【Global Economy】(38) アフリカ、最後の巨大市場…2050年人口、世界の4分の1に

世界経済の“最後のフロンティア”と言われるアフリカ。各国の政府や企業が注目し、発展への期待は高まるが、課題はあまりにも多い。 (本紙ヨハネスブルク支局長 木村達矢)

20170529 08
「アフリカとの政治的・経済的な関係強化は、最優先すべきテーマだ」――。今月22~26日に開かれている国際金融機関『アフリカ開発銀行』の年次総会。今年の開催地であるインドのナレンドラ・モディ首相は開会式で、アフリカへの期待を熱く語った。世界の国々がアフリカに注目するのは、「人口が爆発的に増える」とみられるからだ。アフリカ54ヵ国の人口は、現在の約12億人から2040年には20億人を超え、中国やインドを上回る見通しだ。2050年には、世界の4人に1人がアフリカ人になるとみられる。これまでの中国のように、世界を代表する生産拠点や消費市場になる可能性があるのだ。日本企業も有望なアフリカ市場を狙う。「この工場では、年間4万トンのペンキを生産しているんだ。新しい塗料を開発する研究所もある」。ヨハネスブルク郊外で、塗料メーカー『カンサイプラスコンアフリカ』のカルロス・コスタCTOは胸を張った。同社は、日本の塗料大手『関西ペイント』の現地法人。家の壁を自分でペンキで塗るのが一般的な南アフリカでは、プラスコンと言えば誰もが知るブランドだ。関西ペイントは2011年、南ア最大手の塗料会社を買収してプラスコンを設立。その後も、隣国のジンバブエ、東部のケニアと次々に買収を進め、今後は西アフリカへの進出も目指す。赤木雄執行役員は、「アフリカは、10~20年先には必ず大きな市場になる。欧米に先んじて進出し、ブランドを確立させたい」と力を込める。

種苗大手『サカタのタネ』がアフリカで事業を始めたのは1950年代。当初は現地の代理店を通じて種を輸出していたが、1999年に南アの種苗会社を買収し、現在はケニアやモロッコにも現地事務所を構える。サカタのタネが着目するのは、アフリカ農業の潜在力だ。アフリカ大陸は、アメリカ・中国・インドを足し合わせた面積よりも遥かに広い。『世界銀行』によると、穀物の栽培に適していながら利用されていない世界の末耕作地のほぼ半分は、アフリカにある。地域によって気候も多様だ。食料の生産地・消費地の何れの面からも、期待は大きい。同社の南ア現地法人『サカタシード』のリンゼイ・キャンプルマンCEOは、「(サカタのタネによる)買収後の投資で、事業規模が10倍以上に拡大した」と意欲的だ。アフリカへの投資に最も積極的な国は中国だ。中国の巨大経済圏構想『一帯一路』の対象地域は、アジアや中東の他、アフリカまで及ぶ。広域に亘る覇権を狙う中国にとり、アフリカは重要なターゲットだ。昨年10月には、アフリカ初の電気鉄道が中国の資金負担で完成した。ジブチの首都・ジブチとエチオピアの首都・アディスアベバ間(※総延長750㎞)を走る。これまで車で数日かかっていた両都市間を、約10時間で結ぶという。現地メディアによると、開通式で中国政府の幹部は「中国とアフリカの友好鉄道だ」と宣言した。ケニアでは、首都・ナイロビと港湾都市・モンバサ間(※総延長480㎞)を繋ぐ鉄道も中国主導で建設された。来月、開通する予定だ。中国は2000年以降の15年間で、アフリカ諸国との貿易額を22倍に拡大させた。2015年の貿易額は約1300億ドル(約14兆4000億円)と、アメリカとアフリカの貿易額(約500億ドル)を大きく上回る。中国は2015年12月、アフリカに3年で600億ドル(約6兆6000億円)の支援を約束。既に約100万人の中国人がアフリカに住むとも言われ、アフリカにおける中国の存在感は圧倒的だ。危機感を募らせた日本政府は、昨年8月の『アフリカ開発会議(TICAD)』で、安倍首相が3年間で官民総額300億ドル(約3兆3000億円)の投資を約束した。だが、規模は中国の半分程度に留まる。『三菱総合研究所』の坂本貴志氏は、「中国は明らかに、アフリカに先行投資を行う戦略を採っている」と指摘する。ヨーロッパのメディアによると、『ヨーロッパ連合(EU)』の議会組織『ヨーロッパ議会』のアントニオ・タヤーニ議長は、「アフリカは中国の植民地になる危険に曝されている」と警告を発した。

20170529 12
■治安やインフラ…発展に課題多く
アフリカが世界経済の成長エンジンとなる為には、様々なハードルが待ち受ける。現在のアフリカ経済は、天然ガス・原油・レアメタル(希少金属)等の天然資源や農産物を輸出し、海外から自動車や電化製品等を輸入するのが基本的な構造だ。2000年以降、資源価格が高騰し、アフリカは年率5~6%の高い経済成長を実現した。世界平均より2~4%高い水準だ。しかし、2014年以降は資源安で成長率は低下している。アフリカ経済が発展するには、資源頼みから脱却し、自らモノを作って輸出する“世界の工場”になれるかどうかがカギとなる。しかし、アフリカでのビジネスには不安要素が多い。政治的な思惑で影響力を高めようとする中国を除けば、各国の企業は投資に慎重だ。『日本貿易振興機構(JETRO)』ヨハネスブルク事務所の築舘弘和氏は、「アフリカに進出した日本企業も、目先の利益ではなく、中長期的な視野で事業を展開している」と指摘する。アフリカは、テロ・紛争・汚職・感染症等のリスクが絶えない。水道・電気・道路・鉄道・航空路線・港といったインフラ(社会資本)も未整備だ。識字率は低く、初等教育を終えていない人も多い。内陸にある国が多いこともネックだ。内陸部から製品を輸出するには、法制度の異なる複数の国を跨いで、港まで陸路で運ぶ必要があり、運送コストが高くつく。沿岸部に工業地帯を設けて輸出を伸ばした中国や東南アジア諸国のような訳にはいかない。ジェトロには、日本企業から「行政手続きが不透明且つ煩雑で、事業がやり難い」との声も寄せられる。『スタンダード銀行』(南アフリカ)アナリストのサイモン・フリーマントル氏は、「企業は、各国の経済政策が投資を呼び込み易くするものかどうかを見極める必要がある」と指摘する。アメリカの経営コンサルティング会社『マッキンゼーアンドカンパニー』アフリカ支社のジョルジュ・デボー氏は、「日本企業は、日本のものづくりの考え方を現地の人材育成に生かしていくべきだ」と語る。国内市場が縮小する日本にとっても、アフリカはまさに“フロンティア”だ。先ずは、社会の基盤作りへの貢献に地道に取り組むべきだろう。


⦿読売新聞 2017年5月26日付掲載⦿
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