【大機小機】 オリンパス事件と取締役の責任

先月27日、オリンパス事件の株主代表訴訟の判決が東京地裁であった。報道等によれば、裁判所は16人の元役員の内、6人について取締役としての義務違反を認めた。6人中、刑事事件で有罪が確定した3人には、総額約590億円の賠償を命じたが、他の3人に対しては少額の賠償を命じたに過ぎないようだ。オリンパス事件は2011年に発覚した企業不祥事で、2つの不祥事の複合体だ。1つは粉飾。1990年代に生じた巨額損失を歴代社長が隠蔽し、2006年以降、M&A(合併・買収)手数料やのれん代に仮装し、処理した。もう1つは社長解任。雑誌で報じられた過去の会計処理に疑問を持ち、会長らの辞任と調査を求めた社長を、会長の意向に従って取締役会が解任した。粉飾に関与した元役員は責任を問われるのは当然で、賠償額が株主らが主張した約900億円だろうと、判決が認定した約590億円だろうと、大した違いは無い。役員賠償責任保険は粉飾等故意の違法行為には使えないから、元役員らの支払い能力は限定的で、会社側が現実に回収できる金額は僅かだろう。寧ろ、本判決で注目すべきは、粉飾に関与していない10人の元役員の責任を認めなかった点だ。実は、オリンパスの取締役会は社長解任の2週間前にも開催され、会長が持っていたCEOの地位を社長に与える決議をしている。短期間に社長のCEO昇任と解任の決議をした訳で、何とも不見識な取締役たちだ。尤も、社長解任から4週間ほどでオリンパスは粉飾の事実を認める結果になったから、社長解任が粉飾発覚を遅らせ、損害が増えたという訳ではないようだ。社長解任による信用毀損も生じたろうが、抑々、粉飾によってオリンパスの信用は大きく傷付いている。請求内容や判決理由の詳細はわからないが、裁判所は当時の取締役会の運営状況等に鑑み、「粉飾の事実を知らない取締役の法的責任を認め、損害賠償を命じるのは厳し過ぎる」と判断したのかもしれない。だが、粉飾を見逃し、不正調査を遂行しようとした社長・CEOの解任に賛成した取締役の“無罪放免”という結論に、釈然としない人も多いに違いない。本判決に関する今後の分析と評価を待ちたい。 (腹鼓)


⦿日本経済新聞 2017年5月23日付掲載⦿
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