出した――。そう老生は見る。鉄筋とセメントと砂とがあれば、高度の技術が無くとも国境壁は作れる。多くの無技術肉体労働者にとって、いい仕事である。しかも、10年・20年と続くことであろう。現代の持つ労働問題への果敢な挑戦をトランプ政策から学ぶべきは、日本の政治家なのである。日本にも同様の問題があるではないか? それへの対応政策はあるのか? 多分、無い。ならば、偽物世捨人の老生、一案を呈さん。心あらば嘉納を。

20170525 04
海洋国家の日本には、約7000の離島があるという。その完全管理が日本の防壁となる。周辺諸国からの密入国を防ぐには、島々、即ち島嶼の管理をすることである。それは国防となる。そこで、警察庁・海上保安庁合同の指揮の下、准公務員の島嶼管理士(※或いは離島警備士)という身分を作り、諸島に駐在する職種を新設する。そして、不法入国者の逮捕や留置等の一定の警察権限を与える。住居や駐在所は勿論、生活費も支給する。島嶼管理士資格の第一は、身体頑健。ペーパーテストなど不要。第二は、日本国への堅固な忠誠心。給与は年500万円で10年契約。生活費は不要なので、10年後、貯蓄と退職金とで誰でも約5000万円が残る。その財源はどうするのか? 簡単である。今、店頭にある雑誌『Hanada』2017年4月号において、毎年20兆円や30兆円は立ちどころに国家が入手できる方法を老生が述べているので、それを読まれたい。一言で表わせば、利子、並びに相続税の無い国債を発行し、且つ通貨としても使えるようにする。相続税無しとあれば、金持ちはその国債を先を争って買う。すると、厖大な隠し金が出てくる。この国債は通貨としても使えるようにするが、預けた金持ちは先ず使わないから、銀行に眠ることになるので、インフレにはならない。若干は出てきても、ソフトインフレ程度であろう。一方、政府はそれによって、これまでの赤字国債の解決もできる。或いは、日本が守ってやるのであるから、長期滞在の諸外国人に対して国防税を徴収すればよい。スイス等はそれを行っている。これも毎年巨額となる。頭を働かせば財源は捻出可能であるから、それを国の公共事業(※例えば島嶼管理士用)として使えばいい。働きたくとも適切な働き場所の無い肉体労働者が、それによって人生に希望が約束されること、そして国家が安定できるとなれば、それがあるべき政治ではないのか? 希望を与え、人々の心を明るくする執政を、この悪人世捨人は願って止まない。 (大阪大学名誉教授 加地伸行)


キャプチャ  2017年4月号掲載
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

推定脅威 [ 未須本有生 ]
価格:799円(税込、送料無料) (2017/5/24時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

天災と国防 (講談社学術文庫) [ 寺田寅彦 ]
価格:842円(税込、送料無料) (2017/5/24時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

自衛隊最新最強装備 [ 彩図社 ]
価格:842円(税込、送料無料) (2017/5/24時点)



スポンサーサイト

テーマ : 軍事・安全保障・国防・戦争
ジャンル : 政治・経済

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR