【ドクターXは知っている】(04) 傷や火傷に消毒薬は“毒”…市販の傷を乾かすスプレーも却って治りを遅くする

20170530 07
幼い頃、ちょっとした怪我をして、母親に赤チン(マーキュロクロム液)を塗ってもらった経験は、誰にでもある筈です。他にも、ヨーチン(ヨードチンキ)・イソジン(ポピドンヨード)・クロルへキシジン等、様々な消毒薬が私たちの身の周りにあります。また、傷に使われる軟膏・ヨード(沃素)の嗽薬・歯磨き粉・洗口剤の多くにも、こうした成分が入っています。これらは私たちの日常生活に欠かせないアイテムになっていますが、「消毒薬は毒である」と警鐘を鳴らす医師がいます。『練馬光が丘病院』で傷の治療センター科長を務める夏井睦先生です。「消毒薬の殺菌力は、細菌にだけ効果があるのではありません。人間の細胞まで殺してしまうのが消毒薬なんです」。何故、そうしたことが起こるのか、理由を説明するには、消毒薬が細菌を殺すメカニズムを知る必要があります。消毒薬は、細菌の蛋白質を破壊することによって細菌を殺します。化学作用や物理作用によって細胞膜の蛋白質を変性させ、細菌の生命維持をできなくさせてしまう訳です。しかし、このメカニズムには弱点があります。消毒薬は、細菌の蛋白質だけでなく、人間の細胞膜に含まれる蛋白質まで攻撃してしまうからです。

「皆さん、傷口に消毒薬を塗った時に、相当な痛みを感じた経験があると思います。消毒薬が傷口の細胞膜タンパクを破壊する為に痛みが起こるんです。実は、消毒薬にとっては、細菌の細胞膜蛋白よりも、人間の細胞膜蛋白のほうが攻撃し易い。消毒薬が細菌の細胞膜に到達するには細胞壁を通らなければなりませんが、人間の細胞には細胞壁が無く、ダイレクトに攻撃を受けてしまうからです」(夏井先生)。消毒薬の問題はわかりましたが、傷をそのまま放っておいてもいいのでしょうか? 私たちは子供の頃から、「消毒しないと黴菌が入りこんで化膿してしまう」と教えられてきました。「確かに、細菌がいなければ化膿はしませんが、それは十分条件ではなく、必要条件の1つに過ぎません。細菌だけで創感染(※傷口に細菌が付いて化濃すること)を引き起こすには、とてつもない数の細菌が必要なんです。実際には、細菌に異物や壊死組織が加わることによって創感染する。消毒薬で細菌を殺す意味は殆どないんです。抑々、消毒薬を使ったからといって、細菌を全て撃退できる訳ではありません。傷口を消毒しても、細菌は生き残って、我々の細胞だけを殺してしまうことになりかねないんです」(同)。だとすると、私たちは何故、「傷ができた時に消毒薬を使って細菌を除かなければならない」と考えるようになったのでしょうか? 夏井先生は、19世紀に活躍したフランスの細菌学者、ルイ・パスツールの名前を挙げます。「『細菌が全ての病気の原因である』と考えていたパスツールは、『感染を防ぐには消毒で細菌を殺すことが一番大事だ』と主張した。不幸にも、医学界では今もその時代の考え方が生きているんです」。常識に囚われてはならないと言えそうですが、消毒薬を使わないとしたら、私たちは傷口にどういう手当をしたらいいのでしょうか? 「先ずは水道水で洗うこと。これだけでも細菌はかなり減り、創感染を防ぐことに繋がります。そして乾かさないこと。市販のハイドロコロイド素材の絆創膏を貼るか、ワセリンを塗って食品用ラップで患部を覆う等して、湿潤状態を保って下さい。怪我や火傷の傷は消毒せず、乾燥させなければ痛まず、早く、しかも綺麗に治ります」と夏井先生はアドバイス。「消毒薬を安易に使うことは無駄なばかりではなく、危険でもある」と頭に入れておきたいものです。 (取材・文/フリージャーナリスト 田中幾太郎)


キャプチャ  キャプチャ
スポンサーサイト

テーマ : 医療・健康
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR