【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(43) 猫太郎vs国際詐欺グループの息詰まる攻防と意外な結果

アメリカ軍女性兵士のナタリアから金塊の受け取りを頼まれた猫太郎。その後の物語である。シリアの戦地で略奪した金塊を部隊で山分けしたナタリアは、猫太郎に日本での換金を頼んできた。次々と送られてくるシリアの画像には、山積みの金塊も映し出されており、それだけで猫太郎を舞い上がらせた。イギリスの大手物流会社からのお知らせメールと荷物追跡番号も、猫太郎を鼓舞させた。その経過を逐一報告される度に、筆者はクヒオ大佐事件を思い出す。カメハメハ大王の親戚(※自称)で、アメリカ空軍特殊部隊のパイロットという設定の結婚詐欺師だ。弁当屋のおばさん等から1億円以上を騙し取って逮捕されたクヒオ大佐は、パイロットどころか自動車の免許も持っていない普通の日本人で、本名が鈴木さんだった。彼は女性と会う時、いつもアメリカ空軍の制服姿で、電話はジェット機の音が聞こえるよう、アメリカ軍基地の近所でかけていたという。女性から金を騙し取る口実が、特殊作戦の工作費やジェット機の燃料代というのが面白かった。きっと、クヒオ大佐に騙された女性たちはロマンチストなのだ。空軍の制服に特殊作戦という非日常が、彼女たちを惹きつけたのだろう。ナタリアが猫太郎に送ってくる画像も全て、アメリカ軍の制服姿である。それは、戦地の画像と共に、緊張感を醸し出していた。人間は制服姿に権威と信頼感を持つものだ。ナタリアもクヒオ大佐も、それをわかった上で演出しているのだろう。猫太郎は胡散臭いと思いつつも、1日の大半をナタリアたちとの連絡に費やしてきた。彼女も猫太郎からカネを騙し取ろうと一生懸命なのである。

今では、ナタリアの他に、弁護士のアラン、外交官のフランクまで登場してきて、完全な劇場型詐欺になってきた。彼女たちは、猫太郎の偽造した送金伝票で赤字を出している。それだけでも取り返さないと、詐欺師の沽券に関わるのだ。ナタリアたちの計画では、「金塊を送った」と思い込ませ、その送料として6500ポンド(約100万円)を騙し取るつもりだった。そして、その送料を支払えば、次は関税を請求する予定だった筈だ。ところが、猫太郎は650ポンド(約10万円)しか送金せず、更にその送金伝票を6500ポンドに偽造してナタリアに提示した。「これで第2弾の関税まで騙し取れる」と踏んだナタリアは、哀れ入金の確認を待たず、オーストラリアにまで荷物を送ってしまったのである。ロンドンからオーストラリアまでの送料を調べると850ポンド(約12万円)。既に2万円の赤字だ。勿論、中身が金塊でないのはわかりきっているが、ジュラルミンのケースだけでも安くはないだろう。こうして、ナタリアと猫太郎の攻防は、やや猫太郎有利で進んできた。そして遂に、弁護士役と外交官役の仲間が助っ人として登場したという訳だ。弁護士役のアランは最初は強気で、「猫太郎を訴える」と息巻いていたが、手に負えないとわかると泣き落としの作戦に変わった。猫太郎も、何とか送料を負担せずに日本へ荷物を届けさせようと必死である。そして、アランは350ポンド(約5万円)までディスカウントしてきたのである。つまり、最初に送金した金額と合計すれば約15万円、恐らくこれが詐欺に要した経費の原価なのだろう。もう、何が目的になっているのかわからない。これまで約2ヵ月の間、国際間でいい大人が何をやっているのだろう。ナタリアも、今では猫太郎を相手に選んだことを後悔している筈だ。物語は今も進行中である。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年5月23日号掲載
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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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