【儲かる農業2017】(10) 生産コスト4割減の新参者に農機メーカー4社は戦々恐々

日本が誇るグローバル全業『コマツ』が、農業に本格参入する。従来、日本の農機市場では4社が寡占体制を築いてきたが、競争環境は一変しそうだ。5年後には勢力図が塗り替わる公算が大きい。

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今年1月、東京都内の農業イベントでコマツの野路國夫会長が行った成果発表が、農機業界に衝撃を与えた。土木工事で精密な作業を自動で行うICTブルドーザーを使うことで、コメの生産コストを4割も削減できたというのだ。具体的には、最も手間が掛かる苗の山植えを止め、種もみを蒔く“直まき”方式に切り替えた。直まきでは山植え機が不要になり、手間も省ける。いいこと尽くめのようだが、あまり普及していないのは収穫量が減るという問題があったからだ。コマツは、ブルドーザーのバケットを自動で上げ下げする技術で、プラスマイナス15㎜の誤差で田圃を水平にすることができる。これによって、直まきで逆に収穫量を増やすことに成功した。従来、同じ田圃でも収穫量にムラがあったのは、農地が水平ではなく、肥料等が凹んだ場所に流れ込んでいたことが大きな原因だった。野路会長は、「農機メーカーも農地を水平にしようと努力しているが、未だ当社と同じレベルには達していない」と話す。しかも、ブルドーザーは土や岩に車体をぶつけ、押しのけるのが本来の仕事。耐久性は農機より優れており、「減価償却費を5分の1から10分の1に圧縮できる」(同)というアピールも忘れない。コマツは農業支援を事業領域の片隅に追いやってきたのだが、何やらここへきて“商売っ気”が出てきたようなのだ。本誌は、今後激変する農機業界の実態を知る為に、担い手農家アンケートで農機のシェアや満足度を聞いた。アンケートの回答者(平均耕作面積28.6haの農家)が直近で購入した農機のシェアでは、『クボタ』が圧勝した。特に、有力ディーラーがある山形県・山口県のシェアが突出していた(※左表参照)。

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一方、業界2位の『ヤンマー』は宮城県、『井関農機』は香川県で比較的高シェアを持つ。これも販売会社の力の差だという。農機の保守サービスについても尋ねたところ、サービスの実施主体によって満足率にばらつきがあることがわかった。右表にあるように、JAの保守サービスへの満足率は、メーカー関連会社のそれより、クボタでは8.9ポイント、ヤンマーでは6.7ポイントも低いのだ。この差について、クボタ農機国内営業本部の石橋善光部長は、「JAは複数社の農機を直さなければならず、不利になる。クボタの農機だけに対応すればいい当社の関連会社に比べ、必要な知識・技術が膨大になるからだ」と話す。センサーを使った機械の遠隔監視が当たり前になった今、「保守サービスの良し悪しが農機メーカーの命運を決める」といっても過言ではない。大規模農家ほど農機の故障が経営に与えるインパクトが大きくなるので、保守サービスを重視するという。実は、農機の大型化やICT化によって、地域の整備施設では修理できないケースが増えており、農機メーカーは保守サービス拠点を急ピッチで整備している。資金力に乏しい農協や農機メーカーが、この投資競争に追随するのは難しい。かといって、担い手農家が使う大型農機を素早く修理できなければ、「生き残れる保証は無い」(石橋氏)。つまり、保守サービス網の構築とIoT(モノのインターネット)による故障予知に投資できるメーカー以外は、淘汰される時代が来る。農機メーカーによる仁義なき戦いが、静かに始まっている。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載
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テーマ : 経済・社会
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