【風俗嬢のリアル】(05) シズカの場合――2回目の群馬“人妻デリヘル”

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古びたローカル電車に揺られ、群馬のとある主要都市へと向かう。手動式ドアを手で押し開け、ホームに降りると、そこは恐ろしいほどひと気の無い駅だった。14時にも拘わらず、駅前の店は殆どが閉まっており、その先はただの民家である。コンビニに入ると、土産向けに群馬のゆるキャラ『ぐんまちゃん』グッズが置いてある土産物コーナーがあり、僅かに主要駅であることを感じさせた。実家を後にしたシズカは、1週間の予定で、ここ群馬にある人妻デリへルで働いていた。滞在中は、店が寮代わりに用意したビジネスホテルに泊まっており、そこは駅から歩いて50分ほどの場所に位置する。閑散とした駅前に比べ、ホテル周辺は寧ろ栄えており、完全な車社会であることが窺えた。とはいえ、近くにコンビニも無く、歓楽街も当然無く、デリへルの影も見えない健全な田舎街なのであった。その日、シズカは朝10時に出動し、3人の客を取って、17時きっかりに終えてホテルに戻ってきた。群馬に来て4日目。カーテンを締め切った部屋には、服や靴下が干してあり、洗面台には化粧品が並べられ、すっかり生活感が現れている。シズカの服装は相変わらず、いつもと同じグレーのトレーナーだったが、下だけは夏用の紺のズボンに変わっていた。「今回は下着も新しく買い換えたんですよ。毛玉だらけって書かれちゃったからね」。どうやら、私が原稿に書いたことを気にしたらしい。何年も使って汚れていた仕事用の下着は、2着とも新品に変わっていた。といっても、ストッキングは4日連続で洗濯しないまま穿いているらしく、必要最低限での暮らしぶりは全く変わっていなかった。

「群馬は、身体慣らしを兼ねて来た感じですね。先月は観光と実家で終わったら、丸々働いていないんですよ」。2週間ほど関東の実家に戻っていたシズカは、東京でも観光をしており、吉原のソープ街をフラフラと歩いたり、『オリエント工業』のショールームでシリコーン製の高級ダッチワイフ『ラブドール』を触ってきたという。「オリエント工業は、予約すると30分貸切で触れるんですよ。私は川端康成の“眠れる美女”を再現したくて、ファーストコンタクトはドールと徐々に距離を詰めていくというのを楽しみたかったんですけど、30分って言われたら焦っちゃって、がっついちゃったのが悔やまれますね。太ももから、くびれ、オッパイと揉んできましたよ。夢ちゃんという目を閉じている子が可愛かった」。シズカは、珍しく興奮した様子で語った。話を群馬に戻そう。実は、シズカが群馬に来るのは2回日である。1年半前にも同じ店で働いており、その為、今回は観光も少なくていいのだという。「群馬は、赤城山から吹き降ろす空っ風が本当に寒いんですよ」等と、こなれた台詞を言っている。因みに、この春で日本一周が終わり、2周目になると思っていたが、シズカはそれを訂正した。「取り敢えず、端から端までは行ったんで、1周はしたんですけど、未だ行っていない県もあるし、働いてない県もあるので、よくよく考えたら未だ1周は終わっていないですね。ちゃんと1周を終えてから、2周目に入ります」と拘りを見せていた。扨て今回、シズカが在籍する人妻デリへルは、平均年齢30歳で、90分2万円弱の店である。ホームページを開くと、エロティックなポーズで美脚を見せ付けるシズカの写真が大々的に掲載されていた。他の女の子たちも皆華やかで、如何にも美人風ばかりである。「ここの店も、穏やかな清楚系の子が多いですね。多分、リアル人妻ばっかりだと思う。昼に出勤する子が多いし、集客も昼がメインなんですよ。『日曜は子供が休みだったりするから、出勤する子がいなくて困る』って、店の人も言っていましたね。多分、皆、群馬の子で、遠くから出稼ぎに来てるような子は殆どいないと思いますよ」。店のスタッフも、働く女の子も、客も皆、群馬県民で、地元の人ばかりだという。「群馬の人は地元が好きみたいですね」とシズカは言った。私は、群馬に到着してからホテル近くにあるファミレスで時間を潰していたのだが、店内にいるヤンキー率の多さに驚かされた。それも、金髪にピアスにジャージというスタンダードなヤンキーファッションである。ところが、ヤンキーグループと思われた男女は、よく見ると中学生の子供と若いお母さんだったりして、余計に驚いた。また、ホテルの受付のお姉さんも茶髪に細眉で、どことなく元ヤン風の雰囲気を醸し出している。

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これには、シズカも同調するように言った。「確かに、元は遊んでいたって人は多い気がする。社長さんもオラオラ系の雰囲気なんですよ。でも、言葉遣いは丁寧なんですけど。ドライバーさんも、『俺は中学時代、暴走族でいいとこまでいった』って話していましたね。“チャンプロード”っていうヤンキー雑誌の表紙に載ったことがあるみたいです」。この日、私もシズカと同じビジネスホテルに宿泊したのだが、夜中に暴走族がウォンウォンウォンウォンと走る音が2回も聞えてきて驚いたのだった。そんなヤンキー文化の残る群馬では、どんな客が多いのか。シズカに聞くと、首を傾げて言った。「作業着を着た現場仕事の方が多いかな。今日のお客様も建設会社って言っていたし。でも、群馬のお客様は本当に普通なんですよ。申し訳ないくらい面白いネタが無い」。今まで山口・京都・香川と、其々客層に特徴があったが、群馬だけ何も無いとは俄かに信じ難い。しつこく聞いていると、シズカは思い出したように言った。「あっ、独身が多い。40~50歳過ぎのお客様が多いんですけど、『どうせ帰ったら奥さんいるんでしょ?』って話を振ると、『いや、帰っても独りだから』って言うんですよ。それと、プレイが終わった後にシャワーに入るんですけど、無臭のボディーソープと香りのついたボディーソープの2種類があって、『無臭のほうがいいですよね?』って確認すると、『大丈夫、俺、独りだから』って返ってくることが多いんです。バツイチの方も中にはいましたけど、結婚したことないって人も何人かいましたね。他県より多いと思いますよ。だって、私未だ4日目で、全員に聞いた訳じゃないのに、3~4人はいましたから」。

更に、こんなことを言う。「ねちっこい人が多いですね、本番強要が。大抵の人は何度か『ダメ』って言えば折れるんですけど、群馬の人は何度も何度も『入れていい?』って、10分15分聞いてくる。優しい言い方だから未だマシだけど、マジでしつっこい! うっかりを装って入れてこようとしたりするんですよ」。どうやら、本番強要には県民性がダイレクトに出るらしい。処女のシズカは毎回、躱すのに苦労しているようだった。「あとは、村で1軒しかないラブホテルへ行ったことですかね。田園の中にポツンとピンクのネオンが光っていて、遠くからでもわかるんですよ。そのお客様は村人だったのかなぁ。作業着で、メガネの日焼け痕がありましたね」。群馬では現場仕事の人が確かに多いようだった。シズカの宿泊しているビジネスホテルにも、出稼ぎと思われる作業着姿の男性が多く出入りしており、そうした人向けのホテルであるように見えた。夜になるとホテルでは、セルフサービスのカレーと味噌汁が無料で提供されており、シズカは出稼ぎの男たちに混ざって毎日、食堂でカレーを食べていた。何と、シズカはこの4日間、1日1食それだけしか食べていないという。無料のカレーだけで、この1週間を乗り切ろうとしているのだ。「ジュースとコーヒーも無料で飲み放題なんですよ。ここ来てからずっとそれ飲んでいるから、お金も全然使わないんですよね」。シズカは、ロビーに設置されたドリンクサーバーで、小型の紙コップにジュースを注ぐと、嬉しそうに部屋に運んでいた。紙コップ1杯の量は少なく、往復するのもそれなりに大変である。貯金は沢山ある筈のシズカだが、そこまでしてお金を節約したいのだろうか? 「外に買いに行くのが面倒臭いっていうのもあるんですよ。近くのスーパーマーケットは20時までしかやってなくて、いつも夜まで仕事をしているから、戻ってくるともう行けないんですよね」。とはいえ、ホテルの直ぐ向かいは、低価格で有名なファミレスチェーン店だ。シズカには、外食という選択肢は一切無いらしい。朝起きたら何も食べずに、空腹のまま1日3~4人の客を相手にし、夜にホテルへ戻って、最初の1食を無料のカレーで済ませるという、信じられないような節約生活だ。この日のインタビュー中も、シズカのお腹はグーグーと鳴っていた。その後、2人で焼肉を食べに行ったのだが、「焼肉の店に行くのって初めてです」と信じられない台詞を言い、焼き網の上に所狭しと肉を並べ、焦がしてしまうという初心者ぶりを見せていた。それでも観光にはしっかりお金を使うようで、目的はブレていない。「昨日は、早朝から藪塚石切場跡と三日月村とジャパンスネークセンターを観光して、マムシの唐揚げを食べて、スッポンの生き血を飲んで、夕方から出勤しましたね」。驚くほどハードな1日を熟している。しかし、今回の旅の一番の目的は、最終日に行く水上高原スキーリゾートの犬ぞり体験だそうだ。「犬ぞりの後は、伊香保でストリップ“銀映”を観てから帰ります」。何だか楽しそうだ。

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「群馬はどう? 楽しい?」。私が聞くと、「楽しい…?」。まるで、“楽しい”という言葉の概念がわからないかのようなリアクションが返ってきた。すっかり忘れていたが、シズカは「旅は疲れるだけ」と常々言っているのだ。「群馬は癖のある観光スポットが多いから、そういう意味では飽きないですね」。何かをするから楽しいというような一般的な感覚は、シズカには無い。抑々何故、群馬で犬ぞりなのだろうか? 「やりたいことリストの1つにあったんですよ。見ます?」。そう言うと、メモ帳の切れ端を見せてくれた。そこには小さな文字で、「ダイヤモンドダストが見たい」「鵜飼が見たい」「花火打ち上げ体験をしたい」「茶摘をしてみたい」等々、びっしりと書かれている。更に、他の切れ端には、この春から来年3月までの年間スケジュールが細かく記されていた。因みに、そのメモ帳は、日本一周をスタートして、最初に働いた富山のデリへルの寮のゴミ箱から拾ったものだという。「新品の状態で、他の女の子が捨てていったんですよ」。些細なところでも徹底してお金を使わない姿に、私は改めて驚いた。日本一周の旅も、この春でまる2年になる。色々な県でデリへルの仕事をし、どんな客が印象に残っているのか、シズカに聞いてみた。「印象に残っているのは大分の車椅子のお客様。上半身はプロレスラーのように鍛えてる一方、脚は小学生で成長が止まってるんですよ。“下”も機能していないから、女の子を責めるだけで性欲を発散させているみたいで、指入れの技が凄いんですよね。大分の加藤鷹だと思いました」。技の面で印象に残っているのだと、シズカは言った。

「内面的なものでは、青森で10代のジャニーズ系の可愛い男の子が来たことですね。童貞で、風俗も初めて。アルバイトで貯めたお金を封筒に入れて持ってきたんですよ。『何もわからないので宜しくお願いします』って。頑張って標準語喋っているけど、青森訛りでしたね。『チューもしたことない』って言うから、『それは大事な人の為に取っておきな』って言いましたよ」。男の子も、まさかシズカの手馴れた様子を見て、恋愛経験無しの処女だとは思わなかっただろう。「山形ではお礼の電話が多くて、『律儀なお客様が多いな』と思いましたね。1週間しか働いてないのに、プレイの後、6人ぐらいの方から、『あの子は良かった。また来てほしい』『今はお金が無いけど、次も必ず行くから』って、次々、店に電話がかかってきたんですよ。そんなこと今まで無かったみたいで、店長も驚いていましたね。アットホームな店で、事務所に店長のお父さんの遺影が飾ってあるんです。他の女の子がキッチンでカレーとかビーフシチューを作ってくれて、皆でご飯食べていましたね。その店はホームページの写真が全部ダミーで、お客さんもわかっているから、『これは本当はどういう子?』って問い合わせてくるんですけど、その度に店長は『次の子は本当の写真です』って嘘を吐くっていうコントみたいなやり取りをしていましたね」。各県で、ディープな体験を沢山積み重ねているようだった。群馬で1週間働いた後は、シズカは生理休暇の為に一旦実家に戻り、その後に本格的な旅を再開させるという。家を出る際は突然、「また旅に出る」と言って、キャリーバッグ1つを持ってふらりといなくなるだけだ。一度出ていけば、家族は誰も連絡を取れない。「寅さんみたいだね」と私が言うと、「偽装の恋しかしないけど」とシズカが言った。抑々、シズカは何故、このようにして日本一周の旅をし、各県のデリへルで働いているのだろうか? 今まで何度か聞いたけれど、どうにも腑に落ちなかったことを改めて聞いてみた。「削ぎたい・擦り減らしたいみたいな感じですね。使えるものがあったら全部使って、使えなくなるくらいにしたいんです。身体も心も環境的にも、人体実験している感じはあります。擦り減らしていって、残るものが見たい。結局、何が残るのか。若し残ったものがあったら、それだけに集中して、残りの人生を送りたいというのはありますね」。それは、場所に対しても同じだという。「行き場所を無くしていきたいんです。見て、もう来る必要がないくらいにしたい。観光して、行く必要のなくなった県をどんどん省いていっているんですけど、省いて結局、どこに行き着くのか。その時、何が自分の荷物に残っているのか。最終的にそのものが見たいし、その時にやりたいことが若し残っていたら、残りの人生でそれをやりたい」。既に2年に及ぶ旅で、二重線を引き、“削ぎ落とした県”のほうが圧倒的に多い。更にシズカは、各県で源氏名も変えている。「全部の県で変えていますね。例えばリサだったら、そのリサをその県で殺してしまってから次の県に行くみたいな感覚なんですよ。『次はこんな感じになりたいから、この名前にしよう』とか」。そして、シズカは言う。「目的達成の為に、早く旅を終わらせたい。受験勉強みたいに、1つ2つと課題を終わらせていく。一杯残っているものを、早く潰していきたい。旅は早く終わらせたいんです。過程を楽しむのではなく、早く最終目的に到達したい。『達成しなきゃ』っていう義務感ですね。だから、旅も『面白いか?』と言われたら、つまらない。楽しんでいる訳ではないので、気持ち的に胸を張って旅しているとは言えないですね」。計画を立て、1つひとつ熟していく。優等生だったシズカの片鱗が見えるようだ。「今でも『自分は優等生だ』と思っていますよ。今は旅をして回るっていう目的があるから、それをただ遵守するだけ」。 (取材・文/写真家 インベカヲリ★)


キャプチャ  2017年5月号掲載

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