【オトナの形を語ろう】(26) なぜ自分は女が必要なのか? 女を求める前に問うべきこと

男と女の話を少ししよう。私は別に、男と女のことが他人よりよくわかっている訳ではない。寧ろ、今も男と女のことはよくわかっていない。少し長く生きていくと、「女は厄介な生きものだ」ということがわかってくる。では、「女だけが厄介なのか?」と見てみると、女にとっても男は厄介な生きものなのである。ところが、私の経験で言うと、やはり男より女のほうがどうも厄介な生きものだと、この頃、思い始めてきたし、恩師・先輩もそう仰っている。扨てそこで、読者諸君にとっては、達観したような話より、現実問題として、一緒に飯を食べてくれる女がいないことのほうが重要な問題だったりする輩もいるだろうから、そっちを話そう。私はそういう人に訊きたい。「どうして、そういう相手がいないんだい?」「だって、いないんだからしょうがないでしょう」「淋しくはないのか?」「そりゃ、淋しいですよ。でも現実、いないんだから…」「いないって、そりゃ探せばいくらでもいるだろうよ。第一、女のほうが数が多いのは、太古の時代から変わりゃしないんだから」「えっ! そうなんですか?」「当たり前だろう。勿論、今の日本だって女のほうが多いんだ。だから、女は男を求めざるを得ないんだよ」。

「本当ですか?」「まぁ、数としてはそうだが、兎も角、相手を見つける方法が間違っとるんだよ」「どうしたらいいんですか?」「そりゃ簡単だよ。手当り次第ぶつかっていくことだ」「手当り次第?」「そう、手当り次第だ」。私が「手当り次第に女に当たれ」と言ったのは、最初は断られていても、数を打てば必ず、君たちと飯を食べるなり、映画を見るなりしてくれる女が現れるからなんだ。しかし、「飯を食べる相手もいない」と言った君たちは、飯だけを食べてくれる女がいれば、それでいいのかい? 勿論、そういうバカもいるだろうが、そうじゃないだろう? セックスもしたければ、「女が自分一人を大切にしてくれている」という満足感も欲しいし、「できれば献身的に尽くしてほしい」と思っているだろう。人間の欲望というものはそういうものだし、それはちっともおかしいことじゃない。扨て今、セックスだとか献身的だとか話したが、女と飯を食べ始める前に、何故、お前さんに女が必要なのかを考えてみることだ。――そんなことは考えたことがないって? それなら大丈夫だ。君は必ず相手が見つかり、そうして早晩、放り出される。今週、私が言いたいことは、「何故女性が、女がお前さんにとって必要なのかということを、ほんの僅かな時間でいいから考えろ」ということだ。

その理由がセックスであっても、淋しさの解消でも、飯を食べることでも、飯を作ってもらうことでも構わないんだ。それがわかれば、君が女性に何を望んでいて、女性に何をしてほしいのかがわかってくる筈だ。そうすれば、自ずから君がどんな相手を求めているかがわかってくる。ここまで話して、「この話は少しおかしい」と君は思っただろう。――何がおかしいかって? それは簡単なことだ。君が生身の人間であるように、相手も生身の人間だということを忘れているからだ。同じ生身の人間なら、君が望んでいることと同じものを、いや、それ以上のことを相手は男に求めているってことだ。相手があるってことは、だから厄介なんだ。でも、その厄介を抱え込んでも、女というものは何かがあるということも事実らしい。“らしい”と言ったのは、これまで私が逢った「これが大人の男だ」と思った人たちは、皆、それなりのイイ女を隣りに置いている人が多かったからだ。ただ、その先輩たちは、顔がハンサムだったとか、矢鱈とカネを持ったとか、そういう男は殆どいなかった。寧ろその逆で、ただ懸命に働き、懸命に生きた男たちだった。女たちが彼らのどこに魅せられ、何に引き寄せられたかは其々区々だろうし、女のなす行動や動機は、男どもにはわからないものだ。ただ、顔・容姿・カネ・家柄・学歴等で男を選別する女は下衆でしかないんだ。その話は何れするが、今週は先ず、“当たって砕けろ”の精神で手当り次第に相手に向かって行くことが先決で、「失敗なんぞクソ喰らえの精神でやっていけ」ということだ。 【続く】


伊集院静(いじゅういん・しずか) 本名は西山忠来。作家・作詞家・在日コリアン2世。1950年、山口県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業後、『電通』に入社。CMディレクター等を経て、1981年に作家デビュー。『愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない』(集英社)・『大人の男の遊び方』(双葉社)・『無頼のススメ』(新潮新書)等著書多数。近著に『旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺』(集英社)。


キャプチャ  2017年6月5日号掲載
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