【Test drive impression】(22) 『ベントレー ベンテイガ4WD』――超絶ラグジュアリー! ベントレー初のSUVを濃厚試乗

小沢の勝手なイメージで言っちゃうと、日本において“高級ブランド”っつうのは、エレガントにして控えめなものだと思う。謂わば銀座の老舗呉服屋であり、高級寿司店だ。カウンターの向こうには頑固な短髪白髪頭のジジイがいて、涼しい顔で無口に握る。味は確かに絶妙にして繊細。しかし、イマイチ冷静過ぎて面白くない。どっこい、ヨーロッパは微妙に違うんだよね。昔、パリの三つ星レストランに子供連れて行ったけど、泣き喚くので途方に暮れていたら、ジョージ・クルーニーみたいなイケメンギャルソンがニコッと笑って、一皿持ってきた。俺も食べてみたら、何と醤油味のタルタル。子供も泣き止み、「人間の本質、わかってんじゃん!」と頷いたもの。そこで本題だけど、世界に誇る高級イギリス車ブランド『ベントレー』が昨年6月に初めて出したSUVが『ベンテイガ』。骨格は同じVWグループの『アウディ07』や『VWトゥアレグ』と同じだって話だけど、そんなこたぁどうでもいい。問題は味つけと演出だ。一目見るなりびっくりした。超エロくて威圧的なのだ。序でに偶々ボディーカラーが金ピカ系だったので、殆ど走る高級スケベ椅子(笑)。けど、そこは世界のベントレー。今回、撮影していたら、ニッカボッカ穿いた兄さんたちが「これ、なんてクルマっスか? 超イケてますよねぇ!」だとさ。わかる人だけがわかる高級ではなく、わからない人にまで「何だか凄そう」と思わせる濃密高級感が、ベンテイガにはある。

これが、古代から戦争に明け暮れた“自己主張大陸”ヨーロッパで育った高級ブランド力! 実際、このフォルム、何なんでしょうかね? 国産車とは明らかに違う“お城オーラ”があるんだよな。全長5m超×全幅2m弱で、車重は2.5トン! 圧巻なのはお尻のどっしり感。対抗できるのは『ハウルの動く城』ぐらいしか思いつかない。ディテールもよくできていて、丸形の超キラキラにカッティングされたヘッドライトの中には、“BENTLEY”と格好いいロゴ。室内に入って更にびっくり。まさに高級ホテルの豪華さ。それも、モダンな高級ホテルじゃなくて、クラシック系ホテルのお味なのだ。全体は明るい茶色で、本革にキルティング加工がされていて、タッチがいいのは勿論、ウッドパネルが如何にも本物で、複雑な木目が入っていて、隙間からキノコが生えてきてもおかしくないほど。また、エアコン吹き出し口の蓋の開閉を金属のゴルフのティーみたいな棒でやるんだけど、コイツの出し入れが超エロい。計算され尽くした節度感ある遊びだ。本革もキチンと色のコーディネートをされた糸で縫いつけられ、まさに手作業の味。ベントレーは骨格こそVWグループ共通だが、組み立てはイギリスのクルー工場で熟練工によって行われる。職人の温もりビシバシだ! 走りも半端ない。ベンテイガのパワートレインは、新作の6リッターW型12気筒ツインターボ。3リッターV6を2つ組み合わせたグループの中でも、特別なモデルにしか搭載を許されてない複雑ユニットで、最高出力は何と608馬力。

8速ATを備えたフルタイム4WDで、2.5トン強のボディーを時速301㎞まで引っ張る。こりゃ、空飛ぶ絨毯のような走りに違いない! 全体的にはとことんスーッと滑らかで、高速でベタ踏みした時だけドカンと加速すると思っていた。ところがどっこい、乗り心地は確かにビロードの絨毯に乗っているような滑らかさなのだが、加速はちょっとアクセル踏んだだけでドッカ~ン! 91.8kgmの極太トルクを僅か1000回転台で発揮する超バケモノ系エンジン! 渋滞時のアクセルコントロールに気を使わざるを得ない野蛮な味つけなのである。当然、アクセルをベタ踏みすると、ド迫力すぎる音を響かせ、豪快に加速。僅か4.1秒で100㎞に到達してしまう。でも、思った。同じベントレーでも、SUVのベンテイガは伝統の『サルーン』と違って、古くからヨーロッパに住むお金持ちではなく、新興国の成り上がり系や若いIT長者が買ったりする可能性がある。ぶっちゃけ、礼儀作法以上に、自分のプレゼンスであり、存在感をわかり易く上げる為にスゲェクルマを求めている訳で、そういう人種にはこういう荒っぽくホットなヤツが喜ばれるのかも。逆に、ジェントリーな味つけは「かったりぃ」と。昨年、ベントレーは日本で434台を売り、5年連続で右肩上がりの販売台数を記録。気になるベンテイガは既に85台がデリバリーされ、『ポルシェ』の『カイエン』からの買い替えが一番多いと聞く。金持ちの「エロくありたい!」という願望に素早く応える! やっぱベントレーだわ。


小沢コージ(おざわ・こーじ) 自動車評論家・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1966年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒業後、『本田技研工業』に入社。1990年に『二玄社』に転職し、自動車雑誌『NAVI』の編集を担当。1993年からフリーに。『週刊自動車批評』(TBSラジオ)にレギュラー出演中。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)・『マクラーレンホンダが世界を制する!』(宝島社新書)等。


キャプチャ  2017年6月5日号掲載




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